上 下
61 / 75
ルーガス有給編

61、ルーガスとの雑談

しおりを挟む

「中々に壮観ね」

「だな」

ルーガスとルフを連れて像が立っている広場へと移動、今はベンチに座って像を三人で眺めている。

(………ルフ様に嫌われてるかと思ったけど、実は気に入られてるのかな、さっきから私の横に自分からくる………)

そう、移動の時もベンチに座る時も、常に私の隣を陣取っているのだ……。

(……なるほど、戦闘民族なルフ様は自分より強いと気にいるのかもしれない)

不良同士が喧嘩し合って、大の字になり、やるなぁお前、お前こそ、みたいな感じなのかもしれない……。

「……お手洗い行ってくるからちょっと待ってなさい」

「わかった」

「わかりました」

ボケっ~とのんびりしてるとルフ様が立つ、どうやらトイレに行きたいらしい、適当に返事をする私とルーガス。

「……別にタメ口でいいわよ」

「え?」

「だから、タメ口で良いって言ってんの、アンタは私より強いんだから敬語使うんじゃないわよ!!」

「あ、は、はいーーーじゃない、うん、わかった」

「フン」

いきなりの言葉に理解が追いつかなかったが、どうやらルフ様に対して敬語を使ってるのが気に食わなかったらしい、驚きつつも本人が良いと言ってるならと、タメ口で返答する私、彼女は顔を赤くしながら広場にある公衆トイレへと歩いていく。

「………そういえば、ルーガスは王女様にタメ口だよね?大丈夫なの?」

「俺とアイツは幼馴染ってヤツでな、アイツが敬語の俺が気持ち悪いっていうからタメ口で話してる」

「へぇ~、ふ~ん」

「何だよその面白いおもちゃ見つけたみたいな目は」

「君、意外と隅に置けないね」

「………だから俺とアイツはそんな関係じゃないって言ってるだろ……」

「そうなんだ~♪」

「全く信じてないな……大体俺が好きなのはーーーー」

「好きなのは?」

「ーーーッッッ、い、イヴって本当に誘導尋問うまいよな……\\\\」

「いや、今のはマジでそんなつもりなかったんだけど………」

ルフとルーガスの関係が気になったので聞いてみると、聞くだけで胸が熱くなる幼馴染だという、途中、否定に夢中になるルーガスは自分の好きな人について口を滑らしそうになる彼、寸前のところで踏み留まり、私に濡れ衣を着せてくる。

「……うん?、なんか落ちたよ」

「あッ、そ、それは………」

ルーガスの首から何か落ちる、金属音がしたので何か硬質なものだろう。

「ネックレス?……いや、これは……認識票?」

「み、みちゃダメだっっ!!\\\\」

「おわッッッ??!!!」

一瞬ネックレスかと思ったが、違う、よくみると戦争時に兵士の生存確認のための認識票だった、かなりボロボロでほとんど擦り切れてる、チェーンが切れてルーガスの首から落ちてしまったのだろう、頭文字と思わしき『I』の文字だけはわかった、ただ横から線が伸びてるような気がしたところで、ルーガスが私から認識票をひったくられてしまった。

「あ、わ、悪い、拾ってもらったのに………\\\」

「いや、こっちこそごめん………貴方の認識票なの?」

「違う、俺の恩人のだ………」

「その人は……いや、やっぱり良いや」

「……勘違いしてるみたいだから言っておくけど、別にこの認識票の持ち主は生きてるからな」

「へ?、そうなの?」

「やっぱり勘違いしてたか………」

私は思わず認識票の持ち主について質問してしまいそうになるが、わざわざ常に首にかけてる認識票、形見の可能性が高いことに気づき、質問する寸前で口を閉ざす私………自分の思考を見透かしたルーガスは持ち主は生きていると忠告してくれる。

「ふーーーん、じゃああれだ、慌てて取り返したり、そんな大切に持ち歩いてる人の認識票ってことは………ズバリ、さっき言ってたルーガスの好きな人のなんでしょ?」

「ーーーッッッ……ま、まぁな………\\\」

さっきの慌てようと、持ち歩くほどの恩人……明らかにルーガスの中で特別な感情を抱いてる人物だろう、そう確信した私は彼に質問する、ルーガスもここまで来たら否定してもバレバレだと観念したのか、肯定する。

「それじゃあ、さっき勝手に見ちゃったおわびとして悩み相談室開いてあげようか?」

「え?」

「ほらほら、イヴお姉さんに何でも相談してごらん、例えばさっきの好きな人の事とか」

「……結局それが目的か……」

まだまだお姫様は帰ってこないので、自然な流れで彼の好きな人について恋バナしようとする私、そんな自分に呆れながら呟くルーガス。

「……まぁ、折角だし相談に乗ってもらうか………人間の女にとって獣人って恋愛対象になるか?」

「うーーん、人によるとしか言えないかな、嫌いな人は嫌いだし、好きな人は好きだと思うよ」

「さ、参考までに聞くが、い、イヴはどうなんだよ?」

「私?、私の場合は全然なるかな、大体が精悍な顔と体しててカッコイイし、それか可愛いし、モフモフしてるし、最高じゃん?」

「そ、そうか……\\\」

「でも私もどっちかっていうと亜人側の人間だからな~、普通の人間の感性からは離れててあんまり参考にならないかも」

「い、いやありがとう、助かったよ」

「そう?、ならいいんだけど……」

そのままルフが帰ってくるまで適当に雑談する私達。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

なにひとつ、まちがっていない。

いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。 それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。 ――なにもかもを間違えた。 そう後悔する自分の将来の姿が。 Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの? A 作者もそこまで考えていません。  どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

【完結】その令嬢は、鬼神と呼ばれて微笑んだ

やまぐちこはる
恋愛
マリエンザ・ムリエルガ辺境伯令嬢は王命により結ばれた婚約者ツィータードに恋い焦がれるあまり、言いたいこともろくに言えず、おどおどと顔色を伺ってしまうほど。ある時、愛してやまない婚約者が別の令嬢といる姿を見、ふたりに親密な噂があると耳にしたことで深く傷ついて領地へと逃げ戻る。しかし家族と、幼少から彼女を見守る使用人たちに迎えられ、心が落ち着いてくると本来の自分らしさを取り戻していった。それは自信に溢れ、辺境伯家ならではの強さを持つ、令嬢としては規格外の姿。 素顔のマリエンザを見たツィータードとは関係が変わっていくが、ツィータードに想いを寄せ、侯爵夫人を夢みる男爵令嬢が稚拙な策を企てる。 ※2022/3/20マリエンザの父の名を混同しており、訂正致しました。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 本編は37話で完結、毎日8時更新です。 お楽しみいただけたらうれしいです。 よろしくお願いいたします。

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

処理中です...