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105話 その後2 ―END―
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「うぎゃああぁぁぁぁぁ――――――っ!!!」
ざわつく神殿内に、突然子供の泣き声が響き、アスカルとグランデは、自分たちの息子か?! とギョッ… として、2人は立ち上がり、泣き声がする方をキョロキョロと見る。
大騒ぎをさせないよう、婚姻の儀が始まる時間まで、アニジョの気晴らしのためにと、義父と義母が神殿の庭を散歩しているはずだったが…。
「ぎゃわあぁぁぁぁぁぁ――――――っ!!!」
大声で泣きさけぶ子供を抱き、義母と義父が困った顔で、グランデとアスカルがいる信徒席の最前列まで歩いて来る。
アユダルが黒騎士団の専属治療師になって以来、家族ぐるみで仲良くつきあって来たレガロ公爵家は… 子どものアニジョも含めて、家族全員が婚姻の儀に招待されていた。
貴族たちは無作法だと、子どもは絶対に参加させないのが常識だが、アニジョはアスカルのお腹の中にいる時から、アユダルが診ていたため… ぜひ来てほしいとアユダル自身が希望したのだ。
「アニジョ、どうしたのだ?! さっきまであんなに機嫌が良かったのに?」
泣きさけび注目の的となっている、息子のアニジョを受け取ろうと、グランデが腕を伸ばすと…
「…ぱぁ~ぱぁ! ぱぁ~ぱぁ!!」
大泣きしていた息子のアニジョは、グランデの姿を見たとたん、泣くのを止めて… お父さん、抱っこして! と小さな手をグランデに伸ばした。
「どれどれ? どうしたアニジョ?! んんん~~っ?」
息子に抱っこしてとねだられて、グランデはデレデレである。
「う~… うぅ~…?」
アニジョはグランデに抱かれると、深紅の瞳を輝かせてマントの肩にある金色の房飾りをつかみ、熱心に見つめる。
公爵邸から神殿に移動する馬車の中でも、アニジョはずっとグランデの膝に座り、上機嫌でマントの房飾りを触っていた。
「ふふふっ… アニジョはキラキラした物が大好きですからね」
アスカルが苦笑すると…
「そうね! 陽光の下で輝くアスカルの銀の髪を、まぁ~まぁ! まぁ~まぁ! といつも引っ張ってしまうし…」
ぴたりと泣きやみ、上機嫌になる孫の姿に義母も一緒にくすくすと苦笑した。
「父親に良く似て好きなものが、はっきりしている子だよ」
義父も穏やかに笑う。
「そこの英雄殿! 可愛い息子を見せびらかしたいのはわかるが、そろそろ腰を下ろしてはどうだ? 主役の2人があらわれる頃だぞ!」
王太子アニマシオンが、グランデと並びの席から声をかけ揶揄った。
「これは失礼!」
グランデは上機嫌で笑い王太子に答えると、レガロ公爵一家は並んで腰を下ろした。
「・・・・・・」
アスカルはそっと周囲の人たちに視線を移す。
大きな泣き声に注目していた、他の参列者たちは… 静かになったアニジョの姿を見て、ホッ… と胸をなで下ろしていた。
今はもう… グランデを娼婦の息子だと蔑む者など1人もいない。
誰もが尊敬とあこがれの眼差しを向け、レガロ公爵一家を見つめている。
アスカルの胸の中はいっぱいになり、熱いものが込み上げて来た。
たまらずグランデのたくましい腕につかまり、房飾りに夢中の息子の頬にキスをして… グランデにだけ聞こえるように囁いた。
「グランデ様、愛してます… 僕は幸せです!」
「オレも愛している! お前と出会ってから、オレはずっと幸せだ!」
グランデは満面の笑みを浮かべ、アスカルの唇にキスをした。
― END ―
最後まで、お付き合い下さりありがとうございました☆彡
○ あとがき ○ ○ ○ ○
制作秘話を少しだけ。
グランデが初登場時に、うっかり魔王復活などと軽いノリで書いてしまった為に、アスカルとグランデが途中から魔王討伐戦に向けて、猛烈に頑張りだしてしまい… 魔王を復活させないと、お話を終われなくなってしまいました。
魔王復活したけど、『グランデと黒騎士団がうまいこと倒したよ!』 …と、2,3行で魔王討伐終わらせられると思っていたのですが… 簡単に終われないと気づいた時、すごく泣きたかったです(笑)
(´;ω;`)
プロットでも、グランデとアスカルが結婚するあたりまでしか、考えてなくて… もう綱渡り状態で更新していました。
自分でもどこまで長くなるのか、予想がつかなくなったお話に、お付き合い下さった優しい皆様、本当にここまで読んで下さり、ありがとうございます!
