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番外編2 サミュエルの初恋
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「剣術、大会?」
「そう。サムも興味あるなら観戦するかい?」
兄の口から出てきた聞き馴れない単語にサミュエルはおうむ返しに答える。
口元へと運んでいた途中だったカップの中のミルクたっぷりのお茶が揺れて、まん丸に身開いたサミュエルの瞳を歪ませる。
「兄上もその大会に参加するの?」
「いいや。私は観戦だけだよ。今回の大会の目的は将来有望な人物を見つけることでね。参加するのは主に騎士見習いや、将来騎士を目指している子息子女なんだ」
「僕と同じくらいの子供達が参加するってこと?」
「うーん…流石にもうちょっと歳上の子達かな。あ、そうだ。この前サムが聞いてきたブラック伯爵家のご令嬢も参加するとか」
「え!?オリヴィアが!?」
驚いた拍子に、今度こそサミュエルの手の中のカップからお茶が一粒こぼれて落ちる。
慌てて駆け寄ってくる侍女に大丈夫と返すと、サミュエルはもうお茶をこぼさないようにカップをローテーブルの上へと置く。
「ふふ、そんなに驚くことかい?」
「だ、だってオリヴィアはまだ12歳だし…それに女の子だよ!」
「おや。女の子が参加するのは何か問題かな?騎士団にも数名、女性騎士が居るよ」
「で、でも、危ないし…心配だし…」
「…」
何やらもじもじと口籠る弟の可愛らしい姿に、普段から弟達を目に入れても痛くないほど可愛がっている第一王子の心にむくむくと僅かばかりの悪戯心と、ちょっぴりの嫉妬心がぴょこんと芽を出す。
「…やっぱり私も参加しようかな?」
「え、そうなの?頑張ってね」
「兄に対して冷たくないかい!?あれ!?サム!?私のことは心配してくれないのかい!?」
頬を膨らませて「最近の弟が冷たい…」やら、「所詮、兄より彼女なのか?」やら呟き、果ては「やっぱり立場的にまず長兄の私が婚約しないと…」と何やら大分先走った発言を1人でしている兄を完全に無視してサミュエルは自分の考えに沈む。
「(…オリヴィアが心配、だけど…。でも応援してあげなきゃ。直接がんばれって言えるかな?)」
兄の先走った呟きが耳に入っていないサミュエルは、いまだ幼いその気持ちが何かは分からず。
それでもオリヴィアのことを考えて何やら温かい気持ちになった。
「そう。サムも興味あるなら観戦するかい?」
兄の口から出てきた聞き馴れない単語にサミュエルはおうむ返しに答える。
口元へと運んでいた途中だったカップの中のミルクたっぷりのお茶が揺れて、まん丸に身開いたサミュエルの瞳を歪ませる。
「兄上もその大会に参加するの?」
「いいや。私は観戦だけだよ。今回の大会の目的は将来有望な人物を見つけることでね。参加するのは主に騎士見習いや、将来騎士を目指している子息子女なんだ」
「僕と同じくらいの子供達が参加するってこと?」
「うーん…流石にもうちょっと歳上の子達かな。あ、そうだ。この前サムが聞いてきたブラック伯爵家のご令嬢も参加するとか」
「え!?オリヴィアが!?」
驚いた拍子に、今度こそサミュエルの手の中のカップからお茶が一粒こぼれて落ちる。
慌てて駆け寄ってくる侍女に大丈夫と返すと、サミュエルはもうお茶をこぼさないようにカップをローテーブルの上へと置く。
「ふふ、そんなに驚くことかい?」
「だ、だってオリヴィアはまだ12歳だし…それに女の子だよ!」
「おや。女の子が参加するのは何か問題かな?騎士団にも数名、女性騎士が居るよ」
「で、でも、危ないし…心配だし…」
「…」
何やらもじもじと口籠る弟の可愛らしい姿に、普段から弟達を目に入れても痛くないほど可愛がっている第一王子の心にむくむくと僅かばかりの悪戯心と、ちょっぴりの嫉妬心がぴょこんと芽を出す。
「…やっぱり私も参加しようかな?」
「え、そうなの?頑張ってね」
「兄に対して冷たくないかい!?あれ!?サム!?私のことは心配してくれないのかい!?」
頬を膨らませて「最近の弟が冷たい…」やら、「所詮、兄より彼女なのか?」やら呟き、果ては「やっぱり立場的にまず長兄の私が婚約しないと…」と何やら大分先走った発言を1人でしている兄を完全に無視してサミュエルは自分の考えに沈む。
「(…オリヴィアが心配、だけど…。でも応援してあげなきゃ。直接がんばれって言えるかな?)」
兄の先走った呟きが耳に入っていないサミュエルは、いまだ幼いその気持ちが何かは分からず。
それでもオリヴィアのことを考えて何やら温かい気持ちになった。
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