捨てられ従魔とゆる暮らし

KUZUME

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2巻

2-2

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 ラーハルトが晩御飯を慌ただしく食べ終え、シャワーを浴び寝支度もすっかり整えた頃には、とっぷりと陽が暮れていた。
 欠けた月はとうに天辺に昇りきり、淡い光を放っている。

「あ~……今日も一日疲れた……疲れきった……」

 ラーハルトは肩をぐるぐると回し筋肉をほぐすと、半分閉じた瞼のまま手探りで自室の明かりを消して、ベッドへのそのそと上がる。
 そしてそのまま枕へとダイブして──

『ふぎゃっっ!!』
「っ!? なんだ!?」

 枕とは明らかに違う、ぐにゅっとした感触と悲鳴に驚いて上半身を持ち上げると、そこには羽の乱れた不死鳥がいた。

「え、えっ!? うわっ、ごめん!!」
『……痛かったのじゃあ』

 ラーハルトは慌てて不死鳥の身体を抱き上げると、手ぐしで羽を整えてやる。

「ごめんって! いるのに気づかなかったんだよ!」
『妾は妾のいたいところにいるものなのじゃ』
「えっと……一応、客室に寝床作りましたよね?」
『あっちよりこっちの寝床の方が良いのじゃ!』
「え、えー……俺のベッドなんだけど……」

 ラーハルトの頭に潰されてプリプリとしている不死鳥は、ふんっと鼻を鳴らすとラーハルトの腕の中から下りて、再びラーハルトの枕の真ん中に腰を落ち着ける。

『妾はここで寝るのじゃ。特別にお前もここで寝ることを許してやるのじゃ』
「だからそもそも俺のベッドなんですが……」
『五月蝿いのじゃ。もう眠いのじゃ』
「はぁ」

 全く退く気配のない不死鳥に折れたラーハルトは、布団をめくり不死鳥に背を向ける形でベッドに横になり、奪われた枕の代わりに自身の腕に頭を乗せる。
 そうこうするうちに、しばらくはもぞもぞと枕の上で身じろぎしていた不死鳥の動きが止まり、かすかな寝息が聞こえてくる。
 結局起きて様子を窺っていたラーハルトは、もぞりと寝返りを打つと、ピスピスと不思議な寝息を立てる不死鳥を見つめて苦笑をこぼす。

「……伝説級だっていうから緊張してたけど、とんだワガママ娘な魔物もいたもんだな」

 生き物の体温を感じながら、ラーハルトは誘われるままに睡魔に身をゆだねた。


 不死鳥が預かり処へと勝手に戻ってきてしまってから数日後。
 ついにやってきたその日、預かり処は早朝からいつも以上に慌ただしかった。

「ラーハルト! 極彩鳥達は!?」

 ツバキの怒鳴るような質問に、ラーハルトも大声で返す。

「朝イチハモってきましたぁ! 卵もしっかり取ってきてます!」
「よし! 今日の昼食に使える!」

 外はまだ薄暗いが、預かり処の台所はフル稼働している。
 コンロにかけられた鍋からは美味しそうな匂いが漂い、まな板すら切り刻みそうな勢いで野菜を切るツバキの背後では、サザンカもせっせと器用に頭に食器を乗せて運んでいる。

「外にいる子達の朝ごはんは!?」
「グレートウルフ達も爆弾鼠ばくだんねずみ達も妖精兎ようせいうさぎ達も済んでます! ……あ! ミノ太郎たろうまだだ!」

 ツバキと契約しているミノタウロスを思い出し、ラーハルトが口を覆う。

「ミノ太郎なら畑いじってると思うから、そっちに持ってって!」
「はい! すぐやってきます!」
「ありがと! その間に私は毛玉達に朝ごはんやってるから、ラーハルトは戻りがてら畑からいくつか野菜見繕って持ってきてくれる?」
「分かりました! すぐ戻ってきます!」

