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140話 発覚

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 国王の執務机に拳をたたきつけて、椅子を蹴倒けたおしながら立ち上がり、リーラ公爵は報告をした長男を怒鳴りつけた。

「どういうことだ、アルム?! プファオ公爵家の者たちが逃げ出しただと?!」
 顔を真っ赤にして、リーラ公爵はイライラと拳で、執務机をたたき続けた。

「はい父上、ブラウ公爵家の者たちは、何人かすぐに見つけて捕らえましたが、ブラウ公爵夫人と、その子供はまだ、見つかっていません」
 リーラ公爵の怒りようにアルムは、父親が癇癪を起し、物を投げても対処できるように、数歩下がった。

「クソッ!! まだプファオ公爵夫人も、捕らえていないというのに!! どこへ消えたというのだ?! プファオのオメガは!!」
 執務机の上に並んでいた、国王の愛用品であるインク壺や文鎮を次々と払い落とす。
 
「牢の番人の話では、どうやら深夜に数人の騎士たちに襲撃されたそうです」
 精緻せいちな模様を織り込んだ、手織りの絨毯に醜いインクの染みがじわじわと広がって行き、長男アルムは眉をひそめ…
 報告の続きを伝える。


「それで捕まえたブラウ公爵の奴らからは誰が、襲撃したかは聞き出せたのか?」

 息子と話をしながら、リーラ公爵は飾り棚へ行き、中から国王秘蔵の蒸留酒を出すと、グラスに半分ほど琥珀色の液体を注ぎ、一気に飲み干してゆく。


「残念ながら、誰かに鍵を開けられて、自分たちは牢から出ただけだと… 襲撃犯たちの顔は見ていないと言い張っています… 拷問してから尋問しましたが、本当にそれ以上は何も知らないようです」
 酒を呷る父親を目で追いながら、アルムは淡々と報告を続けた。

「ならば、全員上手く逃げきった、プファオ公爵の支援者と言うことか?!」
 もう一度グラスに蒸留酒を注ぎ、窓際まで行くと、リーラ公爵は王宮の庭を見下ろしながら… グラスの酒を少しずつ喉へと流しこむ。

「恐らく、そうではないかと思われます…」
 リーラ公爵が代理で署名し終えた書類を拾い、アルムは重ねて手に持った。

「ならばさっさと、プファオと交流のある貴族を調べろ!!」

「ですが、人手が足りません、近衛騎士団を使ってもよろしいのならできますが」

「ああ、使え!! 何でも良いからさっさと奴らを見つけて、プファオ公爵と一緒に首をねなけばな!!」



 4日後に…



 王都を大罪人として引き回している、プファオ公爵とブラウ公爵の処刑が決まっていた。









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