辺境に捨てられた花の公爵令息

金剛@キット

文字の大きさ
上 下
26 / 178

24話 フェロモン ※R18

しおりを挟む

 汚れた身体を洗ってもらい、気分が良くなったリヒトは…
 裸のままベッドに寝かされ、シルトが掛けた上掛けで首まで包まれる。



 小さな浴槽に入り身体に石鹸をこすり付け、リヒトを洗った残り湯で大きな身体を洗うシルトを…
 心奪われるように、リヒトはうっとりと見惚れてしまう。

<うわぁぁ… 初めて見た! 大人のアルファの裸… 私とは全然違う! シルト様は何て美しいのだろう…>

 濡れて色濃く見える青銀色の髪から落ちたしずくが、首筋を伝い、滑らかな胸筋を流れ落ちる。
 


 用意してあった布で濡れた身体を拭きながら、シルトは熱い視線に気づき、チラリとリヒトを見た。


「・・・っ!!」
 不意に目が合い、リヒトの心臓がドキリッ… と跳ねる。

 貪るように、シルトの裸を見ていたことに気付かれ…
 羞恥と欲望でリヒトの身体はさらに熱くなり、ハァ… ハァ… ハァ… と自分が呼吸する音がうるさく響く。

 震える手で上掛けを引っ張り上げ、リヒトは慌てて顔を隠す。


「フフフッ… 見たければ遠慮せずに、好きなだけ見れば良い!」
 機嫌良くシルトに言われ、リヒトは上掛けを目の下までソロソロと下げた。


 手首にはめていた、魔法が組み込まれたアルファの抑制用のブレスレットをシルトが外す。

「さてとリヒト、今から初夜を迎えるが、心の準備は出来ているか?」
 身体を拭いた布を置き、シルトはリヒトを見つめたまま、ベッドの上にギシリと音を立てて上がる。

「…初夜?」

「初夜だ!」

 上掛けを太ももまでシルトに下げられ、アルファに対して無防備な状態のリヒトに…
 抑制を止めたシルトのフェロモン・シャワーが一気に押し寄せ圧倒する。

「ああっ… シルト様!!」
 たまらずリヒトは震える手で、綺麗だと見惚れていたシルトの広い胸に触れた。

「狂いそうだ…!! 何て濃いフェロモンだ! これではお前を奪わずにはいられない」
 リヒトから大量に溢れ出す、オメガの誘惑フェロモンを吸い込み…
 その密度の濃さに酔った頭をはっきりさせようと、シルトは頭を振った。

「ううっ… シルト様… 私もおかしくなりそうです…!」
 リヒトが触れた手の下で、シルトの心臓がドクッ… ドクッ… と力強く拍動する。
 
 胸いっぱいに、シルトのフェロモンを吸い込むと…
 ドクリッ…! とリヒトの胸も大きく鳴り、身体がさらに熱くなった。
<私は今から、シルト様に抱かれる… これで身も心も捧げられる…>


「リヒト!!」
 唇が重なり、シルトの舌がスルリとリヒトの口内に潜り込み…
 
「うんんっ…ふうっ!」

 絡め取られた舌を、チュク… チュクッ… と、強く吸われた途端…

 リヒトは何も考えられなくなり、シルトにしがみついた。








しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜

みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは前世で読んだラノベの世界で、自分が悪役令嬢だったとか、それこそラノベの中だけだと思っていた。 だけど、どう見ても私の容姿は乙女ゲーム『愛の歌を聴かせて』のラノベ版に出てくる悪役令嬢・・・もとい王太子の婚約者のアナスタシア・アデラインだ。 ええーっ。テンション下がるぅ。 私の推しって王太子じゃないんだよね。 同じ悪役令嬢なら、推しの婚約者になりたいんだけど。 これは、推しを愛でるためなら、家族も王族も攻略対象もヒロインも全部巻き込んで、好き勝手に生きる自称悪役令嬢のお話。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

処理中です...