黒騎士はオメガの執事を溺愛する

金剛@キット

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80話 黒い炎

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 大賢者が魔王が出現すると予見した場所で、国中から集まったりすぐりの高位神官たちが、大量に発生した瘴気を、強力な浄化魔法で払いのけようとこころみた。


「なぜだ―――っ!! なぜ、浄化魔法が効かないのだ?!」
 金の装飾がついた純白のローブを羽織る、高位神官の1人が顔を強張らせて叫んだ。

 瘴気が大量に発生する、大地の裂け目を中心に、神官たちは囲むように輪を作り… 強力な浄化魔法をかけていた。

 だが… 

「いや、我々の魔法は確かに瘴気を浄化しているが… 瘴気の発生量が多すぎるのだ!!」

「これでは… 魔王の復活が成されてしまう!! せっかくこの場所を突き止められたのに!!」

 高位神官たちが放つ浄化魔法が追い付かず、発生した瘴気の濃度は見る見るうちに増して行き… 瘴気が吹き出す大地の裂け目から黒炎がふき出し… 魔獣の群れが瘴気とともにあふれ出した。


「魔獣だ!! 浄化はここまでだ!! 神官たちを全員下がらせろ―――!!」
<上手く浄化魔法で瘴気を散らせれば、魔王を復活させずに済むのではないかと思ったが… やはりそこまで甘くはなかったな! クソッ!!>

 大声で怒鳴りながら、グランデは魔獣の群れに突っこみ、魔力を溜めた大剣で剣圧を最大限にして放ち… 最初に出てきた群れをひと振りで、切り殺したが… すぐに次の群れがあふれ出す。


「神官殿は後ろへ―――っ!!」
 背後にひかえていた黒騎士たちが、いっせいに神官の前に出て、襲いかかる魔獣から神官たちを守り、大急ぎで後退する。

「うわああ!!来るなぁ!!来るなっ!! ギャアアア―――ッ!!!」

「ヒイィッ…! 助けてくれぇ―――っ! ギャアアアッ!!!」
 黒騎士の援護が間にあわず、逃げ遅れた神官の2人が、あっという間に魔獣の餌食えじきとなり、食い殺された。 
 
「クソッ!! バハル!! こっちはオレがやるから、さっさと神官たちを異動させろ―――っ!」
 グランデがもう一度さけぶ。


「死にたくなければ、早くこっちに集まれ!! 遅れた者は置いて行くからな―――っ!!」 
 神官たちに向かって、グランデの腹心の部下バハルもさけぶ。

 普段は神殿の奥で、威張いばりり散らす高位神官たちも、魔獣を前にして恐怖で顔をゆがめ、転げるようにバハルのもとへ集まる。

 選りすぐりの高位神官たちは、強力な浄化魔法が使え、大量の瘴気をはらうことが出来るが… 攻撃魔法を使える者は少なく、魔獣に対しては無防備になるのだ。

「よし、動くなよ―――っ!!」
 生きている神官が全員集まると、バハルは上着から転移魔法の魔道具を出して、一瞬で神官たちを連れて移動させる。


「オレたちもいったん、結界の外まで後退するぞ―――っ!!」
 神官たちが脱出すると、グランデは黒騎士たちに号令をかけて下がる。

 国中で発生した瘴気を、こまめに浄化することで… 浄化を繰り返しても、大量に瘴気が発生し続ける場所があると発見し、そこが大賢者の未来視さきみの魔法ではつかみきれない、魔王が出現する正確なポイントだと特定することが出来た。

 そこで魔石を使った結界魔法で、出現ポイントを囲み魔王とともに大量発生するであろう魔獣を、結界の外へ散らさない作戦をたてた。


 結界の結界壁へと走りながら… グランデは自分たちがいた場所を振り返ると… 裂け目から出た黒い炎が、大地をなめるように広がり、草木を全て焼き尽くすのではなく、草木に宿る魔力を吸って残りをちりに変えていた。


「クソッ!! 走れ―っ!! 結界の外へ、全力で走れ―――っ!!」

 対魔獣用の、重装備を付けてグランデは夢中で、部下たちに怒鳴り走った。







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