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3、編入生
しおりを挟む「え~今日新しい仲間が増える、編入生だ」
その言葉の意味を理解すると、学生達にざわめきと波紋を生み。
「お!?!なにそれ!?どんな子?!」とか
「女子?!?ねぇ女子?!?美少女?!」だの
「男子はほんとそればっかほんとアホだわ~、ところで男子!?!?ねぇ男子!?!美少年?!?」
といった具合にそれぞれ勝手に発言する、なんか女子も男子も全く同じ反応してると思うのは私だけだろうか?私からするとどっちも似た様なもの、誰が来たところで、私の地獄は続くのだから。
だが、クラスメイトはそれはもう騒ぎに騒ぐ、あっという間にまとまりのない烏合の衆と化し、皆が皆自分の願望や欲望、要望を吐露する合唱団と成り果てる、しかしその騒音に終止符が打たれた。
「静かにしろ~ほら入って来い」
途端教室に静寂が満ち、件の編入性がついにその姿を現した。
流れる黒髪に黒目、爽やかな印象を抱かせる顔、スラっとした細身の長身、全体的に細いが、鍛えてはいるようで引き締まった身体。
どっからどう見ても美青年だ。
そしてそう評価を下したのは私のみじゃなかったらしく、すぐクラスの女子は色めき立ち、男子連中は後ろからどす黒いオーラが出ている気がする。
「じゃあ自己紹介をしてくれ」
無言でチョークを持ち、字を書いていく……書き終わりこちらに振り向き。
「レクス・ウルトスです、どうぞよろしく」
簡潔に述べるレクス。
「……え~とそれだけか?」
「はい」
「あ~~まぁ良い、彼は魔族の中でも優秀な一族、人狼族、さらに彼は族長の息子だ、みんな仲良くしてやってくれ、何か質問あるやついるか?」
「はぁ~い」
「はい、コブリー」
「もうパートナーいるの?」
「いや、いない」
「ええ?そうなの勿体無い、じゃあじゃあこの学院だと誰と組みたい?」
「この学院でか?」
美しい上にさらに彼は魔族の中でも優れた身体能力と強力な魔法を使える人狼族、さらに族長の息子らしい………人狼族の族長の息子というのは分かりやすく言えば、将来的には魔族を束ねる王、魔王の座に座っていてもおかしくないほどの血統だ、コブリーは今のうちに胡麻をすっておこうと思ったのか、アルフレッドから乗り換えるつもりなのか、それともその両方か、レクスに質問をする、彼女の猫撫で声の質問に一瞬停止するレクス、彼はクラス内を見渡す、一通り見渡した後…………ある一点を見つめ出す、心のなしか、目があってる気がする。
「………彼女だ」
「「「「え?」」」」
「………はい?」
私の思い違いじゃなかったらしく、彼は私の近くまで移動して、自分を指し示す………。
「え、えっと………その、私………魔力2、何ですけど………?」
「………なぜそんな嘘をつくんだ?」
「………う、嘘じゃないんですけど…………」
何とも言えない空気がクラスを包み込み、そのままホームルームは終わった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「~ーーー痛ッッッッッ」
「一体どんな手使ったのよ」
午前の授業が終わり、昼休み入るや否や、私はコブリーに引っ張られ、人気の少ない空き教室へと連れ込まれ、首根っこを掴まれ、壁へと叩きつけられる。
「し、知らないよ、今日初めて会った、初対面で………」
「へぇ~しらばっくれるつもりなんだ、調子乗ってるね」
「だ、だから本当にーーー痛ッッッッッッ」
「もしもーし、お留守ですかッッッッッ??!!!」
私がレクスに媚を売ったと勘違いしたコブリーは詰問してくるが、初対面の自分とパートナーを組みたいという彼の言葉、自分自身でも何が何だかわからないのだ、初対面ということを必死に伝えるが、コブリーは聞く耳を持たず、私の頭をドアノックの要領で壁に二、三回ぶつける。
「言う気になった?」
「だ、だからーーー」
「ーーー何してんだよ?」
「ーーーッッッッッ」
繰り返される問答、再度私の頭を壁にぶつけようとするも、いつの間にか空き教室の中にレクスが立っていた。
「あ、こ、これは違うのよレクス君」
「…………」
「べ、別に虐めたとかそういうーーー」
「……どっかいってくれ」
「え?」
「……それ以上嘘をつくなら女といえど優しくできそうにない」
「ーーーーッッッッし、失礼するわ」
咄嗟に言い訳をするコブリーだが、その苦しすぎる言い訳に静かに返答するレクス、コブリーは慌てて逃げ出していく。
「大丈夫かリレイ」
「あ、ありがとうございます」
(あれ、私の名前……何で知ってるんだろう?)
彼は呆ける私の手をとって立たせてくれる。
「……………他に人がいないなら丁度良い、リレイ、お前、俺のパートナーになってくれないか?」
「………へ?」
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