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16、リフィルだけの騎士
しおりを挟む「にしても、会わないうちに副団長なんてびっくりしたよ、すごいね」
「い、いえ、全然………そんな事ないですよ\\\\」
久しぶりにあったので挨拶がてら雑談を適当する私とエクティス。
「で、その、あの約束は……覚えてますか?」
「約束?……ああ、私だけの騎士になってくれるって奴?」
「そ、そうです!!、僕もあの時よりはすごく強くなったので是非!!」
「う、うぅーーん、べ、別に良いけど……私、勇者パーティーをクビになったし、今やただの新米冒険者だよ?、律儀に私の護衛っていうか、騎士っていうか、仲間になる必要はないよ?、副団長なんでしょエクティス、忙しいんじゃないの?」
「その点は大丈夫です!!、リ、リフィルの騎士にしてくれるなら騎士団を退職する手続きは済んでますから!!」
「え??!!……………い、良いの?」
「はい!!」
………私専属の騎士になる為に騎士団をやめるとか言い出したエクティス………いや、これがただの平団員だったらそこまで問題はないだろうが、副団長である彼が辞める原因になるのは少し気が引ける。
「それなんだが………少し提案がある、聞いてもらえるかな?」
「え?、なんですか?」
「別にちゃんと手続きを踏んで辞めているエクティスを責める事はしないし、リフィルさんにも文句はない………が、彼はかなり優秀な騎士でね、できる事ならやめてほしくないんだ、そこで提案なんだが………リフィルさん、君、騎士団に入らないか?」
「へ?、わ、私なんかが騎士団に?なんで?」
「何、エクスは君にゾッコーーー」
「ーーー団長!!\\\」
「………失敬、ドライガ副団長は君に命を救われた事に深い恩義を感じていて、身の回りの世話や護衛をしたいと常々言っていた………なら、リフィルさんが騎士団に入れば彼が辞める必要はなくなるだろう?、元勇者パーティーの八つ裂き乱射竜ならば即戦力だしな」
「なるほど…………」
………どうやら、かなり私に対して恩を感じていたらしい………副団長に辞められるのは困るから、恩人を騎士団にいれてしまえば、辞めないだろうという事らしい………確かに魅力的な話ではある、不安定な職業の冒険者と比べて、高収入、階級が上がれば、比例して権力も手にできる、場合によっては爵位なんかももらえるだろう。
「…………すみません、断らせてもらいます」
「参考までに理由を聞いても良いかな?」
「私、今の冒険者家業気に入ってるし…………契約者のルーガスと胸躍る冒険や旅行するって約束しちゃってるんで……ね、ルーガス?」
「ーー!!\\、そ、そうだな………グス\\\\」
入団勧誘を断る私、理由を聞いてくるクレア、私は即座に返事する、ルーガスの頭に手を乗せながら………少しイジケながらも、赤面して同意するルーガス。
「ーーーけい、やく?」
「フフ………そうか、わかった、ならこれ以上の勧誘はやめておくよ」
団長は少し含み笑いをして席を立つ………エクティスの様子が少し変だったが、気のせいだろう………。
「かなり厄介なライバルがいるようだ、頑張れよエクス」
「ーー!!、ナナナナナ、何を言ってるんですか団長!!\\\」
「ハハハ、悔いのないよう、早く素直になった方がいいぞ………ああ、退職のための最終手続きは私が済ませておくから、後は君の好きにすると良い」
「ーーーッッッ\\\………その、今までお世話になりました、クレア団長」
「フフ……こちらこそ、君の活躍には助けられた、お疲れ様」
席を立った後、エクティスに耳打ちをするクレアさん、その瞬間、エクティスの顔が赤く染まる………細かい話はよく分からないが、どうやら雰囲気的にクレアさんがエクティスを揶揄っているようだ………気が済んだのか、退職についての連絡事項を伝え終わった後、退室するクレアさん。
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