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第一章

11、ハルシュ地方(7)

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ハルシュ地方編ラストです。よろしくお願いしますm(__)m

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話し合いの後、一睡もせずルオル村に騎士団と共に出発したユーリアシェは、馬車に護衛騎士2名と侍女と共に乗り、昨日ルオル村に残って村人から聞き取った事を報告させていた。

その街道は山裾の部分で街道方面は木がほとんど植わっていないために地肌が見えていて土砂崩れを起こしやすくなっていた。

(とりあえず植林しないといけないけど長期計画になっちゃうから土嚢で応急処置しよう。この時代でも麻袋あるから土砂使えばいいし)

仮設対策テントを作り、説明したが誰もが理解出来ずにいた。

なぜならこの世界にはまだ植林や土嚢の概念がないからだ。
絵を描いてもう一度説明し、なんとか土嚢の有用性はわかってもらえたので、とりあえず今日は土砂を麻袋に入れていく方向にし、草木を研究している人を呼んでもらってその人から植林の事を教えてもらえばいい。

ユーリアシェだって前世の記憶でうろ覚えでの解説なので、知識の無い人にわかってもらうのは無理がある。
今は土砂撤去に土嚢作りが最優先だ。今回は民家に被害がなく、往来の少ない夜におこったことで人的被害もほとんどなかったのが幸いした。
今の所この国は平和だから騎士団も使えるし、穀倉地帯だが収穫時期でも無いのでダメージは小さい。

一番の痛手は西からの品が王都に入るのが止まり山越えをするか、民家の間を通るしかないが大きな街道を作ったことで民家が密集して作られ街道から外れた市場を通るしかない。
大型の荷馬車になると道幅が7割も取られるので往来に不向きなのだ。

しかし道が復旧するまで遠回りではあるが、早朝の時間帯に一方通行にして市場を通るしかない。その辺りは市場を取り仕切る元締めと文官が話し合い取り決めてもらう。

ユーリアシェは復興の方向性が決まったので領主館に戻り、予算を捻り出すために税収や支出の帳簿を確認していたが、一緒に確認していたイグルスが横からそっと一冊の帳簿を差しだし、それを確認していくごとに頭が痛くなってきた。

それは裏帳簿で脱税、横領、賄賂とやりたい放題だった。
ルオル村の村人が、こちらに敵意を向けていたのは今回の件だけではなかったのだ。
おそらくハルシュ地方の領民のほとんどが貴族に反発があるのだろう。

そしてイグアスがあの夜、何故死のうとしたのかが理解できた。

(これを知っていて何もできなかった自分をずっと責めてたんだ。
でもここを見捨てることも出来ずって辛かっただろうな。
私が来たことで希望が出来たから責任とって死ぬってどんだけ真面目なんだか)

裏帳簿の真偽を確かめるのに奔走し確認後、領主一家と関わっていた親族を捕らえて王都に護送し、国王の許可を貰い犯罪に関わった者の財産をスプーン一本まで没収、売って今回の復興の足しにした。

一通りの目処がたつのに一月かかり、やっと王都に戻ることができた。
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