 台所の端にぽつんと一つ置かれていたミノ太郎用の朝食が入った籠を持つと、ラーハルトは足早に庭の畑へと向かう。
 庭へと向かう勝手口のドアノブに手を掛けたところで、ラーハルトは一度立ち止まると振り返り、ツバキと目を合わせると、どちらからともなくしっかりと頷き合う。

「そして今日一番大事なのは~!?」

 ツバキの言葉に合わせてラーハルトは口を開く。

「デュポンに遮光布を被せて今日はできる限り寝かせておく!!」


 従魔術協会。
 冒険者ギルドとは全く別物であるそれは、冒険者だけに限らず、従魔術を用いて仕事を行う者、従魔をペットとして飼育する者など、従魔術をおさめた全ての従魔術師が登録・所属する組織である。
 協会は王都に総本山を構え、全国にその支部が存在している。
 従魔術協会には組織のトップである総長の他、長老と呼ばれる五人の幹部がいる。
 この長老達は従魔術師としての実績はもちろんのこと、各々が一国を滅ぼすほどの化け物級の従魔を従えているとんでもなくヤバい奴等の集団、ということで有名だった。
 さて、何故突然従魔術協会の説明を今更しているのかというと──

「お、王都から遥々はるばる、よくお越しくださいました!」

 口端のったラーハルトが顔中の筋肉を総動員して笑顔を作り、ツバキですらどことなくソワソワしながら、わざわざ預かり処の玄関でお出迎えの姿勢を取る。
 そんな二人の目の前にいるのはまさしく。

「はい、こんにちは」

 にこにこと柔和にゅうわな笑みを浮かべるのは、一見するとただの優男やさおとこ

「初めまして。王都の従魔術協会から来ました、サイモン・バンテスと申します。ギルドでは長老の末席を汚しております」

 化け物級の従魔を従えているヤバい奴、という噂の長老の一人がそこに立っていた。


 従魔術協会総本山より預かり処へやってきた五人の長老のうちの一人──サイモンをとりあえず応接室へ通してから、ツバキとラーハルトはお茶をれてくるという名目で台所へと引っ込んでいた。
 お茶請けを準備し、丁寧にお茶を淹れ──ているわけではなく。

「……ちょっっとぉ!! 師匠! 師匠師匠師匠! ぁぁぁあれあれあれ! 長老!? 聞いてないですよ従魔術協会の長老が来るなんて!? トップの中のトップじゃないですか!!」
「うるっさい! 私だってすっごく偉い人が来るとしか聞いてなかったっつーの!!」
「偉い人ったって、精々支部長レベルくらいかと思って、そんな感じの心構えと近所のお茶請ちゃうけくらいしか用意してないんですけど!」
「こっちだってまさか長老が来るなんて思ってなかったから普段着だわ!」

 サイモンの前ではなんとか保っていた平常心はどこか遠くへ飛び去り、二人は小声で収まる範囲内の最大声量で叫んでぜぇはぁと肩で息をした。

「てか、長老って本当に実在してたんですね……島を引いて新大陸を作ったとか、海を割いて沈んだ古代王国を発見したとか嘘みたいな逸話ばっかりなんで、ほとんど空想上の人達かなんかだと思ってました……」


「私も話には聞いてたけど、まさか対面することになるとは……」
「……ツバキ師匠でもビビるんですね?」

 心なしか冷や汗を流しているツバキを見て、ラーハルトは率直に疑問を口にする。
 出会ってから今まで、冒険者としてのランクはさておき従魔術師としての技術、知識ともに並外れたツバキの姿を見てきただけに、この慌てぶりは意外としか言いようがなかった。

