女魔技師の魔道具露店旅〜戻ってこい?、だから婚約破棄したら困るのそっちだって言ったじゃん〜

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3、村が見えてきた

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「あ、村が見えてきたよ」

「あそこで旅の準備を整えよう…」

とりあえず歩くこと数日、やっと人が住んでいる村を発見する。

「………なんか閑散としてるな……」

「こら、失礼なこと言わないの」

村に到着するも、全く賑わってないことに呟く黒鉄、嗜める私。

「………旅人ですか?」

「あ、はい」

街中を歩いていると犬の獣人に会う私達。

「悪いことは言いません、今すぐこの村から出て行った方がいいです……」

「なんで?」

「今、この村は人狼族に襲われているからです……彼らは食糧や金を奪っては村を荒らしていく………」

「でも私達もこの村で何か買わなければとても次になんかーーーーッッッ??!!!」

「ーーーーや、奴らです??!!、旅人さん、奴らに会う前に早くこの村から脱出してください!!、それではッッッッッ!!」

狼の遠吠えが村に轟く、村人はそっちへと走って消えた…………。

「……どうするんですか?、マスター」

「このまま食糧も金もなしにこの村でてもな~、ちょろっと様子見に行くか………」

私達も音の発生源へ急ぐ。

「……今日も食料を貰うぞ……」

「ふざけるな!!、帰れ!!」

「……悪いが俺達の人狼族も飢えている、他の村を襲撃してでも食料を得なければならない………」

「あーそういう感じか~」

「どうするマスター?」

話を聞くにどうやら人狼族の方も進んでやっているわけではなく、食糧が少ないから仕方なく近くの村を襲っているようだ。

「どちらもこちらをご覧ください!!!」

「な、なんだ貴様???!!」

「えっと……これで良いかな……テレテッテ~『食料復元機』~」

私はこの事態をどうにかする魔道具を某青狸と同じテンションで取り出す………その辺に落ちているりんごの芯を拾って魔道具の中へと押し込む。

「スイッチオン」

ガガガガと伸びたり縮んだり、ギャグ漫画のような動きをする魔道具、不意に動きが止まる。

「ほい」

「な、なんだと??!!、芯だけだったのに、果実に戻った??!!!」

「芯や食べ残しがあれば、空気中の魔力を集めて復元できるのだ~、ただ、人が手を加えた料理は調理工程が複雑かつ多すぎる材料が混ざっているため戻せないし~、あんまり同じ食料を復元しすぎると味がどんどん薄くなってくるけどね~」

「こ、これは食えるのか?」

「試しにどうぞ」

「あ、甘い……林檎だ………」

「お、俺にもくれ!!」

「お、俺にも!!!」

「慌てない慌てない、並んで並んで~」

一部始終を見ていた両陣営の村人達はこぞって私に群がり始める、皆、それぞれバナナの皮やみかんの皮など食べれない部分を持ってくる……。

「いやぁ~良い事すると気持ちが良いなぁ~」

「た、助かったありがとう………思わず食べてしまったが、これしか持ってないのだ……足りるだろうか?」

「金?……そうだね~、これじゃあ足りないかな~……」

「そ、そうか、なら物々交換でどうだ?、我らの村に行けば金や銀がある」

「ううん~そこまでしてもらうのは悪いから、足りない分は体で補ってくれれば今あるそのお金だけでも良いよ」

「「体で補う?」」

両陣営の村人達はよほど飢えていたのだろう、我を忘れて食べる食べる、しかし、よく考えればお互い金を持っていない事に気づき、私に交渉を持ちかけてきた、すぐ応じないのは交渉の基本、ぶっちゃけ金をもらうつもりはさらさらなかったが、くれるというならもらっておこう、しかし先を考えるともう少し欲しいので渋る私、金や銀をくれるというが、そこまで貰うのも何だか気分が悪いので交換条件を提示する。

「ああ~やっべ~気持ちい~」

「ちょ、ちょっとエマ殿………その、くすぐったいのだが……」

「良いではないか~」

狼の毛と犬の毛を同時にもふもふするという天国に私は脳みそを蕩けさせる。


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