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本編
幕間ニ 養分を充分に吸い取って咲くの、赤薔薇(わたし)
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きらきらと豪勢なシャンデリアが輝くダイニングルーム。壁にはそこかしこに絵画が飾られ、高級な陶器には真っ赤な大輪の薔薇が生けられている。
胃もたれしそうな豪華な料理が並べられたダイニングテーブルに着くのは、この屋敷の一家と客人の青年。彼らはみな一様に笑顔を浮かべている。
「あの子憎たらしいブラック家の小娘は謹慎処分をくらったそうだな!」
「なんでも、騎士団の訓練所で騒ぎを起こしたとか!淑女が男性に混じって剣を振り回すだけでも下品なのに、みっともないったら!」
あはは、うふふとみながオリヴィア・ブラック伯爵令嬢への嘲笑を肴にワインを口に運ぶ。
「娘共々、本当に目障りな家だ!ブラック家は!清廉潔白、質実剛健だなどと貴族への取り締まりを厳しくしといて、自分達だけは王室へ擦り寄っている!」
「娘は憧れの女騎士だなどと持て囃されて!たかだか伯爵令嬢のくせに、平民や下位貴族共にチヤホヤされていい気になって!」
「ははは…その点、君はきちんと弁えているし、礼儀というものも分かっている。なによりその処世術と商才は素晴らしい!君の生まれはまぁ…」
上座に座っている男性が言い掛けた言葉に、その隣に座っている女性がわざとらしく咳荒いをする。すると男性はニタニタと歪む口元を隠しもせずに自身の顎を擦りながら誰にともなく語りかける。
「あー、なんだね。近頃忙しいとついつい忘れっぽくなるというか…特に収入の計算なんかをだね?していると、娘の婿候補の身分の低さだとか…些事を忘れてしまうかも知れんなぁ」
「おや」
上座、この屋敷の主であるジャクソン公爵から最も離れた位置に座る客人、ダン・プラットは手にしていたワイングラスを置くとにっこりと人好きのする笑みを浮かべてみせる。
「それはそれは…実は私が投資をしている事業がいくつかありまして、これが結構好評を頂いているんですよ。ただ少々忙しくなり過ぎてしまっておりまして…共同出資者でも居ればほんの少し手伝っていただけるだけで利益の三分のい──」
「んんっ!」
「……三分の二ほど、お渡ししようかと」
「おお!なんと!将来の娘婿候補の手掛ける事業だ!是非とも我が公爵家に力にならせておくれ!」
「恐れ入ります、公爵閣下」
ダイニングルームに一際大きな笑い声が巻き起こる。
「うふふ、お父様。そろそろわたくしと彼は失礼致しますわ」
「おお、そうかい。街で有名なパティシエのケーキを買ってきたから、お前の部屋で彼と食べなさい。後からメイドに準備させようじゃないか」
「まぁ!ありがとうお父様!」
それまで静かに料理を口に運んでいた公爵家の愛娘、ローズマリーは父親の頬へと挨拶の口づけをしてから、するりと差し出されたダンの腕を取りダイニングルームを後にした。
♦︎
「……はぁっ、嫌だわ!頭の悪い人達の会話って聞いていて頭が痛くなりますわっ!」
「まぁまぁ、ローズマリー。頭の悪い人々を上手く転がして観察するのもまた滑稽で面白いものじゃないか」
「…そうね。まぁいざという時に盾にする駒も必要ですわね」
ジャクソン公爵邸の三階、首都を一望出来る一番眺めの良いローズマリーの部屋で、ローズマリーとダンはメイドの淹れてくれた紅茶を手にクスクスと笑い合う。
「全く嫌になりますわ。家を継いで当主の権力と財産を手に入れるのはいいけれど、同時に負の財産だって引き継いでしまうのですもの。あの頭の悪いお父様達が後先考えずに散々やらかしてくれちゃった諸々は全て一掃してから、貴方と結婚してこの公爵家を継がなきゃね」
「ローズマリー…君が望むのならば、その全てをこの俺が叶えてあげるからね…」
「うふふ。貴方のその可愛いワンちゃんみたいなところ、わたくし大好きよ」
