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100話 本陣に戻ると…3

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 王太子の補佐官サルと青騎士たちが、負傷者たちを救護所に運び終えるのを待ち… 魔獣を切りせながらグランデは、青騎士の負傷者を連れ帰って来た、白騎士団の副団長に大声で怒鳴った。


「白騎士団の副団長殿、良い時に返って来たな! オレたちは急用ができて、少しだけここを離れたいのだが?! 副団長殿の腕を見込んで、この場をお任せしてもよろしいか―――っ?!」

「グランデ殿…! 貴殿きでんがそのように丁寧な言葉で私に何かを依頼する時は、いつも決まって厄介事やっかいごとを押し付けられるのだが? なぜだろうなぁ?!」
 白騎士団の副団長は苦笑を浮かべながら、グランデの依頼を了解したと… 力強くうなずいた。


「はははははっ…! それはだな、同じ公爵でも… 黒騎士団うちエキボカルバカ公爵と比べると、白騎士団の公爵殿の方がはるかに腕利うでききだから、オレとしてはついつい頼りたくなるのさ!」
 さすが物分かりが良いと、グランデはカラカラと笑った。

 白騎士団の副団長はアナリシス公爵家の当主であり… 実力主義の王太子アニマシオンが信頼する友人でもあり… グランデが娼婦の息子だと侮辱することもなく、誰に対しても公正な態度で接する貴重きちょうな人物である。

 何より白騎士団で一番の腕利きだと、グランデも認めているのだ。 


「黒騎士団の団長殿にそこまで褒められるとは、光栄なことだ!」
 白騎士団の副団長は呆れた顔で、首を横に振り、シッ… シッ…! と手を振って、グランデに早く行けと合図を送る。
 

「おい、グランデ―――ッ! 公爵に媚びを売るのはそのぐらいにして、さっさと奥方を連れて結界石を取りに行け!!」
 王太子アニマシオンも、軽口を言い合う2人の会話を聞きながら、ニヤリと笑い怒鳴った。

 予備品テントのどこに結界石が保管してあるか? また、どれだけ使うのか? どの結界石を使うか? 一番アスカルが把握はあくしているため… 限界近くまで体力を消耗していても、アスカルが一緒に取りに行く必要があった。


「すまない、アスカル! まだ走れるか?!」
 目の前に突進して来る魔獣の群れを切り伏せ、グランデは素早くアスカルの隣まで移動してたずねると…

「はい… グランデ様… 頑張ります…!」
 ハァッ… ハァッ… と荒い息をはきながら、アスカルは備品用テントに向かって、グランデよりも先にふらつきながらけ出した。


 出来ないとは言わない、我慢強い妻の華奢きゃしゃな後ろ姿を見て、グランデは一瞬だけ複雑そうな表情を浮かべたが、すぐに後を追いかける。






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