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7話 シルトの目に映る公爵 シルトside
しおりを挟む王都で起きている、この下らない婚約騒ぎに、シルトは本気で疑問を感じ始めていた。
<大切な臣下たちを犠牲にしてまで、王都を守る価値が本当にあるのだろうか?>
腹立ちが抑えられず荒々しい足音を立てながら、王宮の玄関ロビーを出たところで…
1度見たら忘れない、特徴的な孔雀色の髪をした人物、プファオ公爵と出会い、シルトは丁寧に頭を下げる。
たった今、息子が処刑されると聞いたばかりだから、公爵の顔を見て…
王太子が巻き起こした、この不条理で醜悪な状況にシルトの心は痛みを感じていた。
<今回も派遣依頼をしに、プファオ公爵に会いに行こうと思っていたのだが…>
「これはシュナイエン辺境伯、久しぶりですな」
「ご無沙汰しております、プファオ公爵」
<ああ… 気の毒に… この人は王太子の我がままで、明日息子を失うのか…>
陰鬱な気分になり、シルトは暗い顔で公爵を見つめてしまう。
「アナタの耳にも、入ってしまいましたか… 我が愚息の話が」
シルトの表情から敏感に自分への同情を読み取り、プファオ公爵は疲れた顔で微笑んだ。
特に腕利きの騎士を、選んで派遣してくれるプファオ公爵を…
3公爵の中でも1番信頼できる立派な人だと、シルトは心から尊敬していた。
<公爵の息子が愚息なはずが無い! 魔力の強さもそれを操る技も優秀で、オメガの身でありながら有事にはその身を盾にして国王を護るのだと、自ら進んで騎士団の見習い騎士として、剣の修業までしていたと聞いている>
初めて公爵にあった時、誇らしげに息子の自慢をしていたのを、シルトは今も鮮明に覚えていた。
「国王陛下に騎士の派遣を依頼をする為に、王都まで来られたのですか? うちの私設騎士団からも何人か行かせましょう、北方で鍛えてやって下さい、彼らが武勇伝を1つか2つ語れるように」
「王都も1度ぐらい、魔獣の被害を受けてみれば、下らないお遊びを止める気になるでしょうに!!」
握手の手を差し出す公爵の手を、シルトは力強くギュッと握り、真情を吐露する。
<こんな状況でも、こちらの意を汲んで下さるとは… 本当に公爵には頭が下がる!! 何か私にも出来ることがあれば良いのだが…>
シルトの分厚い胸の奥が、プファオ公爵への敬愛の念でカッ… と熱くなった。
「それは困りますが… 王子殿下に1度は北方で魔獣退治の、視察ぐらいはしてもらわないと」
困った顔で笑う公爵。
「いっそ魔獣退治に、参加してもらいましょうか?」
シルトは意地悪な、笑みを浮かべた。
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今回はドイツ語にお世話になりました。 リヒト→光 プファオ→孔雀 シルト→盾 シュナイエン→雪が降る フリーゲ→ハエ ギフト→毒 ドウルヒファル→下痢 シュメッターリング→蝶 シュピーゲル→鏡 ナーデル→針 ゾネ→太陽 ヴァルム→暖かい スマラクト→エメラルド ドイツ語が分かる方、ごめんなさい! きっと吹き出してしまったでしょうね(-_-;) 私はドイツ語、全然わかりませんが…ココまで読んで下さり、ありがとうございます、楽しんで頂ければ幸いです☆彡
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