花なき鳥

紫乃森統子

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二.妬み嫉むもの

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「武次は絵がうまいな」
 絵筆を走らせる武次の脇から覗き込むようにして、左京太夫は感嘆の声を上げた。
 半紙には城の庭園の池に咲く蓮の絵が、あと少しで描き上がる。
 伸びた立ち葉の中に、一足早く綻んだ花芽が開いたのを見つけ、思わず武次が描きたいと申し出たのだった。
 梅雨が明けると、奥州の地にも次第に日差しが強くなり始める。
 初夏の風が左京太夫の纏う白絹の袖を揺らし、その風が武次の前髪をさらりと撫でて過ぎていく。
 穏やかなひと時であった。
 あの日以来、左京太夫は執務の合間に度々武次を相手に呼んでは、庭園を眺めるようになった。
 春に宴の開かれた庭園である。
 武次にとっては失態の記憶の強い、良い思い出のない庭園だったが、左京太夫は武次を伴う時には必ずと言っていいほど、この庭に出た。
「蓮は良いものだ。泥の中から、あのように真っ白な花を咲かせる」
「泥に染まらず、凛として高潔な姿……私もあの蓮のようでありたいと思います」
「武次はそのままで良いぞ。まだ何にも染まっておらぬ。まさに綻びかけた蓮の花芽のようだからな」
 思いがけない言葉に、武次は目を丸くして左京太夫を見た。
 真向から向けられた左京太夫の視線が面映ゆく、絡んですぐに目を伏せる。
「殿は、私を買い被っておいでです。私はずっと、泥中から顔を出すのを恐れ、泥の中に安穏と過ごしていたのですよ」
 蓮は蓮でも、自分はその根のほうだろう。
 日の光を浴びて凛と開く花にはなり得ない。
 物心ついた頃から、表で野山を駆けて遊ぶより家に引っ込んで書物と向き合うほうを好んだ。
 そうした内向きな性格を揶揄われることも多く、それに言い返す度胸もない。
 六つで手習所に上がる頃には既に、人目を避ける癖がついていたのだ。
「先日とうとう、助左衛門さまに泥から引っこ抜かれてしまいましたが……」
「ははは、確かにあの時はそんなふうであったな」
 左京太夫は、問いかけの一つ一つに武次が返答する度に、愉しげに笑った。
 幼い頃に友に揶揄われたのとは違う、まるで弟を慈しむような気配である。
「それ、もう少しで描き上がるだろう。墨を足せ」
 左京太夫自ら陶器の矢立を出し、墨壺を開けて差し出す。
 武次の矢立に、墨が切れかかっているのを察していたのだ。
 ほんの小さなことを気に掛け、身分の垣根など初めから存在しないかのように気安い。
 それが武次には堪らなく温かく感じられ、左京太夫に呼び出されることが次第に待ち遠しくなっていったのだった。
 城屋敷の別邸から見渡す池は広い。
 城の奥御殿からも庭園へ出られるようになっていたが、今は門扉を閉じてあるようだった。
 その池の端に、景色に不似合いなものを見つけて、武次は筆を留めた。
「殿、あれは……?」
 初夏の緑の中に目立つ土色。
 真新しい土饅頭のようなものが盛り上がっている。
「ああ、……あれか」
 武次の視線の先にあるものが何なのか、左京太夫は僅かに言い淀んだようだった。
 しかし間もなく逡巡を断ち切ったと見えて、左京太夫は武次の肩を抱く。
「目白の墓だ」
 さらりと言った左京太夫の言葉に、武次はぴくりと肩を震わせる。
 的に縫い留めてしまった、あの時の目白を葬ったものだった。
「余の側室が、どうしてもと申すのでな。あの場所に弔った」
「………」
 凪いでいた心が急に波立つような感覚がした。
 左京太夫もその側室も、一羽の鳥の失われたことを哀しんだのだ。
 赦されはしても、鳥を射た事実は決して消えることはない。
 それなのに、自分はどうだろうか。
 己と家に課せられる処分にばかり囚われていたように思う。
 ほんの一瞬でも、左京太夫と側室の抱いたであろう哀しみを想ったことはあっただろうか。
 その矮小な心に気付くと同時に、どうしようもなく情けなくなった。
 じわりと鼻梁が熱くなり、泣きたくなっている自分がいる。
 しかし、その命を直に奪った自分には、涙を流す資格はないように思えた。
「一緒に墓に参ってくれるか」
 若衆髷を崩さぬよう気遣ってか、左京太夫はそっと武次の前髪に触れる。
「余はな、あの鳥には感謝している。おまえを側近くに呼び寄せてくれたのは、あの目白だからな」
 
