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14、とある騎士の過去
しおりを挟む「ウッッッッ、ウッッッッ」
「泣き虫だなぁ………男の子でしょ、もっとシャンとしなよ」
「だって……ヒック………俺のせいで…ヒック…お姉ちゃんの腕が……」
「なぁに、私たちは貴方達を守るために旅をしているんだ、これくらい安いもんさ」
………他の勇者パーティーの面々は魔王軍幹部を倒すことの方が大事なのか、逃げ遅れた俺には見向きにもしなかった………だけど、この人だけは自分の片腕と引き換えにしてでも、俺を守ってくれた………腕を失っても、泣きじゃくる俺に笑いかけてくれる彼女。
どんなに深い闇の底、人々の悲鳴が響き渡る、この地獄の中でも貴女は誰かの希望となる、鋼の誓いに鉄の心、削られて抉られて叩き潰されても守るべきもののために立ち上がり、立ち塞がり、守り抜く、愚鈍で愚直で愚劣の正真正銘の愚者、戦場で愛の旗印を掲げる滑稽な道化師………ーーーーだが、それこそが騎士の本懐、いやは彼女は騎士ではなく機竜、弱きを守る鋼鉄の機竜………。
ーーーーーーーーーー
「リフィルお姉ちゃん、もう行っちゃうの?」
「見送りに来てくれたんだ………うん、じゃあね」
失った腕の代わりに魔鉄義手を手に入れた彼女はリハビリを驚くほど短期間で終わらせた、いつまでもこの町にいるわけにもいかず、程なくして彼女がこの街を出る、今日は彼女の出発日だ。
「ごめん……俺のせいで………」
義手が目に入った瞬間、申し訳ない気持ちから謝罪をしてしまう。
「……だからそんな気にしないでよ………寧ろ、こっちの腕の方が逞しくて強そうじゃない?」
「…………」
彼女は俺を気遣って気にしてないように振る舞う………そんなわけがない、誰だって自分の腕を失うのは嫌に決まってる……。
「………リフィル、俺、騎士になる………少しでもリフィルの負担が減るように、人を、街を、国を、みんなを守る騎士になる!!」
「ーーー!!………そっか、頑張って」
俺の目標を聞いて、微笑ましいものを見るような目で、優しい笑みを浮かべる彼女。
「そ、それでさ……その、俺が立派な騎士になったら…俺、お前の………リフィルだけの騎士になりたい!!\\\\」
「へ?……ふふ、まぁ、そうだね………魔王を倒して、私が勇者パーティーじゃなくなったら、その時は考えなくもないかな」
「ほ、ほんとか??!!!、」
「ほんとほんと……でも、ちゃんと立派な騎士になってないとダメだからね」
「わかった!!」
俺はその日から立派な騎士を目指す。
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