美しい真っ赤な唇がにんまりと弧を描く。紅茶のカップをローテーブルに置くと、ローズマリーはソファーの隣に座るダンの膝にしなだれ掛かり、まるで本当の犬相手のようにダンの顎をくすぐってみせる。
「貴方がブラック伯爵家の令嬢の話を持ってきてくれて、色々とちょうど良かったですわ」
「ローズマリー…」
ローズマリーは息がかかるほどにダンに顔を寄せ、甘く息を吐く。頬を染めたダンが自然と瞼を下ろし、その赤く色づく唇を食もうとして、しかしローズマリーは笑ってダンの薄い唇を手袋を嵌めたままの指先で遮る。
「わたくし、とっても働き者の旦那様が欲しいですわ。妻を一番大事にしてくださる、働き蟻みたいな可愛い旦那様」
「ああ、ああ…っ!君の為ならなんだってやる…この国で一番金を稼いでみせる…!」
ダンの口先に綺麗に揃えられたローズマリーの指が一本外れる。
「本当?もしわたくしが大きなエメラルドが欲しいって言ったら?最高級のピジョンブラッドだったら?ピンクダイアモンドだったら?」
「勿論…!はあ…っ、勿論、手に入れてみせる!」
「うふふ…」
また一本、指が外れる。
「…わたくし、この国で一番美しく、人気者で素敵な淑女になりたいの。何をしても許される権力が欲しいわ」
「ローズマリー…俺の赤薔薇。俺の女神。君以上に、いや君以外に美しい人なんていないよ!君が望む全てを君が手にいれる為にこの俺がいるんだから!」
「……ふふ、貴方って本当に、おバカさんね」
ダンの唇を遮っていたローズマリーの全ての指が外れる。
はぁ…と熱のこもった息を吐き出すダンの瞳はとろりとふやけ、他の何も耳に入らないというように薄く開いた隙間からチラリと赤い舌が見え隠れしているローズマリーのぽってりと熟れた唇をただ無心に見つめている。
どれほど柔らかいのだろう。きっと甘いに違いない。ゆっくりと時間をかけてその全てを味わい尽くしたい──。ダンの思考はそれだけで埋め尽くされる。
ほとんど唇と唇と触れ合いそうな距離で、ローズマリーは内緒話をするようにわざと囁き声で話す。
「ねぇ──早くわたくしの望みを妨げるあの邪魔な女を始末してよ」
「んっ!」
移ったルージュの跡を見て、契約書のサインみたいだとローズマリーは一人鼻で笑った。
胃もたれしそうな豪華な料理が並べられたダイニングテーブルに着くのは、この屋敷の一家と客人の青年。彼らはみな一様に笑顔を浮かべている。
「あの子憎たらしいブラック家の小娘は謹慎処分をくらったそうだな!」
「なんでも、騎士団の訓練所で騒ぎを起こしたとか!淑女が男性に混じって剣を振り回すだけでも下品なのに、みっともないったら!」
あはは、うふふとみながオリヴィア・ブラック伯爵令嬢への嘲笑を肴にワインを口に運ぶ。
「娘共々、本当に目障りな家だ!ブラック家は!清廉潔白、質実剛健だなどと貴族への取り締まりを厳しくしといて、自分達だけは王室へ擦り寄っている!」
「娘は憧れの女騎士だなどと持て囃されて!たかだか伯爵令嬢のくせに、平民や下位貴族共にチヤホヤされていい気になって!」
「ははは…その点、君はきちんと弁えているし、礼儀というものも分かっている。なによりその処世術と商才は素晴らしい!君の生まれはまぁ…」
上座に座っている男性が言い掛けた言葉に、その隣に座っている女性がわざとらしく咳荒いをする。すると男性はニタニタと歪む口元を隠しもせずに自身の顎を擦りながら誰にともなく語りかける。
「あー、なんだね。近頃忙しいとついつい忘れっぽくなるというか…特に収入の計算なんかをだね?していると、娘の婿候補の身分の低さだとか…些事を忘れてしまうかも知れんなぁ」
「おや」
上座、この屋敷の主であるジャクソン公爵から最も離れた位置に座る客人、ダン・プラットは手にしていたワイングラスを置くとにっこりと人好きのする笑みを浮かべてみせる。
「それはそれは…実は私が投資をしている事業がいくつかありまして、これが結構好評を頂いているんですよ。ただ少々忙しくなり過ぎてしまっておりまして…共同出資者でも居ればほんの少し手伝っていただけるだけで利益の三分のい──」
