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第一章

14、婚約者と初恋の騎士

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ユーリアシェの婚約者、イルヴァン・フォン・アラミス(20才)はアミラス公爵家の長男で隣国ハスターバル王国の王族の血を継いでいる男性だ。

先の国王の第二王子がアラミス公爵家に婿入りしアラミス公爵となった。
本来なら一人娘だったアラミス公爵令嬢が、公爵を継承するのだが、ハスターバルの第二王子が婿入りする条件に爵位継承の譲渡があり、それを王家と公爵側が飲んだのだ。
第二王子も王族ではなく公爵令嬢に婿入りする事に思うところがあったようで、普通なら他国に移るときには放棄する継承権を持ったままリグスタ王国に婿入りした。
イルヴァンもハスターバル王国の継承権を持っている。しかも王位継承権三位。
そして国王夫妻に女子が産まれれば当然政略結婚させようとなり、ユーリアシェが産まれた瞬間からイルヴァンの婚約者となった。
王配となれるなら長男でも差し出す現アラミス公爵の野心も相当だとユーリアシェは思っている。
イルヴァンも王配となることに不満は無い処か、ユーリアシェを廃して王になる気満々だ。
幼い頃からハスターバルに留学し、1年前に婚姻の準備の為帰国して、ユーリアシェと初対面した。
ユーリアシェは卒がなく王城の中は兎も角地方では人気がある。
ハルシュ地方の時のように視察に行き、問題があれば真摯に向き合い、孤児院や病院の慰問や辺境にも恐れずに訪問している。
イルヴァンからすれば、傀儡にも出来ず華やかさがないユーリアシェは婚姻相手として最悪だ。飛鳥覚醒前のユーリアシェもイルヴァンには苦手意識を持っていたが婚約者だからと歩み寄ろうとしていた。
あちらは歩み寄る気など欠片もなかったがーーー


そしてハンカチを持ってきた侍従兼護衛ーランセセルド・フォン・アイシェバール(21才)。アイシェバール筆頭公爵家の三男でアイシェバール家の従属爵位の一つ、ハルク伯爵位を受け継いでいる。
ユーリアシェの幼い頃の初恋の相手でもある。
5歳のお茶会デビューに3つ年上のランセルド
にエスコートされ優しくしてくれたのが恋の切っ掛けだ。チョロいとしか言いようがない。
その後、城で見るたびに挨拶に行ったり練兵場で剣の稽古をすると聞けば見学に行っていた。
しかしリーシェが十才の時に専属護衛騎士を選ぶ際、リーシェがランセルドを指名した。
それからの2人は誰が見ても恋人同士のように寄り添い、いつの間にか侍従のようにお茶を入れたりお菓子の手配をしたりと甲斐甲斐しくリーシェの世話をしだしたので、侍従兼護衛騎士と言われるようになった。
ユーリアシェもその姿を見て初恋に終止符をうったのだ。元々5才のお茶会でのエスコートしか2人の思い出などないのだから。

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