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134話 王立騎士団の苦境2

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 リヒトは1人神殿で目覚め、すでに日が暮れ夜になっていることを知り、眠りこけていた自分にあきれてしまう。

 そして、シルトたちが自分1人を置いて、プファオ騎士団の救出の為に王立騎士団へ出掛けてしまったことに、怒りをあらわにした。

 剣を腰に装着し、頭からすっぽりとマントを被り髪を隠すと、神殿の裏手にある厩舎へ行き、馬を一頭借りて騎乗する。

<私の為を思い、シルト様が守ろうとしてくれるのは、嬉しいけれど… 女神の力が尽きてしまった以上、"花の令息"の力は使えない、だったら私も騎士の頭数に入れて、使うことを考えてもらわなければ!!> 


 神官としての能力は、王国で1番の実力を持つリヒトだが、騎士の能力は、見習いの域を出ない。

 それは騎士として働いた経験が無く、リヒトの能力を測る機会が1度も無かったからだ。


<愛するシルト様でも、私が騎士としてどれだけ働けるかは知らない! だったら私自身が能力を証明しようとしなければ、誰も私に背中を任せてはくれない!>


 暗闇の中をリヒトは、王立騎士団へと荒々しいひずめの音を立てながら、馬を疾走させた。





 老騎士の先導で地下牢まで難無く入り、プファオ騎士団の騎士たちが無事であることを確認すると…
 シルトとタイヒは、王立騎士団の副団長を檻から出し、説得を試みた。


「ええ、辺境伯殿! この目で魔窟の森を見て来ましたから、アナタ方の言葉が真実だと、私にも分かります… ですが、それが分かっていても、王宮では誰も聞く耳を持たないのです!!」
 ぶるぶると拳を震わせ、副団長は悔し涙を流しながら、うったえた。

「耳を貸さない者は捨て置いて、我々がやれることを、やるのですよ副団長殿!」
 シルトの言葉を聞き、王立騎士団の副団長は、騎士服の袖で涙をぬぐう。

「まずは副団長殿、王立騎士団の生き残りたちを、引かせないと!」
 タイヒが、顔見知りの副団長の両腕をギュッと掴み、しっかりしろと睨み付ける。

「命令は全て、国王陛下の執務室から、陛下の代理と称してリーラ公爵が出したもののようですから、国王陛下のお心とは別ではないかと…」
 老騎士が口を挟んだ。

「リヒトの話だと国王陛下はずっと不在のままだと言うし、何よりプファオ公爵が捕縛されたというのに、何も言われないのがおかしい! 公爵と陛下は親しい友人だと言うのにだ」
 シルトは疑問を付け加えた。


「これ以上、リーラ公爵の命令を聞く気は無い!! 辺境伯殿の助言を聞き、私は団長を説得しに行きます!!」



 副団長は腹を決め、シルトに大きくうなずいた。






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