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本編
第八話 ヒロインは呪われている!一回休止!
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夜、ブラック伯爵邸の当主執務室にて、騎士服を脱ぎ淑女らしいドレスを身に纏ったオリヴィアは父親であるブラック伯爵とソファーに向かい合って座っていた。
「で~、今話した通り、なんかジャクソン公爵家とダンがなんか、えーっと…色々やらかしたのを私になすりつけたいらしい」
「オリヴィアちゃん…お願いだからオン状態でお話しして欲しい内容だなぁそれ…!」
「無理だわー家すなわちオフだから」
「おお、女神よ、我が家の天使にどうぞ慈悲を…!」
「私のオフを呪い状態みたいに言うのやめてくれる?効率的なだけだから。もしくは合理的?」
「ああっ…」
顔を両手で覆い、さめざめと泣く父親を無視してオリヴィアはサミュエルから預かった手紙を渡す。
「詳しい事はサムが書いてくれてる~。ほんとよく出来た弟分を持ったわ。わはは」
「おまっ…!殿下になんちゅう…っ!嗚呼、女神よ…!母親を早くに亡くした一人娘を甘やかして育てたこの哀れな父親を罰しください…!!全てはこの父親が…!!」
「会話の途中途中で拝むのやめてくれる?それに私のどこが甘やかされて育ったっていうのよ」
「そっ!!…れもそうだな」
「でしょ?」
騎士の花形、近衛騎士隊所属の勲章持ち女性騎士である娘をまじまじと見つめて、やっぱりうちの子が一番だな~!とあっという間に顔をニヤけさせた伯爵はころっと態度を変えて渡された手紙を読む。
真剣な眼差しで隅から隅まで黙ってくまなく目を通す伯爵を気にせず、オリヴィアはふわぁと大きく口を開けて欠伸を一つこぼすとごろりと手持ち無沙汰にソファーに横になる。
だらんと投げ出して手に、湿った何かが当てられる。視線を下げると、つい最近大仕事を成し遂げた伯爵家の愛犬、ミルクが鼻先をオリヴィアの手に押し付けていた。産まれたばかりの仔犬達は今は眠っているらしい。ミルクの愛らしい顔をわしゃわしゃと撫でくりまわしてやる。
「ミルク…お前達の事は私が養ってあげるからね。お前は無理して結婚せずともおおいに構わないとも」
「…オリヴィアちゃん?他意はないんだよね、それ?」
手紙から顔を上げた伯爵が、何やら愛犬に向かって不穏な言葉を発している娘を控えめに諌める。
「…この前小説で読んだのですが、〝ろぼっと〟なる全自動人形…伯爵家の資金を投資して研究所を設立してみるとか…」
「しないからね!?空想は空想!!」
「ちっ…もういっそ後妻を迎えて頂いて私以外の後継者を…」
「パパの年齢も考えてくれるかな!?それに私は一生死ぬまで墓に入ろうとママ一筋だからね!?」
「…分かってるよ~言ってみただけだし~」
オリヴィアは少々ばつが悪そうに唇を尖らせてミルクの顔を更にわっしゃわっしゃと撫でまわし頬をぐねぐねと揉み込む。
「はぁ、全く…心臓に悪い冗談はやめておくれ…。それで、殿下からの手紙で事の次第は理解したが、他に何か殿下から言付かった事はないかい?伯爵家にどう動いて欲しいとか…」
「あ、そういえば私、一応今日の騒動に関わった人物として謹慎くらう事になった」
「そうか、謹慎………は!?!?」
「で~、今話した通り、なんかジャクソン公爵家とダンがなんか、えーっと…色々やらかしたのを私になすりつけたいらしい」
「オリヴィアちゃん…お願いだからオン状態でお話しして欲しい内容だなぁそれ…!」
「無理だわー家すなわちオフだから」
「おお、女神よ、我が家の天使にどうぞ慈悲を…!」
「私のオフを呪い状態みたいに言うのやめてくれる?効率的なだけだから。もしくは合理的?」
「ああっ…」
顔を両手で覆い、さめざめと泣く父親を無視してオリヴィアはサミュエルから預かった手紙を渡す。
「詳しい事はサムが書いてくれてる~。ほんとよく出来た弟分を持ったわ。わはは」
「おまっ…!殿下になんちゅう…っ!嗚呼、女神よ…!母親を早くに亡くした一人娘を甘やかして育てたこの哀れな父親を罰しください…!!全てはこの父親が…!!」
「会話の途中途中で拝むのやめてくれる?それに私のどこが甘やかされて育ったっていうのよ」
「そっ!!…れもそうだな」
「でしょ?」
騎士の花形、近衛騎士隊所属の勲章持ち女性騎士である娘をまじまじと見つめて、やっぱりうちの子が一番だな~!とあっという間に顔をニヤけさせた伯爵はころっと態度を変えて渡された手紙を読む。
真剣な眼差しで隅から隅まで黙ってくまなく目を通す伯爵を気にせず、オリヴィアはふわぁと大きく口を開けて欠伸を一つこぼすとごろりと手持ち無沙汰にソファーに横になる。
だらんと投げ出して手に、湿った何かが当てられる。視線を下げると、つい最近大仕事を成し遂げた伯爵家の愛犬、ミルクが鼻先をオリヴィアの手に押し付けていた。産まれたばかりの仔犬達は今は眠っているらしい。ミルクの愛らしい顔をわしゃわしゃと撫でくりまわしてやる。
「ミルク…お前達の事は私が養ってあげるからね。お前は無理して結婚せずともおおいに構わないとも」
「…オリヴィアちゃん?他意はないんだよね、それ?」
手紙から顔を上げた伯爵が、何やら愛犬に向かって不穏な言葉を発している娘を控えめに諌める。
「…この前小説で読んだのですが、〝ろぼっと〟なる全自動人形…伯爵家の資金を投資して研究所を設立してみるとか…」
「しないからね!?空想は空想!!」
「ちっ…もういっそ後妻を迎えて頂いて私以外の後継者を…」
「パパの年齢も考えてくれるかな!?それに私は一生死ぬまで墓に入ろうとママ一筋だからね!?」
「…分かってるよ~言ってみただけだし~」
オリヴィアは少々ばつが悪そうに唇を尖らせてミルクの顔を更にわっしゃわっしゃと撫でまわし頬をぐねぐねと揉み込む。
「はぁ、全く…心臓に悪い冗談はやめておくれ…。それで、殿下からの手紙で事の次第は理解したが、他に何か殿下から言付かった事はないかい?伯爵家にどう動いて欲しいとか…」
「あ、そういえば私、一応今日の騒動に関わった人物として謹慎くらう事になった」
「そうか、謹慎………は!?!?」
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