「当たり前でしょ!? 長老ってのは本来一介の従魔術師が直接会えるような相手じゃないんだから!」


「いや、俺はもし長老が実在するならツバキ師匠みたいな人達かなと思ってたんで……」
「ばかやろう」

 ラーハルトの言葉にぎょっとしたツバキは眉間にぐわっと力を入れて反射的に返す。

「いい? 従魔術協会の五長老っていうのは、ちょっと人より優れてるとか天才とかそういうレベルじゃないの。化け物よ化け物」
「ば、化け物ですか?」
「そう。こっちの常識とか一切通じないからね。従魔術でやることなすこと全てが異常。理解不能。もはややらかすことが超常現象」
「(……その辺はツバキ師匠にも言えることのような)」

 と、緊迫していた空気の中、突如ピー! と甲高い音が鳴る。
 びくりと大仰に肩を揺らした二人だったが、白い湯気を吐き出すヤカンを見て跳ね上がった胸を押さえて息を吐く。

「……とにかく、長老が出張ってきたのを見ると、あの不死鳥は私達が思ってるよりもやばい魔物みたいね。もしもあのサイモンって長老が個人的に不死鳥に興味があるだけなら別だけど」
「はぁ……」

 台所に立ちお茶を淹れるツバキの横で、ラーハルトはお茶請けのお菓子を食べやすいように包丁で切っていく。

「長老相手に失礼のないように。あいつらと敵対しても良いことないから! なるべく早く不死鳥を渡してとっととお帰りいただこう!」
「ちなみに長老相手にもし、もし失礼とかあったら……」
「この村ごと消えるわよ」
「まじですか!?」
「人格者だなんだと言われてるけど、要するに頭のネジの一本二本三本……ぶっ飛んだイカれ野郎だから至れる境地にいる奴らよ、長老なんてのはね。触らぬ神にたたりなし、よ!」

 ツバキの真剣な表情に、ラーハルトはコクコクと何度も神妙に頷いた。


「おや、茶柱」

 両手に包む湯呑みの中を眺めて、従魔術協会の長老サイモンはふふふと嬉しそうに笑う。
 けれどサイモンの向かいのソファーに腰掛けるツバキとラーハルトの表情は硬いまま。二人はじっとサイモンの一挙手一投足に神経をとがらせている。
 正反対な表情をしている両者の間には、どことなく緊張が走っている。

「やっぱり疲れた身体にお茶と甘味はみますねぇ」
「おっ! おかわりいくらでもありますんでっ!」

 全身カチコチになったラーハルトがつっかえながら返す。

「ん~でもやっぱり甘いものの後はしょっぱいものが欲しくなりますねぇ」
「お煎餅せんべい! お煎餅持ってきて!」

 唇の端をひくつかせつつも前のめりになるツバキ。

「お茶請けも良いですけど、そろそろ昼食を食べたい頃合いですね」
「……」
「……」

 にこにこと笑顔のまま、ちゃっかり要求を伝えてくるサイモンに、腰を浮かしかけていたツバキとラーハルトはぐるっと真後ろを向いてコソコソと目配せをし合う。

「(ちょっと……! 昼食って言ったあいつ!? 昼をうちで食べてく気なの!?)」
「(そんな接待予定聞いてませんけど!? 不死鳥渡してはい、さよなら、じゃなかったんですか!?)」


「(ていうか昼食の準備なんか自分達のすらしてなくない!? 朝からずっとバタバタして……っ)」 
「(ギリギリ従魔達の昼食の下拵したごしらえ済んでるレベルですけど!? えっ!? どうすんですか!?)」

 ──ぐううううう!

