捨てられ従魔の保護施設!

KUZUME

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第7章 寒い夜は一緒にいてあげる

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 「…はぁ。の朝だ」

 まだ夜も明けきらない早朝の空の下、美しくも狂気的な大音量で鳴き続ける極彩鳥達を前にうっすらと笑みを浮かべたラーハルトは喉を鳴らして気合いを入れた。



♦︎



 バタバタと台所とリビング、それから中庭を走り回って慌ただしく従魔達の朝食を準備しながら、それでもツバキは笑顔を浮かべる。

 「ああ~!の日常だわ!」

 目も回りそうな、と形容詞がつきそうな朝だが、ツバキもラーハルトもまるでなんて静かでゆっくりした朝なんだ…!とでも言いたげににこにこと口角を上げている。
 それもそのはずで、以前関わった従魔盗難被害の主人不明、あるいは特殊なケースで引き取り手のない被害従魔達の保護を保護施設が一手に引き受けていた為、事件解決からずっと朝から晩まで文字通り気が狂いそうなほど忙しい日々を送っていたのである。
 しかしそんな忙しい日々も、盗難事件の後始末が全て済み、預かっていた被害従魔達を然るべき専門の機関や新しい主人へと引き渡し、さらに不正に捕えられていたものは野生へと無事に返したことでやっとこさ昨日その全てを終えたのだった。

 「もうこれで夜に寝る生活に戻れる…」
 「牛を一頭丸々餌にする日々も終わったんですね…」
 『真夜中に突然始まる遠吠え大会も終了だ…』

 サザンカも加わり、2人と1匹は大きく息を吐く。

 「これでご近所からの苦情祭りも終了よ!!」
 「イエス!」
 『他の従魔同士で起きていた揉め事の仲介も終わりだー!』

 と、2人と1匹が歓喜に浸る中保護施設の戸がコンコン!と軽快な音を立てて叩かれた。

 ──コンコン、ココン、コンッ!

 「…ん?こんな朝から誰ですかね?」
 「あ、冒険者ギルドの人かも。うちが落ち着いたらまた依頼頼みたいって言ってたんだよね」
 「それなら俺が出ますよ!師匠は先に朝食食べててください!」
 「ありがとう!頼むね」
 「はい!」

 つけていたエプロンを外してラーハルトは足早に玄関へと向かう。
 玄関へ向かっている間にもコンコン、コンコンと鳴り続けるノックの音にラーハルトは「はーい!今!」と大声を出す。
 遂には高速で途切れることなく叩き続けられているノックにラーハルトも流石に顔を顰めて扉に手を掛ける。

 「ちょっと!今出ますって!そんなにコンコンコンコン、戸が壊れ──」

 ガラリ、と玄関の引き戸を引くやいなや、何かがラーハルトの鳩尾に突撃した。

 「ぐふっ!?!?」

 バサリと羽根が舞う音と、燃えるような真っ赤な色が視界にちらりと入ったのを最後に鳩尾に綺麗に決まったラーハルトの意識は途絶えた。
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