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17話 生真面目で頑固2
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適当な場所で、シルトは臣下の手を借り、馬からリヒトを下ろすと…
「お前たちはここで待て!」
再びリヒトを抱き上げて、シルトは臣下たちをその場に残し…
目の前に広がる、森の奥へと、入って行く。
「お… お心遣いには感謝していますが、で… でも、これ以上のご迷惑を! アナタにかけたくないので…」
2人っきりになると、リヒトは慌てて謝罪をするが…
「ああ、お前の言いたいことは、分かっている」
気分を害した様子のシルトの返事は、素っ気なかった。
「妻の1番の… 役目は子供を… 産むことですし… 私は… 番にも… なれませんし」
良かれと思って結婚の話を、リヒトは断ったはずなのに…
シルトの反応を見て、自分の判断は間違っているのか? とリヒトの心は不安で揺れ始めた。
「それも分かっている!」
臣下たちから遠過ぎず、近過ぎない場所まで来ると…
平坦な場所を見つけ、シルトはリヒトを膝に乗せ、ドサリッ… と腰を下ろした。
「そんなに、怒らないで下さい…」
上目遣いで、リヒトは不安そうにシルトを見る。
「怒ってはいない!」
明らかにシルトは、怒っていた。
…だが、リヒトに対してではなく、王太子フリーゲに対してだ。
「助けて… 頂いたのに… 不快にさせて… 申し訳ありません…」
本格的な、発情期の症状で、息を乱すだけではなく…
リヒトの手はブルブルと震え出していた。
「リヒト… お前に怒っているのではない、お前の言動を聞いただけで… お前がどれだけたくさんのものを、犠牲にして、王妃になる為の努力を重ねて来たかがすぐに分かった」
ずっとシルトが気になっていた、リヒトの目に掛かる孔雀色の髪を…
太い指先で払い、小さな耳に掛けて撫でつけた。
「ソレは…」
発情で敏感になった肌を、シルトの温かい指で撫でられ…
リヒトはウットリと瞳を閉じた。
「あのウジ虫王子は周りを説得して、婚約解消をすれば良いだけのことを、お前を辱めた上に処刑までしようとした… アイツが王になったらこの国は終わるだろう」
ウットリと閉じていた瞳を、リヒトはギョッ… と見開き…
「そっ… そんなことを軽々しく、口に出してはいけません!!」
リヒトは慌てて、シルトの口を、掌で押さえて…
シルトの臣下たちが待つ、自分たちが歩いて来た方向を見た。
「大丈夫だリヒト、うちの臣下たちは私の口が悪いことぐらい、知っているから」
自分の唇を塞ぐ、リヒトの手を取り…
シルトは微笑みながら、リヒトの掌にキスを落とした。
「あ…!」
掌にキスをされ、リヒトはビクリッ… と背中を震わせた。
「でも… このことが、どこか他の貴族にでも知られれば、アナタのお命が危なくなります!!」
「今回のことで、よく分かった! 今の王が亡くなったら王家はもうダメだ! そうなったらシュナイエン領は独立し、王都を護るのを止めれば良いだけだ」
「で… でも、そ…っ んんっ…?!」
反論しようとした、リヒトの唇を…
唇で塞いだシルト。
「お前たちはここで待て!」
再びリヒトを抱き上げて、シルトは臣下たちをその場に残し…
目の前に広がる、森の奥へと、入って行く。
「お… お心遣いには感謝していますが、で… でも、これ以上のご迷惑を! アナタにかけたくないので…」
2人っきりになると、リヒトは慌てて謝罪をするが…
「ああ、お前の言いたいことは、分かっている」
気分を害した様子のシルトの返事は、素っ気なかった。
「妻の1番の… 役目は子供を… 産むことですし… 私は… 番にも… なれませんし」
良かれと思って結婚の話を、リヒトは断ったはずなのに…
シルトの反応を見て、自分の判断は間違っているのか? とリヒトの心は不安で揺れ始めた。
「それも分かっている!」
臣下たちから遠過ぎず、近過ぎない場所まで来ると…
平坦な場所を見つけ、シルトはリヒトを膝に乗せ、ドサリッ… と腰を下ろした。
「そんなに、怒らないで下さい…」
上目遣いで、リヒトは不安そうにシルトを見る。
「怒ってはいない!」
明らかにシルトは、怒っていた。
…だが、リヒトに対してではなく、王太子フリーゲに対してだ。
「助けて… 頂いたのに… 不快にさせて… 申し訳ありません…」
本格的な、発情期の症状で、息を乱すだけではなく…
リヒトの手はブルブルと震え出していた。
「リヒト… お前に怒っているのではない、お前の言動を聞いただけで… お前がどれだけたくさんのものを、犠牲にして、王妃になる為の努力を重ねて来たかがすぐに分かった」
ずっとシルトが気になっていた、リヒトの目に掛かる孔雀色の髪を…
太い指先で払い、小さな耳に掛けて撫でつけた。
「ソレは…」
発情で敏感になった肌を、シルトの温かい指で撫でられ…
リヒトはウットリと瞳を閉じた。
「あのウジ虫王子は周りを説得して、婚約解消をすれば良いだけのことを、お前を辱めた上に処刑までしようとした… アイツが王になったらこの国は終わるだろう」
ウットリと閉じていた瞳を、リヒトはギョッ… と見開き…
「そっ… そんなことを軽々しく、口に出してはいけません!!」
リヒトは慌てて、シルトの口を、掌で押さえて…
シルトの臣下たちが待つ、自分たちが歩いて来た方向を見た。
「大丈夫だリヒト、うちの臣下たちは私の口が悪いことぐらい、知っているから」
自分の唇を塞ぐ、リヒトの手を取り…
シルトは微笑みながら、リヒトの掌にキスを落とした。
「あ…!」
掌にキスをされ、リヒトはビクリッ… と背中を震わせた。
「でも… このことが、どこか他の貴族にでも知られれば、アナタのお命が危なくなります!!」
「今回のことで、よく分かった! 今の王が亡くなったら王家はもうダメだ! そうなったらシュナイエン領は独立し、王都を護るのを止めれば良いだけだ」
「で… でも、そ…っ んんっ…?!」
反論しようとした、リヒトの唇を…
唇で塞いだシルト。
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