お気に入り、しおり、エール、そして感想のコメントをありがとうございます! たくさん付けて下さり、本当に励まされっぱなしでした。
最後まで書けたのは、読んで下さる方がいると思えばこそ続けられました。
「初めて僕を抱いたのは~」でアユダルとアナリシス公爵との、「王太子の秘密儀式」ではアニマシオンと大賢者の過去話を、書いたりしてます。
興味のある方は、おひまな時にでも見てみて下さいませ~(*'▽')
感謝感激! またどこかでお会い出来れば幸いです☆彡
ざわつく神殿内に、突然子供の泣き声が響き、アスカルとグランデは、自分たちの息子か?! とギョッ… として、2人は立ち上がり、泣き声がする方をキョロキョロと見る。
大騒ぎをさせないよう、婚姻の儀が始まる時間まで、アニジョの気晴らしのためにと、義父と義母が神殿の庭を散歩しているはずだったが…。
「ぎゃわあぁぁぁぁぁぁ――――――っ!!!」
大声で泣きさけぶ子供を抱き、義母と義父が困った顔で、グランデとアスカルがいる信徒席の最前列まで歩いて来る。
アユダルが黒騎士団の専属治療師になって以来、家族ぐるみで仲良くつきあって来たレガロ公爵家は… 子どものアニジョも含めて、家族全員が婚姻の儀に招待されていた。
貴族たちは無作法だと、子どもは絶対に参加させないのが常識だが、アニジョはアスカルのお腹の中にいる時から、アユダルが診ていたため… ぜひ来てほしいとアユダル自身が希望したのだ。
「アニジョ、どうしたのだ?! さっきまであんなに機嫌が良かったのに?」
泣きさけび注目の的となっている、息子のアニジョを受け取ろうと、グランデが腕を伸ばすと…
「…ぱぁ~ぱぁ! ぱぁ~ぱぁ!!」
大泣きしていた息子のアニジョは、グランデの姿を見たとたん、泣くのを止めて… お父さん、抱っこして! と小さな手をグランデに伸ばした。
「どれどれ? どうしたアニジョ?! んんん~~っ?」
息子に抱っこしてとねだられて、グランデはデレデレである。
「う~… うぅ~…?」
アニジョはグランデに抱かれると、深紅の瞳を輝かせてマントの肩にある金色の房飾りをつかみ、熱心に見つめる。
公爵邸から神殿に移動する馬車の中でも、アニジョはずっとグランデの膝に座り、上機嫌でマントの房飾りを触っていた。
「ふふふっ… アニジョはキラキラした物が大好きですからね」
アスカルが苦笑すると…
「そうね! 陽光の下で輝くアスカルの銀の髪を、まぁ~まぁ! まぁ~まぁ! といつも引っ張ってしまうし…」
ぴたりと泣きやみ、上機嫌になる孫の姿に義母も一緒にくすくすと苦笑した。
「父親に良く似て好きなものが、はっきりしている子だよ」
義父も穏やかに笑う。
「そこの英雄殿! 可愛い息子を見せびらかしたいのはわかるが、そろそろ腰を下ろしてはどうだ? 主役の2人があらわれる頃だぞ!」
王太子アニマシオンが、グランデと並びの席から声をかけ揶揄った。
「これは失礼!」
グランデは上機嫌で笑い王太子に答えると、レガロ公爵一家は並んで腰を下ろした。
「・・・・・・」
アスカルはそっと周囲の人たちに視線を移す。
大きな泣き声に注目していた、他の参列者たちは… 静かになったアニジョの姿を見て、ホッ… と胸をなで下ろしていた。
今はもう… グランデを娼婦の息子だと蔑む者など1人もいない。
誰もが尊敬とあこがれの眼差しを向け、レガロ公爵一家を見つめている。
アスカルの胸の中はいっぱいになり、熱いものが込み上げて来た。
たまらずグランデのたくましい腕につかまり、房飾りに夢中の息子の頬にキスをして… グランデにだけ聞こえるように囁いた。
「グランデ様、愛してます… 僕は幸せです!」
「オレも愛している! お前と出会ってから、オレはずっと幸せだ!」
グランデは満面の笑みを浮かべ、アスカルの唇にキスをした。
― END ―
最後まで、お付き合い下さりありがとうございました☆彡
○ あとがき ○ ○ ○ ○
制作秘話を少しだけ。
グランデが初登場時に、うっかり魔王復活などと軽いノリで書いてしまった為に、アスカルとグランデが途中から魔王討伐戦に向けて、猛烈に頑張りだしてしまい… 魔王を復活させないと、お話を終われなくなってしまいました。
魔王復活したけど、『グランデと黒騎士団がうまいこと倒したよ!』 …と、2,3行で魔王討伐終わらせられると思っていたのですが… 簡単に終われないと気づいた時、すごく泣きたかったです(笑)
(´;ω;`)
プロットでも、グランデとアスカルが結婚するあたりまでしか、考えてなくて… もう綱渡り状態で更新していました。
自分でもどこまで長くなるのか、予想がつかなくなったお話に、お付き合い下さった優しい皆様、本当にここまで読んで下さり、ありがとうございます!
お気に入り、しおり、エール、そして感想のコメントをありがとうございます! たくさん付けて下さり、本当に励まされっぱなしでした。
最後まで書けたのは、読んで下さる方がいると思えばこそ続けられました。
「初めて僕を抱いたのは~」でアユダルとアナリシス公爵との、「王太子の秘密儀式」ではアニマシオンと大賢者の過去話を、書いたりしてます。
興味のある方は、おひまな時にでも見てみて下さいませ~(*'▽')
感謝感激! またどこかでお会い出来れば幸いです☆彡
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翡翠様
コメントありがとうございます!
実はアユダルとレウニールのその後を、こちらでちょびっとだけ触れたくて、「初めて僕を~」の方を先に完結させたのです。
2つともお話を読んで下さり、ありがとうございます!(^^)!
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます☆彡
リコ様
コメントありがとうございます!
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます☆彡
リコ様
コメントありがとうございます!
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます☆彡