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皇后の供述
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「少し一息つきましょう。」
と言ってアルマエル様がお茶とティーカップを出してきた。
あれ、このティーカップ、教会にあった物と一緒の模様。
「冷めていますが教会のお茶ですから安心して飲んで下さい。茶器も教会の物です。」
笑顔で渡される。
ここで出されるのは信じてませんと遠回しに言ってるね。
私も今は皇宮で何を出されても手をつける気になれなかったので有難く頂きます。
一息つけた後、皇后陛下が入ってきた。
「カルサーリ・ユミル・エンダスト皇后陛下、昨年の9の月からの出来事、思いを全て話しなさい。」
皇后様は青い顔をして、私を一瞥してから話し始めた。
「9の月は」
声ちっさ!しかも声が震えてる。
眼鏡父と共謀して追い落とそうとした私がいてるから余計だろうけど聞こえない。
「我々に聞こえるように。それとクルト・デル・ミルボーンと共謀してマセル家を陥れようとした事はクルトから供述がとれています。」
エジエル様の指導が入る。しかも眼鏡父との関係まで言っちゃったよ。
皇后様は驚愕し、いきなり顔を覆って泣き出した。
「聖玉に両手を付いて話しなさい。」
エジエル様の辞書に容赦の文字は無い·····。
皇后様は泣きながら両手を聖玉に乗せ話し出した。
「9の月は何事もありませんでした。
11の月から、ラノシュやチシスがサウスリアナを悪く言い始め、12の月にはラノシュが婚約を何とか出来ないかとわたくしに相談してきたのです。
ラノシュはサウスリアナが皇太子妃の器では無いと言い、チシスは貴族以下だと憎んでいるようでした。
学園での事は噂で聞こえてきていたので、マセル家の影響を弱める絶好の機会だと思ったのです。」
公爵家だから警戒するのはわかるけど、皇后の生家だって公爵家で結構な力を持ってるし、バランスを取るためにリアナが選ばれただけだ。
彼女は皇后に逆らった事はないと日記に書いていた。
エジエル様に尋問の許可を確認し頷いたので皇后に聞いてみる。
「皇后陛下。わたくしは陛下と権力を争うつもりは無かったと思うのですが」
日記からの推測だけど当たっていたようだ。
「ええ、貴女はわたくしに従順だったわ。
でもマセル公爵はそうではない。
現に彼は皇宮内で公正で情に流されず国内の発展に力を注いで評価を上げているのよ。」
物凄い誤解です。
他は知らないけど公正で情に流されないのは、人の心に鈍感で杓子定規にしか物事を進められないだけです。
「そんな時にラノシュにキリカ嬢を紹介されました。
始めは平民が、と思っていたのですが、特待生だけあって国内の情勢を良く勉強していていました。
少し話しただけでわたくしの気持ちに気付いてくれました。
貴族の派閥間の調整も、皇宮で側妃を牽制し皇后という立場を守るのにも疲れていたのです。
そして何度も会うようになりました。」
日記に皇后様は常に平等に貴族夫人、令嬢に接していたと書いてあった。それはリアナに対しても。
「キリカと話していると皇后としての重圧や、サウスリアナとの関係に悩んでいるのも、皇帝陛下の寵愛を笠に着てわたくしを軽んじる側妃も、どうでもよくなっていきました。」
ん?皇后の瞳はだんだん虚ろになってきた。
聖玉が色が消えていってる!
どうしたの?!神の玉!
「皇后陛下!」
アルマエル様が皇后様を強く呼んだ。
「彼女はわたくしが苦しむのはおかしいと、この帝国で一番貴い皇后を悩ます者が悪いのだと、わたくしが·····」
独り言のように言い始めた皇后様にアルマエル様の言葉は聞こえないようだった。
その姿に私はぞっとした。
と言ってアルマエル様がお茶とティーカップを出してきた。
あれ、このティーカップ、教会にあった物と一緒の模様。
「冷めていますが教会のお茶ですから安心して飲んで下さい。茶器も教会の物です。」
笑顔で渡される。
ここで出されるのは信じてませんと遠回しに言ってるね。
私も今は皇宮で何を出されても手をつける気になれなかったので有難く頂きます。
一息つけた後、皇后陛下が入ってきた。
「カルサーリ・ユミル・エンダスト皇后陛下、昨年の9の月からの出来事、思いを全て話しなさい。」
皇后様は青い顔をして、私を一瞥してから話し始めた。
「9の月は」
声ちっさ!しかも声が震えてる。
眼鏡父と共謀して追い落とそうとした私がいてるから余計だろうけど聞こえない。
「我々に聞こえるように。それとクルト・デル・ミルボーンと共謀してマセル家を陥れようとした事はクルトから供述がとれています。」
エジエル様の指導が入る。しかも眼鏡父との関係まで言っちゃったよ。
皇后様は驚愕し、いきなり顔を覆って泣き出した。
「聖玉に両手を付いて話しなさい。」
エジエル様の辞書に容赦の文字は無い·····。
皇后様は泣きながら両手を聖玉に乗せ話し出した。
「9の月は何事もありませんでした。
11の月から、ラノシュやチシスがサウスリアナを悪く言い始め、12の月にはラノシュが婚約を何とか出来ないかとわたくしに相談してきたのです。
ラノシュはサウスリアナが皇太子妃の器では無いと言い、チシスは貴族以下だと憎んでいるようでした。
学園での事は噂で聞こえてきていたので、マセル家の影響を弱める絶好の機会だと思ったのです。」
公爵家だから警戒するのはわかるけど、皇后の生家だって公爵家で結構な力を持ってるし、バランスを取るためにリアナが選ばれただけだ。
彼女は皇后に逆らった事はないと日記に書いていた。
エジエル様に尋問の許可を確認し頷いたので皇后に聞いてみる。
「皇后陛下。わたくしは陛下と権力を争うつもりは無かったと思うのですが」
日記からの推測だけど当たっていたようだ。
「ええ、貴女はわたくしに従順だったわ。
でもマセル公爵はそうではない。
現に彼は皇宮内で公正で情に流されず国内の発展に力を注いで評価を上げているのよ。」
物凄い誤解です。
他は知らないけど公正で情に流されないのは、人の心に鈍感で杓子定規にしか物事を進められないだけです。
「そんな時にラノシュにキリカ嬢を紹介されました。
始めは平民が、と思っていたのですが、特待生だけあって国内の情勢を良く勉強していていました。
少し話しただけでわたくしの気持ちに気付いてくれました。
貴族の派閥間の調整も、皇宮で側妃を牽制し皇后という立場を守るのにも疲れていたのです。
そして何度も会うようになりました。」
日記に皇后様は常に平等に貴族夫人、令嬢に接していたと書いてあった。それはリアナに対しても。
「キリカと話していると皇后としての重圧や、サウスリアナとの関係に悩んでいるのも、皇帝陛下の寵愛を笠に着てわたくしを軽んじる側妃も、どうでもよくなっていきました。」
ん?皇后の瞳はだんだん虚ろになってきた。
聖玉が色が消えていってる!
どうしたの?!神の玉!
「皇后陛下!」
アルマエル様が皇后様を強く呼んだ。
「彼女はわたくしが苦しむのはおかしいと、この帝国で一番貴い皇后を悩ます者が悪いのだと、わたくしが·····」
独り言のように言い始めた皇后様にアルマエル様の言葉は聞こえないようだった。
その姿に私はぞっとした。
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