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魔王襲来編

57、成長速度

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「ふふ、この国の未来は明るいな、子供の癖に観察力に長けておる……」

「そうだね~」

上機嫌で歩くレクス、適当に同意しながら後をついていく私。

「ああ~癒される~」

見かけたペットを撫でる私……昔なら恥ずかしくて触る事ができなかった、今なら連れの子供がペットに夢中になったついでに触るという大義名分があるため、思う存分撫でれる。

「……イヴ、もうそろそろやめないか?」

「もうちょいだけ~」

「ほら、飼い主さんも困っておるし……」

「むぅ……仕方ないな………」

夢中で撫でる私を諌めるレクス、仕方ないので手を離す……あれ?、想定してた立場逆転してね?。

「それでは親に挨拶に行くとするか、や、やはり親に気に入ってもらわなければな……」

「ーーープクク、わ、私の実家はそっちだよ」

またマセた事を言い出すレクス、ここまでくると何だか面白く、含み笑いをしながら実家への道を指し示す。

「何を笑っている?」

「べ、別に、き、気にしないで、ブフッッ」

「……まぁ良いだろう、王たる者は寛大でなければな」

私がなおも含み笑いをしていると少し不満げな顔をするレクス、あ、ちょっと可愛い気がする。

「名をレクス・シファー、イヴさんとの結婚を前提にしたお付き合いをしたく、挨拶に来ました」

「お、おい、どういう事だイヴ!!、ロイ様との婚約がある上にこんな小さい子と結婚なんて………そんな子に育てた覚えはないぞ!!!」

「私もさすがにこれは犯罪だと思うの、児童ポルノ法なの、考え直してくれない?」

「えーーと、父さん母さん、ちょっと耳貸して」

さっきまでの偉そうな喋り方ではなく、存外礼儀正しく喋っているレクスに感心していると、両親は速攻で真に受け、私をショタコンの変態女だと信じ込む、流石にレクスの前で子供のママごとだからみたいな事を言うわけにはいかず、小声で事情を説明する私。

「それじゃあ何か?、子供の遊びに付き合ってあげてるだけか?」

「まぁ、そんな感じ」

「ウフフフ、全くモテモテなんだから~」

要点だけ説明する私、両親は娘がショタコン変態女じゃないという事実に安堵する。

ーーーーーーーー

「それで……我はイヴにふさわしい男だろうか?」

「うーーーん」

あの後、適当に雑談した私達は外に出て適当なベンチへ座る、不意に質問してくるレクス………そろそろ日も暮れるころだし、そろそろハッキリさせようか。

「そうだね、レクス君は良い子だし結婚してあげても良いよ」

「ホ、ホントか??!!!」

「ただし……」

「ただし?」

「君が大きくなって、それでも私の事が好きだったら良いよ」

「え?」

お姉ちゃんの伝家の宝刀、リーサル・ウェポンたる、「大きくなったらいいよ」、子供の頃の記憶なんて曖昧で、成長したら忘れる事を逆手に取るという策士すぎる一手、我ながら惚れ惚れする。

「大きいってどのくらいどのくらいなのだ?」

「最低で私と同じくらいか大きいくらいの身長は欲しいかな~」

「それならば何とかなるぞ!!」

「へ?ーーーウワッッップ」

突如、レクスが煙に包まれた、その後、視界が悪い中、彼が抱きついてくる……煙と突如抱きついてこられた私は驚き、珍妙な声を上げてしまう。

「これならどうだイヴ、お前よりデカくなったぞ」

「………子供の成長速度エグすぎな?」

煙が晴れる、私の腰に抱きついていたのは少年ではなく、青年だった、口ぶりから察するにレクスだと思われる、一瞬で青年に変身した彼に、唖然としながら、混乱しながら、呟いた。




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