辺境に捨てられた花の公爵令息

金剛@キット

文字の大きさ
上 下
112 / 178

110話 蜜月が明けて3 ※R18

しおりを挟む

 暖かくて柔らかなシルトの唇を、チュチュッ… と音を立ててリヒトが吸う。

 シルトの舌がするりとリヒトの口内に忍び込み…
 味わうようにじっくりと、リヒトの舌に絡みつく。

「んんっ…!」
 たまらずうめき声をあげるリヒトを、ヒョイッ… とシルトは抱き上げ… 
 整理整頓が行き届いたシュピーゲルの執務机の上に乗せた。

「リヒト…っ」

「ふぅ… シルト様ぁ…」
 舌を絡め合い、2人の合わせた唇から… 
 チュチュッ… チュク、チュク…ッ… チュチュ… チュチュッ… と淫らな音が鳴り始めると…
 
「ああんっ… だめぇ…、シルト様! 止めてぇ!」
 執務机の上でシルトに押し倒され、リヒトは慌てて広い胸を押して抵抗した。

「嫌だね!!」
 興奮で頬を赤くしたシルトは、リヒトに抵抗されて不機嫌になり… 
 ヂュヂュッ… チュッ… チュッ… と首筋に痕が付くほど強く吸う。

「ああっ! もう、シルト様! ここは寝室ではなく執務室ですよ?!」
 真っ赤な顔で抗議するリヒトの言葉に、シルトも流石に肌を吸うのを止めた。

「確かに他人の執務室で妻を抱くのはまずいか…」
 残念そうにため息をつくシルト。

「ご自分の執務室でもダメですよ!」
 生真面目にリヒトは付け加えた。

「え? 良いではないか、私の執務室なら!」
 ぶちぶちとシルトは文句をたれる。

「いけません! そんなことをしたら辺境伯の威厳が無くなりますよ?!」

「誰にも知られなければ良いのだろう? それに威厳など、私が野蛮人と陰口を叩かれた時点で、無くしていたさ!」
 子供っぽく駄々をこね、シルトは開き直る。

「シルト様、今はその頃とはお立場が違うでしょう?」
 リヒトの声音に説教の気配を感じ…

「んんっ…!?」
 シルトはそれ以上、リヒトが口を開かないよう、キスで唇を塞いで黙らせ… 
 抱き上げてシュピーゲルの執務室を出た。



 廊下で他の神官と立ち話をするシュピーゲルを見つけ、シルトはすれ違いざま…

「王都へ行く!」
 とだけ告げて、足早に神殿を去る。



 騎士や使用人たちに、ギョッ… と何度か振りむかれたが、シルトは構わず唇を合わせたままリヒトを抱いて城主館に戻ると…



 生真面目な新妻の考えを尊重し、シルトは真っ直ぐ寝室へとむかった。






しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

処理中です...