カウンターカーテシー〜ずっと陰で支え続けてきた義妹に婚約者を取られ家も職も失った、戻ってこい？鬼畜な貴様らに慈悲は無い〜

４６、新学期

「はい？」

「ですから、ぜひ我がグランフィリア学院に入学してほしいと申しております」

「……………」

夏休みも終わり、新学期初日、ハルバート様の護衛の最中、学院長に呼び出されたので、渋々指定された部屋へ移動、移動した先の学院長室で入学を勧められる私。

「………えっと………私………魔力……なしですけど………」

「確かにコトハさんに魔力は感じません………が、しかし、それを補ってあまりある程の力を持っているではないですか、成績優秀な生徒達を薙ぎ倒し、王宮を襲撃した獣人を撃退、まさに八面六臂の大活躍」

「あ、アハハハハ、う、運が良かっただけですよ！！」

「ご謙遜を………どんな人間にも運が良いだけでは真似出来る事ではありませんよ」


適当に流そうとするも、相手は許してくれない。

…………言われてみれば、成績トップのアイシャ、射的の名手ジンジャーとの決闘に圧倒的な勝利、腐った王族の襲撃を撃退し、事態を解決させた…………結構活躍してる気がしてきた。

「け、けど、その、なんで今更になって………」

「ええ、多少優秀な平民程度ではわざわざ私が自らスカウトすることはありません………が、しかし、貴族となれば話は別です」

「き、貴族？」

「ええ、サンセット家当主、コトハ・サンセット殿」

「………ああ～………」

いくら活躍していると言っても、以前は書類審査で落とされたし………アイシャとジンジャーの件は結構前なので、今更な気もしたが………どうやら私が平民だから無視されただけで、貴族となれば話は別らしい………サンセット家の当主になったので、学院も無視しづらくなったというわけだ………こちらとしても貴族としての一般教教養を学んだり、卒業課程を貰えるのは悪くない気がするが……しかし、私はもう就職しているのだ、学業に長時間拘束されて、ハルバート様やセバスさんに迷惑をかけて、わざわざ金を払って学院に通うのは時間と金の無駄にしか思えない、断ろう。

「………えっと、その、申し出は有り難いのですが………わ、私は王族の護衛がありますので……学業に長時間拘束されるのは困りまーーー」

「おや、ハルバート様は自分の事は気にせず是非学業に励んでほしい………と言っておりましたが？」

「す…………」


お誘いは嬉しいけど、王族の護衛してて学業にうつつを抜かしてる暇はない………と暗に断ろうとしたが、外堀から埋められていたようだ、護衛対象のハルバート様が許している以上、この言い訳は役に立たない………。

「………喜んで話をお受け致します」

「おお、引き受けていただけますか！！！」

今の以外に良い口実が思いつかず………退路を立たれた私に残されたのは肯定のみだった………私の返事に気を良くする学院長…………。