捨てられ従魔の保護施設!

KUZUME

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第6章 犯罪行為、ダメ絶対!

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 落ち着かないグレートウルフ達を宥めていたサザンカだったが、ラーハルトの必死の叫びに呼ばれて庭へと飛び出せば調査団の面々にもみくちゃにされているツバキが視界に入りぎょっと目を剥いた。

 『ちょっ、おいおいおいおい!何だ!何してんだ!?』

 サザンカはバァウ!と一鳴きすると調査団の面々へと突っ込んで行き、ツバキの後ろ襟を咥えて無事に引き摺り出す。
 もみくちゃにされたツバキを見て、調査団の面々は興奮のあまり失礼を働いたと申し訳なさげにしゅんと縮こまる。

 「サ、サザンカ…たすかっ…」
 『おい!一体なんだってんだ!おい!?』

 目を回しているツバキに変わり、ラーハルトがサザンカに答える。

 「実は、今回の盗難事件の犯人の女頭目を、ツバキ師匠が前に一度捕まえたことがあるって言い出して…」
 『は!?』
 「サザンカも一緒だったらしいけど…」
 『俺も!?いつだ!というか、どれだ!?気に食わねえ奴なら山ほど絞めてる!!』
 「ええ!?」

 突然の問いかけにサザンカも混乱していると、サザンカの足元に座り込んでいたツバキが握り締めてくしゃくしゃになってしまった新聞を掲げて口を開いた。

 「ほらぁ…これぇ…この写真の女…」
 『だから、匂いもしねえピンボケの写真1枚じゃ…

 「ほら、銀髪の、すっごい高飛車な…えーっと…ほら、あれ。まだ実家に居る時の」
 『…』
 「最終的にあれ、イカダにくくりつけて海に放り出した窃盗団」
 『……か!!!』

 ツバキの言葉にピン!ときて叫んだサザンカに、ラーハルト達はツバキの話は本当だったのかと驚く。

 「え、まじで!?まじで犯人を1回捕まえたことあるの!?その後まじで海に流したの!?」

 ラーハルトに詰め寄られたサザンカはたじろぎながらも大きく頷いてみせる。

 『あ、ああ…ツバキの縄張りで、あー…珍しい従魔を盗もうとしてたコソ泥を見つけて…絞めて…あー…あれだ。その、俺らの故郷はこの国の警察組織みてぇなのがなくて……まぁ、うん。海に流して終わったな…?』

 サザンカが答えるなり、ラーハルトも含め調査団の面々がそれぞれ目を見合わせてぼそぼそと囁き合う。

 「ツバキさんの縄張りって…?」
 「珍しい従魔ってなんっすか?え?ツバキさんって一体どこの出身…」
 「いや、俺も師匠の故郷なんて知らないですよ…」
 「ていうか、警察組織がないから海に流すってなに…?どんな文化…?」

 ラーハルト達が声をひそめていようが漏れ聞こえてくる内容に、ツバキもサザンカもぐっと苦虫を噛み潰したような顔をする。ラーハルト達のなんとも言えない視線がチクチクと刺さって痛い…が今は余計な疑念にいちいち答えている時間はない。

 「…とにかく!犯人があいつならどうにかなる!!」
 「え!?」
 「サザンカなら匂いを覚えてる、はず!追える!!」
 『え!?』
 「あのクソ女の使う口輪なら壊せる!問題は私の知らない手段…薬だけど、そこは専門家に任せる!ラーハルト知り合いに薬師の女の子いたよね!?」
 「ぅえっ!?は、はい!…はい?」

 ツバキはよしよし、と頷くと勢いよく立ち上がり順々にラーハルト達を指差し指示を飛ばす。

 「ラーハルト!薬師を連れて来い!」
 「サザンカ!犯人のクソ女の匂いを思い出して追え!」
 「シルバーさんとその仲間達!昔捕まえた時のクソ女の情報を教えるからギルドに報告と再度捕まえる準備諸々!」

 「え、今からですか!?」というラーハルトの叫びはツバキの「はいっ!各自行動開始!」という一声によって黙殺された。
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