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皇宮も教会も大変です
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一月教会に滞在中のサウスリアナです。
アヤナ家族も滞在し、アヤナ夫婦は東塔の雑事を、ナール君は教会騎士に剣技を楽しく教わっている。
リッツヘルムは私の護衛を継続、先生は学院を休学し私の教師をしたり教会の図書室に通っている。
洗濯物やご飯は教会の巫女が来てくれて手伝ってくれるが、他はアヤナと旦那さんがしなければならないので、効率優先で皆で一緒に食事して各々の部屋以外は食堂と応接室、浴室以外は使わない方針にした。
初めはアヤナ夫婦が固辞したが私も先生も効率型だし、一緒に食事した方が楽でしょ。
部屋だって広いから他に使う必要ないし、お風呂だって順番に入れば問題ない。
そう言った次の日、元貴族令嬢巫女と先生から貴族やこの国のあり方、風習を徹底的に勉強させられた。
「私の教え方が甘かった!」
反省したと宣って朝から晩まで応接室で缶詰状態の猛勉強。
本当に理解したか何度もテストされ更に重箱の隅をつつく如く教えこまれた。
ナール君と遊ぶ暇がない!
私って学園じゃなく先生から全ての勉強教わってるな。
学園は生徒が殆ど居なくなったから閉鎖してるけど、学院はちゃんと開いてるのに休学させてしまっている。
先生にその事を謝ると問題ないと返された
。
先生は他国の言語学、古代史を研究しているそうで休学しても大丈夫らしい。
ここフィーラ大陸はアフリカ大陸の2倍ほどあり、どの国でも宗教はノーダム神を信仰しているが言語は大陸共通語と国の言語がある。
幸いこの国は大陸共通語が母国語だ。
実験が必要な研究してなくて良かった。
それだったら教会に軟禁状態が今以上に申し訳なくなる。
普段寮生活で学園に通い始めてから家に帰っていないそう。
「えっ、1度も?」
私は吃驚して聞き返した。
先生はなんでもない様に肯定する。
「ええ、特に用事もないし会いたい時は相手の職場とかに行く方が楽なんでね。」
えっ、そうなの?
家に行く方が楽でしょ。
「家に帰れば家業を手伝わされるので面倒なんだよ。」
家業を手伝わないなら生活費は自分で稼げと言われ、学園生の頃から仕事をしていたと言う。
どうせ働くなら家業手伝ったらいいのに。
「一度でも自分の意思で手伝えばそこから抜け出せなくなるんでね。」
どんな仕事なのよ?!
興味本位で聞いてみたらブリザード笑顔で返された。
もう聞きません·····
「それよりも3日後にあの愚か者や神前裁判の関係者、愚か者の関係者が教会総本部に移送される事になった。」
やっとか。
この一月教会は学園、学院、ピンクと少しでも関係のあった人物を徹底的に調べた。私も日記に書かれた人物の面通しをさせられ、時には尋問にも付き合わされた。
1つ真理を悟った。
それは並の神経では人の心の闇を直視する事はできない。
聖玉を相手に見えないように布で覆い枢機卿側だけ見えるようにして尋問。
時々嘘というか取り繕って話すもバレて本音をベラベラ喋るから吐き気がしてきた。
私だって汚い欲望を持ってる。
でも自分の中で消化したり見ないふりして抑え込んでる部分もある。
それが全てさらけ出され、リアナが関わっている事で、貶められるのを見ていて自殺したら面白のにとか、自分がしたことがリアナのせいになってほくそ笑んでいたとか、人間不信になりそうだった。
枢機卿達があんな性格でもきつかろう。
俗世から一線置いてなきゃ無理だわ。
さすがの先生もその日は授業をせずに将棋のようなダユベで遊んでくれたり、音楽を聞かせてくれた。
アヤナもあれこれと世話を焼いて好きなお菓子や紅茶で気分を解してくれた。
つくづく周りに恵まれていると感じる。
一人では耐えきれなかったよ。
夜に自分の部屋でこれからどうすべきか考えた。
キリカは3日後に教会総本部に移送される。
後は教会が全て片付けるだろう。
皇宮は今しっちゃかめっちゃかで、皇宮の外には日に日に民衆が増え皇帝を非難し、皇宮内では元老院貴族院が皇帝を引きずり下ろそうとしている。
皇帝は玉座にしがみついて皇弟に暗殺者を送り込み、側妃が生んだ子供の命まで狙っている(先生情報。どっから掴んでくるの?)
