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ロイ争奪大会編
32、アレンの依頼
しおりを挟む「レディースエンガールズ!!、さぁ、今宵優勝に輝き、王子との婚約を決めるのは誰でしょうか!!」
「私よ!!」
「いや私が!!」
「私がロイ王子と結婚するの!!」
熱気渦巻くコロシアム、白熱する参加者同士の睨み合い、湧き上がる観客席、一番凄い所はこの場に女だけしかいない事だろう、いや、正確に言えばただ一人だけいる、ロイ王子が複雑そうな顔を浮かべて。
「………絶対勝つ」
不退転の覚悟を決めて一人呟く私。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数週間前
「頼むイヴ!!、兄さんを助けてくれ!!」
「ちょ、ちょっと落ち着いてアレン様、一体どうしたんですか?」
いきなり自宅へと押しかけてくるアレン様、護衛のハルは少し複雑そうな顔をしている。
「ーーなるほど、要約するといつまでも婚約相手を決めないロイ王子に痺れを切らして婚約相手を決める武闘大会を開いたってわけね」
「そ、そうだ!!」
アレンの興奮まじりに喋る話を要約するのには結構骨が折れた。
「それで、私にどうして欲しいのですか?」
「い、イヴに優勝してほしい!!」
「つまり私にロイ様と結婚しろと?、それはちょっと嫌ですね、結婚相手ぐらいは自分で決めたいです」
ロイの事は好きだが、恋愛対象ではないので、流石にそれは気が引ける。
「ち、違う!!、兄さんの恋が実るまでの間、婚約者で居てほしいってだけだ!!」
「ん?どういう事です?」
「………実は兄さんには好きな人がいるんだ………前、偶然遊びに行った時、部屋に入ろうとしたら独り言を言ってたんだ………『やっぱり嫌だ、好きな人がいるのに、他の人と結婚するなんて』って泣きながら、呟いてたんだ……だから……」
「ーーー引き受けた」
「い、良いのか??!!」
「うん、ロイ様には幸せになってほしいからね、他の人が優勝したらしたで、ロイ様はアルフレッドと違って浮気なんかしないだろうけど、それでも好きな人のことが気になって結局破局しちゃいそうだし」
「い、イヴ……」
どうやらロイ様には想い人がいるらしい、それなら力になりたい、無理矢理婚約させたところで悲しい結末しか待ってない気がする、なんせお互いの合意の上で婚約した私ですら婚約破棄をされてしまっているのだ、ロイ様も相手も傷つく結果だけは避けなければ。
「……それで?、ハルは良いの?、こんなおおっぴらに王族相手に偽装婚約をしようって話をしちゃってるわけだけど
、王様とか軍上層部にチクる?」
「……あ?、悪い悪い、うたた寝してて全部聞いてなかった、で、なんの話だっけ?」
「わざとらしい……けどま、嫌いじゃないよアンタのそういう所」
軍人のハルにとってはあまり穏やかな話じゃないだろう、万が一バレた時、知っていたとなれば厳罰は免れない、しかし、ハルはわざとらしく欠伸をして寝てたアピールをしてくる、苦笑する私。
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