   ***
 
 番入前の子弟たちが数多いる中で、あの宴の後から武次は良くも悪くも周囲の耳目を集めるようになっていた。
 はじめは処分を様々に噂され、同情と憐憫を含んでいたのが、度々左京太夫からの声が掛かるようになると、武次へ向けられる視線は露骨に冷ややかなものになった。
 宴の一射で、図らずも格別の寵を得ることとなった武次への、僻みとも呼べるものが見え隠れしている。
 登城して詰所へ入る間際の挨拶を、余所余所しくかわされる。
 酷いものになると、すれ違いざまに脚を掛けてくる者まで出てきた。
 日を追うごとにそうした行為は増えて、徐々に露骨になっていったのである。
 そしてそれは、小姓頭の助左衛門がいる場では立ちどころに鳴りを潜める。
 上役の目の届かない場所で、嫌がらせと哄笑とが毎日執拗に続いた。
 ここもまた、泥の中なのだろうか。
 そんなことが胸を過り、先日の左京太夫とのやり取りを思い出す。
 武次の家は遡ればこそ、藩の重臣で代々家老や番頭を務める大谷《おおや》一族の分家筋にあたる。
 しかしそれは初代まで遡ればの話で、優に二百五十年以上も昔のことだった。
 大身の宗家とは天地ほども差があり、また遠過ぎる親類との付き合いは決して深くはない。
 一族に連なる者としての名を冠するだけで、何の威光もありはしなかった。
 小姓組には、大身家の嫡男から、武次のような割合に禄の低い家の男子まで、様々な顔触れが集まる。
 そうした中で悪目立ちすれば、忽ちこうなることは予想が出来ていた。
 失態だけならば、揶揄と同情と少しの励ましを受けるだけで済んだかもしれない。
 しかし、主君自らが武次に目を掛けるようになったために、組内には明らかな悪意を持つ者が出てきたのである。
「おやおや、何かに躓かれたかな? 飛ぶ鳥を落とす割には、己が身のこなしはお粗末なことだ」
 掛けられた脚を躱しきれず、腹這いで倒れた身体を起こしながら、武次は無言で歯噛みした。
 詰所前の奥庭に面した廊下は北向きで、昼も常に陰が降りている。
 縁を降りればすぐそこに明るい庭園が広がるのに、武次の倒れた板張りの廊下は、湿気た古い床板の匂いがした。
 頭上から小馬鹿にしたように見下ろすのは、三つ年上の小姓である。
 落合仙之助といい、家格は武次の家より僅かに上だったが、馬持ちでもなく、殆ど同等の家柄だろう。
「御側室様の大事な鳥を射殺しておきながら、よくも殿様に取り入ったものだな」
「聞けば殿様が御側室様のためにと、江戸でお求めになった鳥だそうではないか」
「どんな手管で殿様に取り入ったのか、是非とも御教示願いたいな」
「………」
「なんだ、だんまりか? やはり武次は陰気だのう」
 揶揄して半笑いながらに言うのは、仙之助である。脚払いを掛けたのも、この男だ。
 他に二人、仙之助と並んで無遠慮に嗤っているのも、やはり仙之助と同じ年の小姓だった。
 三人とも、あと一年もすれば番入りとなる。
 それまでに僅かなりとも主君の目に留まりたいと考えていたのだろう。
 それを、小姓となって間もない武次に横取りされた気分なのだ。
 にやにやと薄気味の悪い笑顔で見下す三人に、武次は頭を下げて詫びた。
 悔しいが、ここで騒ぐわけにはいかなかった。
「ふん、つまらんな。こいつがいると詰所の中がじめじめと陰気臭くてかなわん」
「得意の手管で、殿の御寝所にでも侍っておればよろしかろう」
「もっともだ」
 三人はどっと笑い、武次の横を通り過ぎていく。
 仙之助が立ち去っても尚、三人の高笑いが耳にこびり付いていた。
 