「……」
「……」

 二人のコソコソ話を盛大な腹の虫がさえぎる。

「……あの」

 ツバキがソファーから立ち上がり、サイモンへおずおずと問い掛ける。

「昼食、買ってくるのでも良いですか?」 
「もちろん。あ、折角なのでこの村の名物でもお願いしたいところです」
「うっす」

 ツバキはそのまま部屋を出て行こうとしてしかし、服の裾をガシリ! と力強く掴む手に足を止められる。


「師匠!? まさか我らが従魔術協会の長老たるサイモン様をそのままに一人でどこか行かれるわけないですよね!? そんな失礼、まさかね!?」
「ゔっ」

『二人きりにするな』という圧がこれでもかと込められたラーハルトの血走った目に、一瞬怯んだツバキだったが、すぐに持ち直すと掴まれている服の裾を引き千切る勢いで部屋の扉へと進んでいく。

「ちっ、放せラーハルトォ! お腹を空かせた長老様を放置できないでしょうが!! これは必要なことなの! 私は昼を買いに行かなきゃいけないの!」
「そんなそんな! そんな雑用は弟子である俺が行きますって! 師匠はどうぞ座って待っててくださいよぉ!!」
「ふざけんな! 師匠をむざむざ生贄いけにえに差し出す弟子がどこの世界にいるのよ!!」
「生贄って言いましたね!? 師匠こそ可愛い弟子を生贄に差し出すなんてどんな師匠ですか!?」


獅子ししは我が子を千尋せんじんの谷に突き落としてボコボコにするって言うでしょうが!!」
「俺は褒められて伸びるタイプなんです!!」

 小声も何もない二人の言い合いはヒートアップするばかり。大声でぎゃあぎゃあと叫び合いながらお互いがお互いを押しのけ合い部屋を出ていこうとする。
 そんな二人の動きを止めたのは、柔らかい笑い声だった。

「あははは」
「っ!」
「!?」

 湯呑みをコトリとローテーブルへ置いたサイモンがにこにことした笑顔を崩さぬままに二人を見る。


「私はお二人のどちらも取って食べたりしませんよ」
「あ、はは……す、すみません……失礼な言い方を……」
「たったったっ他意はないんです! えっと、その、俺も師匠もその……シャイで!」
「あははは」
「……」
「……」
「あははは」

 ツバキもラーハルトも部屋を出ていけない気まずい雰囲気の中、半開きだった部屋の扉からひょっこりと白い影が現れる。

『おーい、ツバキ。玄関になんかでけぇ包みが置いてあっけど……ん? どした?』

 入り口から頭を出して普段のようにツバキへ話しかけたサザンカだったが、微妙な空気を察してぽかんと室内を見渡す。
 しかしそんなサザンカに返事をしたのは、ツバキではなくソファーに座り一人にこにことしているサイモンだった。

「あ、そうそう。手土産も兼ねて皆さんに昼食を持ってきていたんでした。是非皆さんでいただきましょう」
「……」
「……」

 サイモンは「ああ、思い出した!」とでも言いたげに一つ手を叩くとソファーから立ち上がり、二人を置いてさっさと昼食が入っている荷物を取りに行く。
 そして部屋の入り口で固まっているサザンカへすれ違いざまに視線を遣ると「へえ」と口角を上げる。


「おや、おやおや。これはまた」
『っ!?』

 それだけを口にし、振り返ることなく玄関へ行くサイモンの背中を見つめてサザンカはぶるりと逆毛を立てる。

『おいっ! あいつ一体……って』

 しかし慌てるサザンカへは目もくれずに、ツバキとラーハルトはその場に膝から崩れ落ちると、がくりと項垂れた。

「……なんっっっだったの今の……」
「……おちょくられてたんですかね」
『……』

 既に疲れ果てている二人の肩を、サザンカはとりあえずぽんぽんと前脚で器用に叩いた。


 カタリ、と小さく音をたててサイモンがフォークを置く。続けて至極滑らかな動作で胸元からハンカチを取り出し口元をさっと拭うと、頬をぱんぱんに膨らませたツバキに向かって微笑んだ。


「さて。くだんの不死鳥と対面の前に、何故長老である私がわざわざ王都から遠く離れた片田舎くんだりまで、わざわざやって来たか、お話ししておく必要がありますね」

 ごっくん。
 サイモンの言葉を受けてツバキは口の中に詰め込んだ昼食を飲み込む。隣で同じように頬を膨らませていたラーハルトも反射で口の中のものを飲み込むと、思わずといった風に耳打ちをする。