お父様も一度拘束されたけど余計に皇宮内が混乱したので解放され、屋敷にも帰れず仕事漬けの毎日を送っている(こっちは執事情報)
南塔に軟禁されている王妃は医師に診てもらい尋問に耐えれる精神状態ではないと判断され療養中。
ホッとしてたら、
「総本部で尋問するからね。
あちらはどうするか分からないよ。」
と言われた。
馬鹿は未だにピンクの呪縛から解けないらしく、教会批判と私を罵っているそうだ。
そして屑は母親の看病と馬鹿の呪縛を解こうと説得し、疲弊し窶れていっているらしい。
自分の欲望の結果だから同情の余地はない。
3日後キリカ一行が総本部に出発し、皇帝が引きずり下ろされ暫定的にでも皇弟が皇帝位を継げば邸に帰れる。
私は女公爵を継ぐ予定になっている。
もしかしたらこの騒ぎが終わればあの暗闇に行けて本物のリアナと交代できるかもしれない。
第二の人生が公爵令嬢なんて恵まれて過ぎているけど、価値観や倫理観が違いすぎて時々耐えられなくなる。
逃げてもどの国も同じだ。
最初の頃は神前裁判でリアナの無実や、リアナを虐げた奴らに自分のした事の責任を取ればいいと思ってた。
私がリアナとして生きていかなければならないなら冤罪を背負って生きたくないし、暗闇の彼女の瞳が忘れられなかったから。
でも現実はそんな生易しいものじゃなかった。
人の命が綿毛並に軽い。
そんな世界で第一の人生の記憶があるのは辛すぎる。
だからリアナに戻って欲しかった。
もう記憶を持って次の人生を生きたくない。
だんだん思考が暗くなっていってたら、いきなり扉が開いてリッツヘルムが飛び込んできた。
「お嬢様、火事です!」
アヤナ家族も滞在し、アヤナ夫婦は東塔の雑事を、ナール君は教会騎士に剣技を楽しく教わっている。
リッツヘルムは私の護衛を継続、先生は学院を休学し私の教師をしたり教会の図書室に通っている。
洗濯物やご飯は教会の巫女が来てくれて手伝ってくれるが、他はアヤナと旦那さんがしなければならないので、効率優先で皆で一緒に食事して各々の部屋以外は食堂と応接室、浴室以外は使わない方針にした。
初めはアヤナ夫婦が固辞したが私も先生も効率型だし、一緒に食事した方が楽でしょ。
部屋だって広いから他に使う必要ないし、お風呂だって順番に入れば問題ない。
そう言った次の日、元貴族令嬢巫女と先生から貴族やこの国のあり方、風習を徹底的に勉強させられた。
「私の教え方が甘かった!」
反省したと宣って朝から晩まで応接室で缶詰状態の猛勉強。
本当に理解したか何度もテストされ更に重箱の隅をつつく如く教えこまれた。
ナール君と遊ぶ暇がない!
私って学園じゃなく先生から全ての勉強教わってるな。
学園は生徒が殆ど居なくなったから閉鎖してるけど、学院はちゃんと開いてるのに休学させてしまっている。
先生にその事を謝ると問題ないと返された
。
先生は他国の言語学、古代史を研究しているそうで休学しても大丈夫らしい。
ここフィーラ大陸はアフリカ大陸の2倍ほどあり、どの国でも宗教はノーダム神を信仰しているが言語は大陸共通語と国の言語がある。
幸いこの国は大陸共通語が母国語だ。
実験が必要な研究してなくて良かった。
それだったら教会に軟禁状態が今以上に申し訳なくなる。
普段寮生活で学園に通い始めてから家に帰っていないそう。
「えっ、1度も?」
私は吃驚して聞き返した。
先生はなんでもない様に肯定する。
「ええ、特に用事もないし会いたい時は相手の職場とかに行く方が楽なんでね。」
えっ、そうなの?
