黒騎士はオメガの執事を溺愛する

金剛@キット

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46話 王都の伯爵邸3

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 王都のレガロ伯爵邸にある、豪華な当主のベッドで目覚めた時… アスカルは一人で眠っていた。


「グランデ様…? あれ、いない…?」
 寝室のカーテンがすべて閉じられ、室内を照らす蝋燭ろうそくの炎がともされていることから… 外はすでに日が暮れているのだと、アスカルは知ることが出来た。

 ぐぐぅ~っ… とアスカルは背伸びをして、自分が眠っていた反対側のシーツを掌でぺたぺたと触れる。

<シーツが冷やりとしている… 僕が眠ってすぐにグランデ様は、ベッドを出たみたいだ… よく考えれば王太子殿下に呼ばれて、急いで王都に帰って来たのだから… グランデ様は騎士団の本部へ、戻ったのかなぁ?>
 


 うなじを噛まれながら、アスカルが2度目の射精をし、お腹の中にたっぷりとグランデに種を注がれると… 

『うう~んんっ… 眠くて… 眠くて… もう目を開いていられない… グランデ様、少しだけ休ませて下さい…』

『休める時に休んで置け… またすぐに発情の熱で、身体が辛くなるだろうから』

 発情の熱が弱まり、アスカルは疲れ果てて、そのまま眠ってしまったのだ。



 ベッド脇のテーブルに、洗面器と水差しが置かれているのが、アスカルの目に入り… 早速、使うことにした。

<どうやら僕が目覚めたら、自分で身体を清められるように、グランデ様が用意しておいてくれたみたいだ… 本当になんて優しいひとだろう…>
 アスカルはにっこりと微笑み、洗面器に掛けてあった布を、水差しの水で濡らした。


 グランデに脱がされた、自分の執事服を着てアスカルは寝室を出る。

<僕が弟だと、グランデ様に直接、顔を見て話そうとすると… 意気地いくじなしの僕は、結局グランデ様に伝えることが出来なくて、最後には受け入れてしまうから… 今度は手紙を書いて、執務室に置いておこう>

「たぶん… これが一番、確実に伝えられる方法だから! グランデ様がいない今なら、手紙を書くのに都合も良いし… 今度こそ伝えられる!」

<嫌われたらどうしよう? とか… グランデ様を傷つけてしまう? とか… 伝えた後のことを、考えるのは止めよう! どうなるかはグランデ様が決めることだから… これ以上間違いを犯さないように、僕はお任せするしかない> 



 人の気配の無い廊下を進み、アスカルは執務室を探した。








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このお話はスペイン語から、命名しております。 アスカル→砂糖。 黒騎士グランデ→大きい。 レガロ伯爵→贈り物。 アニマシオン王太子→応援。 父ペスカド→魚。 先代伯爵リコル→酒。 メイドのクエジョ→襟(えり)。 神官カスカダ→滝。 個性的で面白い名前ばかりですが、あまり馴染みが無いから覚えにくいかな? お世話になりました、スペイン語! ◯命名センスが最悪なので、異世界モノのお話の時はいつも外国の単語からもらうことにしています☆彡
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