「……今、わざわざって二回言いましたよこの人」
「しっ!」
「……」

 サイモンは聞こえていただろうに少しも反応せずににこにこと笑みを浮かべたまま、少しの間を置いて再び口を開いた。

「不死鳥、という魔物について、お二人はまず何を思い浮かべますか」
「えーと……やっぱり死んでも灰の中から甦るってことじゃないですか、ね?」
「ツバキさんは?」
「私もラーハルトと同じよ」
「なるほど。まぁ、十人いれば十人がそう答えるでしょう」

 二人の返答を聞いたサイモンは特に反論も補足もせずに次に進む。

「では不死鳥が関わったとされる事件、災害に心当たりは?」

 サイモンの二つ目の質問に、今度はツバキが最初に答える。

「直接的に見聞きしたことはないわね。ギルドの依頼でもそんなの見かけたことはないし……大体そうホイホイとあちこちで暴れる魔物でもないでしょう」
「そうですね。私も自然に遭遇したことはまだありません。不死鳥について言及のある直近の文献は、書かれてから軽く百年は経っておりますし」
「文献……文献ね……そうね、文献なら読んだことがあるわ。不死鳥が起こしたとされる大災害について」


「それは"アウリーリアのいずみの大消失"ですか?」
「ええ……ええ、それよ。他にもいくつか……」

 不死鳥に関する文献について、ツバキが他にも思い出そうとしている隣で、顎に手を当てじっと視線を床に落としていたラーハルトがふと呟いた。

「……絵本」
「え?」

 ツバキのきょとんとした顔に、ついうっかり言葉をこぼしてしまっただけらしいラーハルトは、慌てて顔の前で手を振る。

「あ、いや、不死鳥と男の子の絵本が昔あったなって思い出して……すみません! 話遮っちゃって!」
「いいえ、どうぞ続けてください」

 サイモンに続きを促されたラーハルトは、ツバキへ一度ちらりと助けを求めるように視線を向けてから、おずおずと口を開く。

「あのー……関係あるか分からないですけど……」
「あははは。私は学校の教師でも、まして君の師匠でもありませんよ。正解不正解は求めていません。今私が聞きたいのは、不死鳥が関わったとされる事件や災害について心当たりはあるかであって、それが真実か虚構かは関係ありません」
「すっ、すみません!」

 ラーハルトの緊張ぶりを流石に不憫に思ったツバキが、その肩を軽く叩き「フォローはしてあげるから」と言って優しく続きを話すように促してやる。

「……小さい時に読んだおぼろげな記憶なんですけど……不死鳥が暴れて、大事な村の宝を壊すんです。それで、村の男の子となんやかんや友達になって、なんやかんやで宝を元通りにして、なんやかんやでハッピーエンドでした」
「……」
「……」

 ラーハルトの話を黙って聞いていたツバキとサイモンだったが、一拍置いてから何事もなかったかのようにツバキが先に述べた文献の話に自然に戻る。

「それでアウリーリアの泉の大消失における不死鳥の関与について著者が証拠とした当時の痕跡と目撃情報だけど」
「はいはい、のちに従魔術協会の長老に名を連ねる若き日の従魔術師ケイトの手記ですね」
「ええ。泉の消失という事象だけで考えれば不死鳥以外にも考えられるけれど、その他の──」
「ちょっと!! まるっと無視!?」
「なんやかんやありがとうございました」
「なんやかんやはちょっと黙っててもらえる?」
「……はい」

 自分でも記憶があやふやだという自覚があるラーハルトは、ついツッコミを入れたものの、二人の至極真っ当な反応にすぐにしゅんとして口をつぐむ。
 預かり処を訪れた時から一度として笑みを崩していないサイモンはやはり微笑んだ表情のまま、からかっただけのラーハルトの反応をちゃっかり楽しんでから話を続けた。


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