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勇者来訪編
49、勇者パーティーに仮加入
しおりを挟む「わかりました、加入します、ですので付き纏うのやめてください」
「い、いいのか??!!」
ここ数日、ずっとアレックスに付き纏われていた私はついに音を上げる。
「一ヶ月に一回依頼を手伝う、予定が噛み合わない場合は二、三ヶ月に一回になるかも、この条件ならいいですよ」
「そ、それで全然構わない!!」
内心ため息をつきつつ、勇者パーティーへと参加表明をする私。
ーーーーーーーーー
「知ってるとは思いますがイヴ・ペンドラゴンです、時々ですが依頼を手伝わせてもらいます」
「よろしく!!」
「よろしくね」
「よろしく~」
「よろしくです」
適当に自己紹介をする私、みんな顔は笑っているが、アレックス以外歓迎してない感じが伝わってくる。
「………えーー、婚約者との付き合いもあるので、もしかしたら二、三ヶ月に一回とかになってしまうかもしれませんけど、そこはご了承ください」
「それは残念だな」
「そ、そうなんだ~」
「し、仕方ないですよ、気にしないでください」
「そうそう、も、元々こちらが無理を行って参加してもらってるし」
面倒臭い事になる前に自分には婚約者がいて、さらにラブラブという事を伝えて、自分は勇者様に興味一切ないですよとアピールをする、するとアレックスは暗い顔で少し不本意そうだが、他のメンバー達は少し顔色が明るくなる。
……まぁ実際は婚約者との予定なんかないが、今は面倒を避けるための建前として使う。
「それでは早速依頼の話してもいいかな?」
「はい大丈夫です」
「近隣の街に珍しい魔物が襲撃を仕掛けてくるらしい、キッカリ夜の零時に、それを撃退してほしいらしい」
「時間きっかりなのは裏で誰かが手をひいてるって事なのかな?」
「なんとも言えませんね、その魔物の習性という可能性もありますし」
「零時に来るっていうなら結構時間ないね、急いで馬車に乗ろう」
アレックスは早速依頼の話をする、スイッチが切り替わったかのように真剣味を帯びるパーティーメンバー達の表情。
「…それで、私はどこの役割をすればいいでしょうか、後方火力ですか?、それとも前衛でしょうか?」
「ああ、そういえば決めてなかったな、君の後方火力とは一発の威力が高いのか?」
「一発の威力が高いのも手数を出して面制圧することも可能です」
「おお!!」
「ただ、一発の火力を出しても、面制圧の方でも、ヘタをすると味方すら巻き込んでしまう可能性があるので、できれば前衛の方が良いと思います」
「そうか………なら前衛でいいだろう」
馬車内で最低限の打ち合わせをする私達。
「………あれですか?」
夜の闇の中に浮かび上がる魔物の群れ、心なしか月の輝きで体がテカっているように見える。
「ああそうだ……いくぞみんな!!」
「「「おう!!!」」」
魔物群れに突っ込む五人の影達。
「ーーーgm3イオ0w50っw50っyぎ0氏0dt」
「ーーーッッッ??!」
奇声を上げながら突っ込んでくる魔物、金属同士を擦り合わせたような嫌な音が鳴り響く、魔物の方を見ると、体のところどころが機械化していた、なんだか親近感を覚えてしまいそうになるが、敵に情けをかけるわけにはいかない。
『ーー歪・鉄屑針鼠、一斉射撃!!!』
体から無数の武器と砲身を展開し、魔物を蹴散らしていく。
「す、すごい一瞬でこんなに数を減らした……」
「ーーアレックス様、このまま私が敵を減らしていきますので撃ち漏らしたやつが後ろの人達にいかないようにしてください」
そのまま魔物を蹴散らしていく私、しかし………。
「一体何体いるんだこれ」
倒しても倒してもキリがない、底が見えない。
「ハッッッ!!」
不意にアレックスが横にきて、魔物を斬り倒す。
「アレックス様、クリス様達は大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ、彼女達ならこの程度の魔物、軽くあしらえるさ」
「………そうですか」
「それに女の子一人に前衛を任せるわけにはいかないからね」
「それじゃあ背中は任せましたよ、アレックス様」
アレックスが加わった討伐速度は圧倒的だった、剣の一振りで何体もの魔物が屠られ、死んでいく。
「これで最後かな」
「ですね」
最後の敵を斬り倒し、一息つく私達。
「gjめいをおn5h9w834gw8えwgh5wy」
「ーーーッッッ??!!」
「ーーーーアレックス様ッッッ??!!」
さっきの魔物達より一際大きいノイズのような金切り声が響く、ーー刹那、地面から何者かが飛び出しきて、アレックスを刃で刺し貫く。
「大丈夫ですか??!!!」
「だ、大丈夫だ、この程度なら回復アイテムでなんとかなる」
「まだいたのか………」
「gにおれぎおあいおえお4g五位髭ヒpr」
………かなり大きい魔物だ、余裕で私の二倍くらいの背丈と横幅をしている………そしてさっきの魔物達より重装備だ。
「コロス、イヴ・ペンドラゴンコロス!!、ワタシカラナニモカモヲウバッタ!!」
「何の話……ーーーッッッ、あ、貴女まさか………イザベラ??!!」
「grうぇあおいhがtyw三千四百八ht0亞4w0hthq830t4q三千八百九十t!!!!!!!」
訳のわからない事を言う魔物、よく顔を観察するとイザベラの面影がある、変わり果てた姿に一瞬わからなかった、機械が入り混じった歪な怪物となった彼女は雄叫びをあげる。
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