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番外編2 サミュエルの初恋
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柔らかな金髪を風に揺らし、逞しい青年へと成長したサミュエル第三王子殿下のまだ幼い時分。
彼は今とは少しばかり印象の違う少年だった。頭がとても良かったり、運動神経がずば抜けている兄達とは違ってちょっぴり自分に自信がなくて、そしてちょっぴり泣き虫だった。
ある日、幼いサミュエル王子は王宮内にいくつかある広大な中庭の一つ。その中のさらにいくつもある良く手入れされた薔薇の生け垣の元に隠れるようにしてうずくまって大きな瞳に涙を溜めていた。
「……っく、うぅ」
涙の理由は勉強の時間にきちんと答えることが出来なかったという、なんてことない理由だったけれど、普段から出来の良い兄達を目の当たりにしているサミュエルにとっては自分だけが欠陥品のような気持ちになってしまい悲しい思いでいっぱいになってしまった。
「うっ…うっ……うぇぇ~ん…」
それでも必死に歯を食いしばっていたが、遂に堪えきれない嗚咽がサミュエルの小さな口から漏れる。
兄達のように勉強が出来ない自分が情けなくて、そんなことで泣いてしまう自分もまた情けなくて、早く泣き止んで部屋へ戻らなきゃと思うほどに次から次へと大粒の涙が既に真っ赤になっている頬を伝い落ちていく。
──ガサガサガサッ!
「っ!?」
ふいにサミュエルが隠れている生け垣が揺れた。
「ん?」
生け垣を大胆に手で掻き分け、ひょこりと顔を出したのは、
「ひっく……だ、だれ?」
「…あんた誰?」
「…」
「…」
「さっ、サミュエル」
「オリヴィア」
「…」
「…」
幼いサミュエルとオリヴィアの出会いは、全くタイミングの合わない自己紹介からだった。
彼は今とは少しばかり印象の違う少年だった。頭がとても良かったり、運動神経がずば抜けている兄達とは違ってちょっぴり自分に自信がなくて、そしてちょっぴり泣き虫だった。
ある日、幼いサミュエル王子は王宮内にいくつかある広大な中庭の一つ。その中のさらにいくつもある良く手入れされた薔薇の生け垣の元に隠れるようにしてうずくまって大きな瞳に涙を溜めていた。
「……っく、うぅ」
涙の理由は勉強の時間にきちんと答えることが出来なかったという、なんてことない理由だったけれど、普段から出来の良い兄達を目の当たりにしているサミュエルにとっては自分だけが欠陥品のような気持ちになってしまい悲しい思いでいっぱいになってしまった。
「うっ…うっ……うぇぇ~ん…」
それでも必死に歯を食いしばっていたが、遂に堪えきれない嗚咽がサミュエルの小さな口から漏れる。
兄達のように勉強が出来ない自分が情けなくて、そんなことで泣いてしまう自分もまた情けなくて、早く泣き止んで部屋へ戻らなきゃと思うほどに次から次へと大粒の涙が既に真っ赤になっている頬を伝い落ちていく。
──ガサガサガサッ!
「っ!?」
ふいにサミュエルが隠れている生け垣が揺れた。
「ん?」
生け垣を大胆に手で掻き分け、ひょこりと顔を出したのは、
「ひっく……だ、だれ?」
「…あんた誰?」
「…」
「…」
「さっ、サミュエル」
「オリヴィア」
「…」
「…」
幼いサミュエルとオリヴィアの出会いは、全くタイミングの合わない自己紹介からだった。
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