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第一章

13、ユーリアシェの事情

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本日の政務を終え、湯浴みの後ベッドに倒れこむ。
今日は政務をに加えお花畑な妹と浮気男(婚約者)とのお茶会、初恋の騎士との遭遇で疲労も限界だった。
何が悲しくて自分を裏切っている奴等とお茶会なんぞせねばならんのだと叫びたい。だけど叫べない。何故なら扉の外には近衛騎士がたっているから。
一応ユーリアシェは王太女なので近衛騎士が一人は扉の外で守っている。護衛騎士ではない。
護衛騎士は近衛の中から選ばれるエリートの中のエリートだ。本来ならユーリアシェにも10才の時に専属の護衛騎士が5名以上が選ばれるはずだったが、国王から何も言われず公務の時に随時選ばれ、その時だけ護衛騎士がつく。
だからハルシュの時のように役立たずも時にはいたりする。覚醒前ユーリアシェは諦めて何も言わなかったが、飛鳥ユーリアシェは仕事しない奴などいらん!のスタンスでいくのでハルシュの侍女も護衛騎士も苦情の手紙を侍女長と近衛騎士団長に送った。
その後の処遇もきっちり報告をさせた。
近衛騎士団長は近衛から衛騎士(地方に赴任する騎士)に降格したと報告されたが、侍女は何も音沙汰がなかったので、侍女長を呼び出して笑顔の圧をかけたらやっと下女に降格すると言ってきた。

その後に王妃から何年ぶりかでお茶に誘われたが、どうせ侍女の処遇に対して撤回しろと言われるだけなので、公務が忙しく行けない旨の手紙を送ったら何も言ってこなかった。
その代わり専属侍女も付けなくなった。別に専属侍女がいなくてもユーリアシェが困ることはない。
今までの専属侍女も半年に一回は変わっていたし、城の人達はユーリアシェを見下すことはないが尊重もしないので、アドバイスもフォローもしてこない侍女を専属にする意味がなかった。基本普段の生活は一人で困ることもないので、普通の令嬢なら泣くような王妃の嫌がらせはユーリアシェには通用しなかった。

そもそも国王夫妻がユーリアシェに対して冷たいと言おうか興味がないのは先の王妃と同じ銀髪だったからだ。

子爵令嬢だった先代王妃を先代国王が見初め、周囲の反対を振り切って婚姻した。現国王は母親の身分の低さを嗤われて成長し、王妃は公爵家の出で、前王妃を身体で取り入った賎しい女だと嫌っていた(小説情報)。
その前王妃の銀髪を持つユーリアシェを愛せないし、国王夫妻は自分達と同じ金髪を受け継いだリーシェだけを溺愛している。
城の人々はそんな国王夫妻の意図を読み取り、王太女であるユーリアシェに対し不遜な態度を取り続ける。
そしてユーリアシェは全て解っているからこそ、愛情も敬意を払われることも諦めていた。
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