52 / 75
ロイ様とデート編
52、ロイと祭りデート
しおりを挟む「……貴女は本当にロイ愛しているのですか?」
「あ、当たり前です!」
王妃様に仲を勘ぐられる私………確かに浮いた話の一つもないというのは怪しいと思われても仕方ない。
「それじゃあ、丁度良く祭りが開かれるそうなのでロイを誘ってみなさい」
「ええ??!!」
「おや、何か問題でも?、腕の立つ貴女が一緒ならロイの身も安全でしょう……」
「わ、わかりました……」
「………デートの様子は観察させてもらいます、結果次第では婚約は解消させてもらいます、元々、婚約者を決める大会の参加にはロイを愛してることが必須条件だったので、愛してないというなら貴方にはそもそも参加資格がないということですからね……」
「…………はい……」
………まさか勇者パーティについた嘘がこんな風に実現してしまうとは夢にも思ってなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……という訳でロイ様、祭りデートをしましょう」
「ま、全く、母上は……仕方ないですね\\\\」
王妃様に解放された後、ロイに事情を話す、少し嬉しそうに顔を赤らめてる気がする……もしかしたらロイは祭りを誰かと楽しみたかったのかもしれん、王族だからそういうとこ行けなそうだしなぁ………。
「あ、ベビーカステラ売ってますよ、イヴさん!」
「出店のやつってなんで、ああ美味そうに見えるんだろ………」
とりあえず二人で街へと移動する、街は人で賑わっていた、祭りだから当然といえば当然、出店が並び、夜とは思えないほど明るい街並み、一応ロイには顔を変える魔道具を使ってもらっている。
「おじさん、ベビーカステラ二袋お願いします」
「はいよッッ!!、アツアツのうちに食べな………おや、あんたらカップルかい?」
「え??!!、い、いやあのその僕たちは\\\\\\」
「あ、はいカップルです」
「へへへ、初々しくて良いねこりゃ、よし、もうひとつオマケだ」
「おじさん男前~」
「おおわかってるじゃねぇか姉ちゃん!!、よし、なら一個半額に負けてやる!!!」
「ありがとうございます~」
ベビーカステラを購入、店主と雑談をした後、食べ歩く私達。
「ーーーーあれ?、イヴさんどこに………」
「こっちですよ」
「あ、そっちですーーーッッてうわッッッ??!!」
「へへ、びっくりしました?そこの売店で買ってきました」
不意に後ろからロイの肩を叩く私、振り向く彼は魔物のお面をつけた私にびっくりする。
「ほ、本当にびっくりしましたよ………」
「どうぞこれ」
「?」
「貴方の分も買ってきましたので」
「あ、ありがとうございます\\\」
適当に買ったお面をロイに手渡す、赤くなった顔を隠すようにお面をつけるロイ。
「……もうそろそろやめにしませんか?」
「あ、後一回だけですから!!」
今度は金魚掬いに夢中なロイ、破れたポイが山のように積み上がる。
「くぅ………『発疹皮膚武器』さえ使えれば一発なのに……」
「い、意外と射撃下手なんですねイヴさん……」
次は射的、コルク銃で商品を狙うが当たらない、普段使っている武器と感覚が違いすぎて狙いが定まらん。
「……あ、せっかく祭りなのでこれ着てみませんか?」
「みたことない服ですね?」
「実は祭りというのはある極東の島国での『縁日』が原点らしく、島民は祭りをする時はこの服を着るそうです」
「へぇ~」
ロイと二人で着物を借りる。
「い、イヴさん綺麗ですね……」
「ども、ロイ様も似合ってますよ」
お互いの着物姿を褒め合った後、そのまま街中を練り歩く。
「………その、イヴさん…」
「なんでしょうか?」
「………様づけをやめてくれないか?」
「へ??!!、そ、それは………その………」
「………いつまでも様付けしてたら、その、母上が僕達の仲を疑う理由にもなりそうですし、そ、それにいくら顔を変えても様付けで呼んでいては裕福な人物だとバレてしまいそうですし………」
「た、確かに……では……ロイ……\\\\」
「は、はい\\\\\\」
私が彼の名前を呼んだ瞬間、ロイは固まる、何事かと思ったら、自分を呼び捨てで呼んでほしいと頼んでくる、王族を名前呼びなんてしたくないが、確かに今はデート中な上、今後、王妃に勘繰られる要素はなるべく無くしたい、私は湯気を噴きながら呼ぶ、ロイも顔をりんごのように真っ赤にしながら返答する。
「え、えっと\\、あっちの焼きそば美味そうですよ!!」
「あ、は、はい!!\\\」
私は誤魔化すように焼きそばをロイ様に勧める。
(………な、なんだこの胸の高鳴りは……いやいやいや、相手は王族………いや、でも、私たち婚約してたな…………ーーーーッッッ、そうだよ、なに舞い上がってるだ私は………ロイ様ーーいやロイには………好きな人がいるっていうのに………)
「………イヴさん?」
「あ、すいません、ちょっとぼーっとしてしました!!」
少し甘酸っぱい雰囲気に私の胸が高鳴ったが………ロイ様には好きな相手がいることを思い出す、ロイ様は足を止めた私を心配そうに眺めてくる、私は適当に誤魔化す。
「……綺麗ですね」
「……はい」
ドンドンと大きい音ともに夜空で広がる光の花、ベンチに座りながら、花火を見ながら食べる焼きそばの味も意外と化けるものだ。
「………すいません……」
「え?、何がですかイヴさん?」
「……本当は好きな相手と祭りを楽しみたかったですよね………なのに……私なんかと回ることになってしまって………」
「………気にしないでください、寧ろ最高でした………」
「……ごめんなさい………」
もう王妃とか関係なしに楽しんでいたが、よくよく考えてみれば彼には好きな相手がいるのを思い出し、無意識の内に謝罪していた。
「………だって、僕の好きな人って貴女ですから…………」
「…………はい?」
私は思いがけない返事に間抜けな声と顔を晒す、その後、花火が大きな爆発音を鳴らす………。
0
お気に入りに追加
2,367
あなたにおすすめの小説

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。


【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる