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第一章

3、周りに味方がいない?

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「どういう神経してるのかしら」
先程の妹の言動を思い返し馬車の中でため息混じりに呟く。

あの大絶叫から半月たちユーリアシェもこの中世風の時代になんとか適応してきた。
あの走馬灯?のおかげでユーリアシェの記憶、考え方などを飛鳥と融合しユーリアシェ本人の高スペックおかげで公務も滞りなくできている。自我は飛鳥の時のものが強く、この体の持ち主であるユーリアシェのものがほとんどない。
おかげで自我同士がぶつかることなく精神も安定しているが、本来ならユーリアシェのほうが飛鳥の自我を呑み込み飛鳥の記憶をただの記憶としてユーリアシェが主になるのが普通だ。なのに飛鳥の自我が主になっている。

だが最後の記憶を思い出す限り彼女はこの世界を見限ったのかも知れないと思っている。

馬車に同乗している侍女がこちらを非難がましく見てくるのもため息が出る要因だ。
主人である自身に向けてよいものではない。
「何か言いたいことでもあるの?」我慢できずにふってみた。
やっと聞いてきたと言わんばかりに感情をぶつけてくる。
「先程のリーシェ殿下へのお言葉は冷た過ぎませんか?お寂しいお心を慮って差し上げてはいかがでしょうか」
まるでこちらが機嫌をとるのが当たり前だと言わんばかりの言い方だ。
何を勘違いしてあるのだろうか。

「そなたが口を挟むことではないわ。」

本来なら公務に出掛けようとしているユーリアシェを無遠慮にお茶に誘うリーシェに侍女が注意をするのが普通なのだ。
家族であっても王族であるので上下関係がある。部屋に訪れるときやお茶に誘う時にも必ず伺いをたてなければいけない。
それなのにリーシェはユーリアシェを引き止めお茶会をしたいと言い、この侍女はリーシェを注意する所かユーリアシェの対応が悪いと言う。
「あのような言い方ではリーシェ殿下が傷付いてしまわれます!」
妹が傷付く以前に自身の不敬な態度をユーリアシェがどう思うか考えないのだろうか。外出の格好をしていたユーリアシェにお茶をしようと告げてくるリーシェをおかしいとも思わずに。

「お前は何様なの?それが王太女にする態度?リーシェはわたくしよりも上かのような物言いね。公務に出かける時にお茶会をしたいと言ってきたのを断っただけで王太女であるわたくしを責めるなど不敬にも程がある!」
叱責すれば、顔色を蒼白にして自分の言葉が不味かったと慌てる。
「ーっ申し訳ございません!」
震えながら謝罪をするが今さらだ。ユーリアシェが今まで臣下に対してどのような言動をされても何も言わずにいたから誰もが職分を越えてもいいと思っているのだろう。
両親が妹を溺愛し、姉には見向きもしないから皆がユーリアシェを軽んじる。専属侍女でない者がこれ程の無礼を無礼とも思わずにリーシェを重んじろと言うのだ。またため息がでる。
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