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170話 帰還
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リヒトとシルトがシュネー城塞へ帰還したのは、王都へ旅立った日から3ヶ月以上過ぎていた。
帰還してすぐに、キルシュバウム、ハイスと共に3国同時に立国し、シルトはシュナイエン王国の初代国王に即位した。
王都ブルーメが、国王と大神官ヴァッサーファルと共に魔窟の森へ沈み、シュメッターリング王国が終焉を迎え…
家や財産、大切な家族や友人を失った大勢の避難民たちの心情に配慮し、華々しく祝祭を行うことは無かったが…
その代わりに鎮護国家と五穀豊穣を祈願しとり行った祭祀で、リヒトは魔窟の森が広がっていた跡地で、宝の山を見つけた。
シルトと側近たちと共にリヒトは馬で、草が生え緑が目立ちだしたシュネー城塞を離れ…
治療師のスマラクトと前辺境伯夫人フォーゲルが主動で始めた城塞外の野菜畑を視察した後、荒涼とした荒れ野をしばらく進み、ゴロゴロと岩が転がる山々に到着した。
リヒトが作った地図を見ながら、そのうちの一つの山に途中まで登り…
「この辺を掘ってみて下さい、シルト様!」
ニコニコと微笑みながら、リヒトは甘えるようにシルトの腕をつかんだ。
「ここか?!」
結婚生活も半年が過ぎ、良く甘えるようになったリヒトに、デレデレとシルトは鼻の下を伸ばした。
「リヒト様… 本当にこんなところにあるのですか?」
人前でもイチャイチャする、新婚の国王夫妻を羨ましそうに見つつ、疑問を口にするノイに、リヒトは笑って答えた。
「ええ、楽しみにしていてください、ノイ殿!! シルト様、崩れないようにそっと掘って下さいね、そっとですよ?」
「よし! 任せろ」
山の中腹をゴリゴリと掘り進め…
「おお? これか?! ちょっと待てよ… 穴の壁を崩れないように固めるから!」
「本当だ!! 青色竜輝石だ!! 流石ですねリヒト様!」
子供の頭ほどある魔石を見つけて、オーベンが感嘆の声を上げた。
「これはこれは… 竜輝石もすごいが、ここは魔石の鉱山のようですよ!!」
珍しくフェルゼンが、興奮し大声で叫んだ。
「ああああっ!! 竜輝石がもう一つありますよ!! …て言うか、これって竜の骨ですかね?! 何かゴロゴロしてる… うわわぁぁぁ―――っ…!!!」
フェルゼンに負けない大声で、ノイも叫ぶ。
「ふふふふっ… シルト様の船をもう2隻作れますよ? それとあっちの山でも魔石が採掘できると思いますよ!」
もっとたくさん褒めて欲しいと、リヒトはシルトの腰に抱き付くと…
「リヒト~っ!! 今夜は寝かせないからな~っ!! 覚悟しろよ~っ!?」
ニヤニヤと笑いシルトはリヒトを抱き上げた。
「もう~っ! シルト様はそればっかりなんだから~っ!!」
嬉しそうにリヒトはシルトの唇を受入れ、チュッ… チュッ… と坑道内に何度も音を響かせた。
側近たちはこの後、シュネー城塞に帰るまで、キスをし続ける夫妻に付き合うはめになる。
帰還してすぐに、キルシュバウム、ハイスと共に3国同時に立国し、シルトはシュナイエン王国の初代国王に即位した。
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「この辺を掘ってみて下さい、シルト様!」
ニコニコと微笑みながら、リヒトは甘えるようにシルトの腕をつかんだ。
「ここか?!」
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人前でもイチャイチャする、新婚の国王夫妻を羨ましそうに見つつ、疑問を口にするノイに、リヒトは笑って答えた。
「ええ、楽しみにしていてください、ノイ殿!! シルト様、崩れないようにそっと掘って下さいね、そっとですよ?」
「よし! 任せろ」
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「おお? これか?! ちょっと待てよ… 穴の壁を崩れないように固めるから!」
「本当だ!! 青色竜輝石だ!! 流石ですねリヒト様!」
子供の頭ほどある魔石を見つけて、オーベンが感嘆の声を上げた。
「これはこれは… 竜輝石もすごいが、ここは魔石の鉱山のようですよ!!」
珍しくフェルゼンが、興奮し大声で叫んだ。
「ああああっ!! 竜輝石がもう一つありますよ!! …て言うか、これって竜の骨ですかね?! 何かゴロゴロしてる… うわわぁぁぁ―――っ…!!!」
フェルゼンに負けない大声で、ノイも叫ぶ。
「ふふふふっ… シルト様の船をもう2隻作れますよ? それとあっちの山でも魔石が採掘できると思いますよ!」
もっとたくさん褒めて欲しいと、リヒトはシルトの腰に抱き付くと…
「リヒト~っ!! 今夜は寝かせないからな~っ!! 覚悟しろよ~っ!?」
ニヤニヤと笑いシルトはリヒトを抱き上げた。
「もう~っ! シルト様はそればっかりなんだから~っ!!」
嬉しそうにリヒトはシルトの唇を受入れ、チュッ… チュッ… と坑道内に何度も音を響かせた。
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