家に行く方が楽でしょ。
「家に帰れば家業を手伝わされるので面倒なんだよ。」
家業を手伝わないなら生活費は自分で稼げと言われ、学園生の頃から仕事をしていたと言う。
どうせ働くなら家業手伝ったらいいのに。
「一度でも自分の意思で手伝えばそこから抜け出せなくなるんでね。」
どんな仕事なのよ?!
興味本位で聞いてみたらブリザード笑顔で返された。
もう聞きません·····
「それよりも3日後にあの愚か者や神前裁判の関係者、愚か者の関係者が教会総本部に移送される事になった。」
やっとか。
この一月教会は学園、学院、ピンクと少しでも関係のあった人物を徹底的に調べた。私も日記に書かれた人物の面通しをさせられ、時には尋問にも付き合わされた。
1つ真理を悟った。
それは並の神経では人の心の闇を直視する事はできない。
聖玉を相手に見えないように布で覆い枢機卿側だけ見えるようにして尋問。
時々嘘というか取り繕って話すもバレて本音をベラベラ喋るから吐き気がしてきた。
私だって汚い欲望を持ってる。
でも自分の中で消化したり見ないふりして抑え込んでる部分もある。
それが全てさらけ出され、リアナが関わっている事で、貶められるのを見ていて自殺したら面白のにとか、自分がしたことがリアナのせいになってほくそ笑んでいたとか、人間不信になりそうだった。
枢機卿達があんな性格でもきつかろう。
俗世から一線置いてなきゃ無理だわ。
さすがの先生もその日は授業をせずに将棋のようなダユベで遊んでくれたり、音楽を聞かせてくれた。
アヤナもあれこれと世話を焼いて好きなお菓子や紅茶で気分を解してくれた。
つくづく周りに恵まれていると感じる。
一人では耐えきれなかったよ。
夜に自分の部屋でこれからどうすべきか考えた。
キリカは3日後に教会総本部に移送される。
後は教会が全て片付けるだろう。
皇宮は今しっちゃかめっちゃかで、皇宮の外には日に日に民衆が増え皇帝を非難し、皇宮内では元老院貴族院が皇帝を引きずり下ろそうとしている。
皇帝は玉座にしがみついて皇弟に暗殺者を送り込み、側妃が生んだ子供の命まで狙っている(先生情報。どっから掴んでくるの?)
お父様も一度拘束されたけど余計に皇宮内が混乱したので解放され、屋敷にも帰れず仕事漬けの毎日を送っている(こっちは執事情報)
南塔に軟禁されている王妃は医師に診てもらい尋問に耐えれる精神状態ではないと判断され療養中。
ホッとしてたら、
「総本部で尋問するからね。
あちらはどうするか分からないよ。」
と言われた。
馬鹿は未だにピンクの呪縛から解けないらしく、教会批判と私を罵っているそうだ。
そして屑は母親の看病と馬鹿の呪縛を解こうと説得し、疲弊し窶れていっているらしい。
自分の欲望の結果だから同情の余地はない。
3日後キリカ一行が総本部に出発し、皇帝が引きずり下ろされ暫定的にでも皇弟が皇帝位を継げば邸に帰れる。
私は女公爵を継ぐ予定になっている。
もしかしたらこの騒ぎが終わればあの暗闇に行けて本物のリアナと交代できるかもしれない。
第二の人生が公爵令嬢なんて恵まれて過ぎているけど、価値観や倫理観が違いすぎて時々耐えられなくなる。
逃げてもどの国も同じだ。
最初の頃は神前裁判でリアナの無実や、リアナを虐げた奴らに自分のした事の責任を取ればいいと思ってた。
私がリアナとして生きていかなければならないなら冤罪を背負って生きたくないし、暗闇の彼女の瞳が忘れられなかったから。
でも現実はそんな生易しいものじゃなかった。
人の命が綿毛並に軽い。
そんな世界で第一の人生の記憶があるのは辛すぎる。
だからリアナに戻って欲しかった。
もう記憶を持って次の人生を生きたくない。
だんだん思考が暗くなっていってたら、いきなり扉が開いてリッツヘルムが飛び込んできた。
「お嬢様、火事です!」
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