「んんっ!」
「……三分の二ほど、お渡ししようかと」
「おお!なんと!将来の娘婿候補の手掛ける事業だ!是非とも我が公爵家に力にならせておくれ!」
「恐れ入ります、公爵閣下」
ダイニングルームに一際大きな笑い声が巻き起こる。
「うふふ、お父様。そろそろわたくしと彼は失礼致しますわ」
「おお、そうかい。街で有名なパティシエのケーキを買ってきたから、お前の部屋で彼と食べなさい。後からメイドに準備させようじゃないか」
「まぁ!ありがとうお父様!」
それまで静かに料理を口に運んでいた公爵家の愛娘、ローズマリーは父親の頬へと挨拶の口づけをしてから、するりと差し出されたダンの腕を取りダイニングルームを後にした。
♦︎
「……はぁっ、嫌だわ!頭の悪い人達の会話って聞いていて頭が痛くなりますわっ!」
「まぁまぁ、ローズマリー。頭の悪い人々を上手く転がして観察するのもまた滑稽で面白いものじゃないか」
「…そうね。まぁいざという時に盾にする駒も必要ですわね」
ジャクソン公爵邸の三階、首都を一望出来る一番眺めの良いローズマリーの部屋で、ローズマリーとダンはメイドの淹れてくれた紅茶を手にクスクスと笑い合う。
「全く嫌になりますわ。家を継いで当主の権力と財産を手に入れるのはいいけれど、同時に負の財産だって引き継いでしまうのですもの。あの頭の悪いお父様達が後先考えずに散々やらかしてくれちゃった諸々は全て一掃してから、貴方と結婚してこの公爵家を継がなきゃね」
「ローズマリー…君が望むのならば、その全てをこの俺が叶えてあげるからね…」
「うふふ。貴方のその可愛いワンちゃんみたいなところ、わたくし大好きよ」
美しい真っ赤な唇がにんまりと弧を描く。紅茶のカップをローテーブルに置くと、ローズマリーはソファーの隣に座るダンの膝にしなだれ掛かり、まるで本当の犬相手のようにダンの顎をくすぐってみせる。
「貴方がブラック伯爵家の令嬢の話を持ってきてくれて、色々とちょうど良かったですわ」
「ローズマリー…」
ローズマリーは息がかかるほどにダンに顔を寄せ、甘く息を吐く。頬を染めたダンが自然と瞼を下ろし、その赤く色づく唇を食もうとして、しかしローズマリーは笑ってダンの薄い唇を手袋を嵌めたままの指先で遮る。
「わたくし、とっても働き者の旦那様が欲しいですわ。妻を一番大事にしてくださる、働き蟻みたいな可愛い旦那様」
「ああ、ああ…っ!君の為ならなんだってやる…この国で一番金を稼いでみせる…!」
ダンの口先に綺麗に揃えられたローズマリーの指が一本外れる。
「本当?もしわたくしが大きなエメラルドが欲しいって言ったら?最高級のピジョンブラッドだったら?ピンクダイアモンドだったら?」
「勿論…!はあ…っ、勿論、手に入れてみせる!」
「うふふ…」
また一本、指が外れる。
「…わたくし、この国で一番美しく、人気者で素敵な淑女になりたいの。何をしても許される権力が欲しいわ」
「ローズマリー…俺の赤薔薇。俺の女神。君以上に、いや君以外に美しい人なんていないよ!君が望む全てを君が手にいれる為にこの俺がいるんだから!」
「……ふふ、貴方って本当に、おバカさんね」
ダンの唇を遮っていたローズマリーの全ての指が外れる。
はぁ…と熱のこもった息を吐き出すダンの瞳はとろりとふやけ、他の何も耳に入らないというように薄く開いた隙間からチラリと赤い舌が見え隠れしているローズマリーのぽってりと熟れた唇をただ無心に見つめている。
どれほど柔らかいのだろう。きっと甘いに違いない。ゆっくりと時間をかけてその全てを味わい尽くしたい──。ダンの思考はそれだけで埋め尽くされる。
ほとんど唇と唇と触れ合いそうな距離で、ローズマリーは内緒話をするようにわざと囁き声で話す。
「ねぇ──早くわたくしの望みを妨げるあの邪魔な女を始末してよ」
「んっ!」
移ったルージュの跡を見て、契約書のサインみたいだとローズマリーは一人鼻で笑った。
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