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17、『ざまぁ』、side勇者パーティー2、『終わりなき園』攻略失敗
しおりを挟む「クソッッ!!」
植物の壁で仕切られた迷路の中で叫ぶロゴミス。
『終わりなき園』の攻略を始めて四、五日が経っていた、しかし、未だに最奥に待っているボスを倒せないでいる………というか、道中の雑魚敵に苦戦して最奥のボスにすら辿り着けていない
『終わりなき園』という名前は伊達ではなく、出てくる敵単体は弱いのだが、本体や群れのリーダーを倒さなければ無限に湧いてくる魔物がうじゃうじゃ出てくる………先の盗賊の戦いと同じだ、パーティーメンバー達は息を合わせず、戦うのでお互いの足を引っ張り合い、なんて事ない敵に苦戦して、中々進めない。
イライラするロゴミス、ここがさして重要でもないダンジョンだったら放置したが、魔王城に張ってある無数の強力な結界、この結界は無理やり通ろうとすると体力が大幅に削られてしまう、それは望ましくない………この結界を解除できる魔道具をここのボスが所有しているらしい、全ての結界を完全に消すには後いくつかの魔道具が必要、そのうちの一つを回収するために『終わりなき園』の攻略を開始したのだが……。
「なんなんだよここは!!、雑魚どもが一生絡んでくる!!、本当にこんなところに結界解除の魔道具があるのか??!!」
「おそらくある……確かな筋からの情報だ」
「クソッッッ、こんな所で四、五日も足止めを食らうなんて……」
「はぁ……あっついし臭いしサイアク、あたしお風呂入りたいんだけど………」
「我慢してくださいシャーリー、私達は世界を救うため、魔王を倒すという崇高な使命がーーー」
「ーーーそんなこと言ったって、イザベラだってもう限界でしょ?」
「ーーーそれは………」
シャーリーのイライラは、イザベラ自身も痛いほど分かった、同じ女性として四、五日も風呂に入ってないのは堪え難い、これがまだ攻略が進んでいるなら我慢できるが、実際には攻略の目処は全くの白紙、これでストレスを感じない方がおかしい。
「………アイツがいれば………」
「ーーー!!、ガンツ、それは誰のことだ?」
「………ロゴミスもわかってるだろ?、リフィルの事だ」
「ーーーーッッッ!!」
ロゴミスは悔しそうに奥歯を噛み締める。
「リフィルなら雑魚処理を一手に引き受けられる」
「巫山戯るな!!、俺があんなゴミの力を頼りにしなければならないだと!!、バカも休み休み言え!!」
「そうよ、あんな鉄屑女目障りで仕方なかったんだからさ、せっかく追い出したのに戻すって?、冗談じゃない!!」
「………同感です」
「俺だって同意見だ、だが……いつまでもここで雑魚敵に手間取っているわけにもいくまい?」
「ーーーッッッ」
ロゴミスは再度、言葉に詰まる……確かにこのまま無限湧きする雑魚敵に足踏みしてるわけにはいかない、いかに強力な戦闘力を持っていても、彼らの杜撰という言葉すら生ぬるい連携では突破は難しい、最低限、チームワークがなければすぐさま増殖する魔物に足元をすくわれ、そこから陣形が崩れてしまう……まぁ、元々穴だらけの布陣だが………。
そして、現状の問題を解決できる心当たりはリフィルだけだった。
確かに、魔力量が少ない彼女は機竜人の魔法や能力を使うたびに後ろに下がらなければならなかったが…………そもそもそれを加味しても優秀だったのだ。
近中遠を問わず、戦え、視界が埋め尽くされるほど湧いてくる雑魚を一掃できるほどの範囲攻撃、魔王軍幹部クラスにも通用する技を備えている戦士など、彼女以外に存在しなかった。
さらに言えば、ダンジョンの構造を一瞬で把握する斥候職以上の探知技を備えていたし、大量の食料や水も持たされていたが、難なく運ぶ馬力。
勇者パーティーの面々は雑用と侮っていたが、側から見ればリフィルにおんぶに抱っこ状態だったのだ………最上位の冒険者パーティーですら聞いたら喉から手が出るほどの存在。
……今になってリフィルの重要性を認識したが、ロゴミスはその事実から無意識に目を逸らした。
勇者として呼ばれ、世界中の人間から尊敬の念を抱かれていただけに、自分の考えは全て正しいと考え、行動する………しかし、リフィルの件だけは失敗と言わざるを得なかった。
「あんなゴミ女が役に立つなんておかしい」
「………あの人の力がなければ攻略できないなんてありえません………」
シャーリーもイザベラも似たようなものだ、シャーリーは魔力が高く、主家に属していたから小さい頃から蝶よ花よとめでられ育ってきたし、イザベラだって名家の出なので何不自由ない暮らしをしてきた、だからこそ、魔力の高い自分達は回復の必要のないタイミングで後ろに下がってポーションを飲むリフィルが腹立たしく、鬱陶しく、大して働いてもないのに休んでいるサボり魔に見えたのだろう。
「お前らの言いたいことはわかる………だが、いつまで雑魚敵どもに足止めを食らうつもりだ?」
ガンツの言葉が三人の心に突き刺さる………なんなら言っている本人すら重くのしかかってた……。
四、五日間、ここで無限湧きする雑魚敵と戦った記憶が思い出される、タイミング的にリフィルがいなくなった瞬間、商人の護衛を失敗した上、更にこのことが原因で自分達の旅が停滞してしまったら、リフィルのおかげで今までやってこれたのではないか?、という疑念が頭から消せなくなってしまう……。
「………『終わりなき園』の攻略だけ、ヤツの力を借りないか?、何、再度、仲間にするんじゃない、ただの雑魚処理、露払いとして連れてくるだけだ」
「でもさ~素直についてこないでしょ?」
「そうですね、真実しか言ってませんが、無能は無駄にプライドが高いので……」
「それは……ロゴミスと一緒に頼めば良いじゃないか?」
「……なるほどな」
ガンツの言葉に理解を示すロゴミス。
「アイツは一般市民のために片腕を犠牲にするほどのお人好しな上、ロゴミスにゾッコンだ、適当に謝って再度婚約の約束でもしてやれば尻尾を振ってついてくるだろう………」
「そんで、全部片付いたらまたクビにしちゃうって事か!!!」
「なんの価値もない者に我々の崇高な目的を手伝わせて上げるのだから、咽び泣いて喜ぶ事でしょう」
「じゃあ決まりだな、頼むぞロゴミス」
「任せておいてくれ、あんなバカでチョロい女、すぐに騙くらかしてやる」
彼らは意気揚々と街へ戻る、途方に暮れてるリフィルに役目を与えてやる自分達はなんと良い奴なんだと自画自賛しながら……………しかし、彼らは知るよしもなかった……リフィルにはルーガスやエクティス、頼りになる仲間と出会っている事を。
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