私この戦いが終わったら結婚するんだ〜何年も命懸けで働いて仕送りし続けて遂に戦争が終わって帰ってきたら婚約者と妹が不倫をしてて婚約破棄された〜

ターナー

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即ざまぁ編

8、sideロイ、彼女が頭から離れない

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「どうしたのでしょうかロイ様、二、三時間の間ずっと中庭でボーッとして」

「無理もないでしょう、なんせ昨日、命を狙われたんだから」


遠くでメイド達が何か会話してるのが目に入る。

「ハァ……」

ため息を吐く自分、わかっている、使用人達をいたずらに心配させるのはダメだと。

「イヴさん……」

昨日の事が頭を離れない、あの後も、さも助けるのが当然といった様子で、何にも要求せずに部屋へと帰っていった彼女、朝になったら何か要求されるのかと身構えていたら、むしろいつの間にか王宮を出たらしい、いままで会ってきた人間はほぼ全員が何か見返りを期待して好意的に接してきた、特に女性達はその傾向が強い、しかし、イヴさんは命を救うという大きな借りを作ったにも関わらず、自分に何一つ要求しなかった。

「…………」

気がつくと彼女の事ばかり考えている、夜空のように煌めく黒髪と黒目、貴族令嬢の病的に白い肌や華奢な体とは違う、健康的に焼けた肌、適度に鍛えられた体、敵と向き合えば、自分と話してる時に浮かべている愛想笑いではなく、獲物をみつけた野獣のように獰猛に笑い、冷たく、研ぎ澄まされた刃で敵を蹂躙する、しかし、戦いが終われば優しく笑いかけてくれる、昨日の夜のことを思い出すだけでドキドキする。

「ま、まさか、僕は、イヴさんの事を………」

流石に自覚した、自分は彼女に恋をしたのだと、我ながら命を救ってもらっただけで惚れるなんてわかりやすい事この上ないが、それでも仕方ない、もう自覚してしまった恋心を止められるはずがない。

「だ、だめだ!!!!、い、イヴさんには婚約者が、いや、で、でも、確か婚約破棄されたといっていたな、なら僕にもチャンスはあるのか?」


胸の高鳴りが抑えられない、不意に婚約破棄された事を思い出す自分、彼女の不幸を喜ぶようで不謹慎なのはわかっているが、それでも自分の恋がうまくいきそうな事実に希望を感じ始める。

「最低だな僕は…」

そう言いながらも笑みが消えない、目を瞑ると自然と彼女が照れたように頬を掻く姿を思い出す。

「ーーーーダメだぞ兄さん!!!」

「ーーーッッッ??!!、ああ、どうしたんだいアレン?」

「ーーーイヴは俺が先に見つけたんだ!!だから俺のだ!!!」

「??!!」

いつの間にか弟のアレンが側にいた、なんのことかと聞くとどうやらイヴさんの事らしい。

「アレン、女性をモノのように言ってはなダメだよ」

「ーーーウッッッッ」

「全く、罪な女性ですね」

どうやらアレンも彼女が気になっているらしい、兄弟二人の心を奪うイヴさんの魅力にため息を吐く………。

「ーーーで、でもイヴのウィーンガシャガシャーン!!は兄さんにも譲らないぞ!!!」

「う、ウィーンガシャガシャーン?」

「?、兄さんもイヴの格好良さが気になってるんじゃないの?」

「ああ、なるほど」

どうやらアレンは恋心というよりは興味とか関心を持っているだけの状態らしい、確かに、彼女の技は子供ウケは良さそうだ、特に男の子にはたまらないと思う、自分だって彼女の体の一部となっている機械部品が駆動する時、ちょっとワクワクする、蒸気機関車や船などに乗るときの高揚感に近い。

「イヴの技はすごいんだぞ!!、槍や剣、斧や槌、そして砲弾、ありとあらゆる武器が飛んできて、逃げ場が全く無かった!!!」

「そうなのか、でも、僕もすごい技を見せてもらったよ」

「えええ???、どんな技を見せてもらったの???」

「射出した刀身が無数の刃に分かれて敵を切り裂くんだ」

「そ、そんな技も持っているのか!!!、兄様だけそんなの見てずるい!!!!!」


アレンが興奮した様子でイヴさんの技を説明してくる………自分も負けじと見た技の特徴を言うと羨ましがるアレン……。


「はは、見た目の派手さで言えばアレンが見た方が上だと思うけどな、それじゃあ、今度お互いが見てない技を見せて貰えるようにイヴさんに頼んでみるよ」

「いいの??!!」

そんな弟の様子がおかしくて少し苦笑しながら、弟を諌める。

「頼んでみるけど、彼女が拒否したらちゃんと諦めような」

「ええ??、絶対に見たいよ!!!」

「アレン、昨日言ったことをもう忘れたのか?」

「うっっっ、レディーをあまり困らせちゃダメ」

「そうだ、レディーには優しくしないと、そうしないとイヴさんにも嫌われちゃうかもしれないぞ?」

「そ、そんなの嫌だ!!!」

「だろう?、だから、彼女が嫌がったらちゃんと納得するんだ、わかったな?」

「わかった」

最初は拒否してたものの、丁寧に説明したら少々不満げながらも納得する弟。


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