   ***
 
「助左衛門、武次を呼んでくれるか」
「は。近頃は武次ばかりに御用を申し付けておられる御様子ですが……」
 左京太夫の要望に、助左衛門がほんの僅か眉を寄せた。
「あれは才ある奴だぞ。弓の腕も無論だが、和歌もやれば書画もやる。先日などは見事な蓮を描いて見せてくれてな」
 些か浮ついた声で褒めるのを、助左衛門はどことなく困惑した面持ちで聞き流し、微かに息を吐いたのが窺える。
「御前。武次ばかりを重用すれば、要らぬ軋轢を生みましょう。小姓組には他に成田や黒田などの倅もおりますゆえ──」
 やれ諫言が始まったと見ると、左京太夫はふいとそっぽを向いた。
「分かっている。しかし武次はおぬしが推めた者ではないか?」
「っ、それは……」
 反論を塞ぐに充分な指摘である。
 助左衛門が口籠ると、左京太夫は軽く笑った。
「武次といると、至極落ち着くのだ。近頃はあやつ、余の顔を見ると実に嬉しそうな顔で笑うものでな」
 何の打算も野心もなく、腹の底に何ものも含まぬ小姓だ。
 はじめこそ、畏怖して平蜘蛛のように伏してばかりだったのが、度々相手に呼ぶと次第に打ち解けて、共に歌い、共に書画を嗜み、出来栄えを褒め合うようになっていたのである。
 好むものが同じであった。
 花を愛で、月を愛で、吹く風の微かな違いに耳を傾ける。
 相通ずるものが愉しく、また少しずつ心を許していく武次本人の変化の見えることが嬉しかった。
 十近くも離れているが、友を得たような心地がしていたのである。
「あれは可愛い」
 思い描けば、それだけで愉快だった。
 助左衛門は左京太夫のその様子をただ閉口して見守り、この日も次の間にいるはずの武次を呼びに行ったのだった。
 
   ***
 
 見た目には、とりわけ美少年、ということもない。
 しかし、その秘めた才には助左衛門も認めるところがある。
 だからこそあの日、主君の前に勧めたのだ。
 だが、それは或いは間違いであったかもしれない。
 武次がここまで左京太夫の興味を惹くとは思っていなかったのである。
 小姓の少年を寵愛するあまりに政を蔑ろにするというわけでもなく、奥向きを顧みないほど武次にばかり入れ込むわけでもない。
 だが、近頃の贔屓振りを見ていると、言い知れぬ不安を感じずにはいられなかった。
「半蔵。小姓衆に揉め事はないか」
 助左衛門は城のすぐ東、城山の一帯を形成する鉄砲谷の中ほどに役宅を構えていた。
 二百五十石の中士で、家は代々側用人を勤め、それは助左衛門の代でも変わらず受け継がれようとしていたし、嫡男の半蔵もまた、助左衛門の来歴同様に小姓組に出仕している。
 武次より三つほど上で勤めも長い。
 助左衛門の跡を継ぐべき半蔵は、役付きでこそないものの、実質的に組内の年少者たちを面倒見る立場にあった。
 半蔵は我が子ながら沈着で、機転の利くほうだろう。
 もしも何かあれば、すぐに察しているはずだと思ったのである。
 何事もなければそれで良いが、万一にも騒ぎが起こっては目も当てられない。
 武次にそのつもりはなくても、周囲の羨望がいつしか嫉妬に変わり、紛争に繋がることは間々ある話だ。
 子供同士の喧嘩、と言ってしまえばそれまでだが、多様な家柄の子弟を預かる身として、城中に不要な争いを起こすわけにはいかなかった。
「武次が揶揄いの対象になっているようですが、そこまで大きな揉め事にはなっておりません」
「やはりそうか」
「あれだけ注目を浴びたのです。多少の揶揄は致し方ありません」
 元々が助左衛門自身の推薦であるだけに、半蔵の返答にも唸るしかない。
 すると半蔵は僅かに口許を緩める。
「父上が御心配なさるのも無理からぬことです。ですが、武次も元々大人しい質ですし、城内で騒ぎ立てるようなことはないものと存じますよ」
 揶揄もそのうち収まるだろう、と、半蔵は見ているらしかった。
 子供の集まる場所である。
 些細な争いは茶飯事であるし、今回は左京太夫が絡んでいるために少しばかり目立って見えるだけだと、半蔵は言う。
「もしも目に余る行いがあれば、その時はお報せしますので」
「そうか……。ん、頼んだぞ」
 戯れ合う以上のことは無いと話す半蔵の言を、助左衛門は呑み込むことにした。
 この上更に助左衛門が武次に目を掛けることは、控えるべきだと考えたのである。
 子供には子供同士、関わり合いの中で解決すべきものがある。
 半蔵の口振りからは、大人が出るほどの幕ではないと察せされたのだった。
 
 
 【三.へ続く】
 
 
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