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104話 おねだり ※R18
しおりを挟む小さな唇にシルトの軽いキスが落ちただけで、リヒトの腰はビクリッ… と、はしたなく跳ねてしまった。
抑制魔法を解き、シルトの抑制リングを取り去ったとたん、お互いのフェロモンシャワーが、まるで競争するかのように部屋中に充満した。
シルトが服を脱がし終えた時には、リヒトは恥かしいほど発情していて…
身体の奥から生まれた熱が、リヒトの身体をバラ色に染め、ハァ… ハァ… と呼吸を荒く乱していた。
「シ… シルト様…っ!!」
寝転がったベッドの上で、おおいかぶさるシルトの首に、ぶら下がるようにリヒトは、発情でブルブルと震える腕をまわし、小さな唇を寄せてキスをする。
王都からの旅の途中… 宿屋で初めての発情に苦しみ、シルトに抱かれた時とは違い、リヒトは強い激情に突き動かされていた。
「私は妻になれただけではなく… "番"にもなれるなんて! それもシルト様のたった1人の"番"!! 嬉しくて死んでしまいそう!!」
奴隷紋がある限り、"番"になれないのなら、シルトの最愛の相手にもなれないと…
想像するだけで胸が潰れそうになり、何も考えないようにしていた。
「シルト様! 私をシルト様… 早く"番"に…っ!!」
嬉しくて、嬉しくて、リヒトは涙がうるむ瞳で… シルトの頬に掌を添えて、見つめ続けた。
「ああクソッ… リヒト…っ! こんなに可愛いことをされては、私は本物の野蛮人になりそうだ!!」
照れ屋のリヒトから、熱烈に求められ… なめらかな肌に跡が残るほど、夢中で吸い付き、シルトは罵りながらもニヤついた。
「お願いですシルト様 …早くぅ! 早くぅ!! "番の契り" をして下さい!!」
焦れてシルトの頬や額、首筋や耳にもたくさん唇を押しつけ、リヒトは未熟なキスで必死にねだった。
「落ち着けリヒト… ああ… いや、そうか! 奴隷紋が消えたから気兼ねなく、私に本音が言えるようになったのだな? そうだろうリヒト?」
"番の契り" を結ぶと2人で決めた時から、シルトとの間に築いていたリヒトの分厚い壁が崩れ…
今まで見たことの無い、素のリヒトが表面化したと、シルトもようやく気付いたのだ。
「我慢できなくて、シルト様! 私はもう、我慢するのが嫌なのです! これ以上我慢したら、癇癪を爆発させて泣いてしまいそうです!」
まだ若く元気なリヒトに、欲望ぐらいあって当然で… 本能が剝き出しの状態になる発情中ならばなおさらだ。
だが今までは、"花の令息"として、幼い頃から厳しく躾けられた時も… 王太子の婚約者として窮屈なお妃教育を受けた時も…
父親譲りの生真面目な気質で耐え抜き、我慢に我慢を重ねて、リヒトは私情を捨てて生きて来た。
奴隷紋の縛りは、その最たるもので… とっくにリヒトの我慢の限界は越えていたが…
シルトへの愛情と忠誠心で、どうにか耐えてきた。
その縛りから解放されたのである。
リヒトの心が自由に飛べるなら、全てシルトに向いたとしても、おかしくは無い。
「お前の望みを片っ端から叶えてやるから、我慢などしないで思いついたことを全部、ねだっても私はかまわないぞ?」
オメガの弱点で性感帯でもある項を、シルトは硬い指先で指圧するように刺激してやる。
発情しきった艶っぽい表情で、気持ちよさげに吐息をもらすリヒトに見惚れながら…
シルトはスラリと長いリヒトの足を、膝で開き自分の腰をはさませた。
「たくさん… したいことがあります… でもシルト様がいないと、出来ないことばかりで…」
「2人一緒なら何をやっても、楽しそうだな!」
小さなリヒトの唇を、節の太い指の背で撫で…
シルトはキスを落とし、リヒトの口内にするりと舌を差し入れで柔らかくくすぐった。
薄く小さなリヒトの舌を、シルトは自分の口内に誘い込むのに成功すると…
ヂュチュ… チュク…ッ… ヂュッ… チュク…ッ… 逃がさないよう、獰猛に吸い付き、キュッ… と甘噛みをする。
「ううんん…っ! んんふっ… んんっ… ふっうんんっ…!」
興奮したリヒトは、もっとして欲しいと、要求するようにうめき声をあげた。
「さぁ! リヒト、たくさんねだれ!」
チュクッ… と紅くなった小さな唇を開放すると、リヒトの敏感な首筋を吸いながら、シルトは望みをたずねた。
「ああっ… んんっ 早く… "番"にしてもらって…っ! んっ… それから… たくさん… シルト様に抱いてもらって、子供をたくさん産んで! ん…っ! ええっと… それから… それから!!」
途切れることの無いシルトの愛撫に、ビクッ… ビクッ… と震えながら…
生真面目なリヒトは、ねだるのも一生懸命である。
「それだけか?」
「ええっと… ああっ! シルト様!! んんっ…!」
後戻りできないほど、シルトも発情していて、リヒトに求められる以上の激しさで愛撫をくりかえす。
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