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40話 漆黒の人だかり
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涙をこぼしながら… 今度こそ、伝えなければいけないと、口を開こうとするアスカルの唇を、グランデがキスで塞いだ。
「んっ…?!」
<グランデ様…?!>
チュクッ… と小さな唇の音を残して、グランデは離れると… アスカルをギュッ… と抱きしめて、耳元でささやいた。
「そんなに悲しそうな顔をして… 今は何も言うな! 何も考えるな! 番になった時のお前のように、幸せそうな顔でオレに可愛がられることだけに集中しろ!」
「でも… グランデ様! 僕はあなたに話さなければ… いけないことが…」
「ダメだ!」
グランデは再び、アスカルの唇をキスで塞いだ。
「う… んっ…!」
<でも今、話さなければ、取り返しのつかないことになってしまう! このままグランデ様が、僕との結婚を進めてしまったら?!>
グランデの舌で口内をくすぐられ… アスカルは反射的に、番になってから繰り返し教えられた、熱烈な恋人同士のキスで応えた。
チュクッ… チュチュッ… とアスカルがグランデの舌と唇に、夢中になっていると…
「団長、この魔道武器がいっぱい詰まった木箱は、どこに運びましょうかね? 武器庫ですか? でもこれ… ものすごい逸品ばかりだから、団長の執務室の方が良いですかね?」
レガロ伯爵邸から運んで来た、木箱の蓋を勝手に開け、中に詰め込んだ魔道武器を、涎が垂れそうな顔で、一品ずつ手に取り見ていた黒騎士たちが、空気を読まないのんきな態度で声をかけて来た。
「…っ?!!!」
<誰?! わわわっ?!>
うっとりとキスに溺れていたアスカルは、知らない誰かに声を掛けられ、ギョッ…!! と目を開き、グランデの腕の中で飛び跳ねた。
<忘れてた!! ここ… 黒騎士団の本部だった!! 人がたくさんいたのに… 僕は… 僕は… 人前で、ふ… ふしだらなことを、してしまった!!>
あわあわとパニックになるアスカルの唇を、ヂュッ…!! と強く吸うと、グランデはパッ… と離れて、背後に立つ部下たちに大声で怒鳴る。
「バハル―――ッ! コスタとエンチュフェと、お前の隊の奴らを呼んで来て、相性の良さそうな武器を選べ! 貸してやるから!」
「ええ?! こんなお宝を、貸してくれるんですか?!」
「金の無い奴にだけだぞ! その代わり騎士団を辞める時には、絶対に返せよ? それは一応、レガロ伯爵家が先祖代々守って来た武器だからな―――っ!!」
「うおおおおおお~!! レガロ伯爵、様! 様―――っ!!」
あっという間に、がやがやと武器のまわりに漆黒の人だかりができて…
時々武器の奪い合いでケンカをしたり、子供のようにはしゃぎながら、騎士たちは頬ずりをして、1つずつ選んでいた。
「/////////…っ」
<も… もしかすると、武器に夢中で… 僕がふしだらなことをしていたなんて… 誰も気づいていないかも?!>
真っ赤な顔で呆気にとられたアスカルが、武器に群がる漆黒の人だかりを見ていると…
グランデは空になった木箱を逆さまにして、自分が羽織っていたマントを上にかけた。
「アスカル、ここに座れ! 腹が減ったから、俺たちは昼食にしよう」
「/////////…はい」
言われるがまま、アスカルが木箱の上に腰を下ろすと…
頬に残った涙の跡を、グランデは太い指でぬぐい、アスカルにチュッとキスを落とす。
「さぁ食べろアスカル! 食べて、元気になれ!」
「/////////…はい」
グランデはクエジョから渡された籠を開けて、中からローストビーフを挟んだパンを取り出し、真っ赤な顔のアスカルに手渡す。
端から端へと、ゲージの針が振り切れそうなほど、次から次へと衝撃を受け続けたアスカルの魂は、今にも身体から抜け出しそうになっていた。
「んっ…?!」
<グランデ様…?!>
チュクッ… と小さな唇の音を残して、グランデは離れると… アスカルをギュッ… と抱きしめて、耳元でささやいた。
「そんなに悲しそうな顔をして… 今は何も言うな! 何も考えるな! 番になった時のお前のように、幸せそうな顔でオレに可愛がられることだけに集中しろ!」
「でも… グランデ様! 僕はあなたに話さなければ… いけないことが…」
「ダメだ!」
グランデは再び、アスカルの唇をキスで塞いだ。
「う… んっ…!」
<でも今、話さなければ、取り返しのつかないことになってしまう! このままグランデ様が、僕との結婚を進めてしまったら?!>
グランデの舌で口内をくすぐられ… アスカルは反射的に、番になってから繰り返し教えられた、熱烈な恋人同士のキスで応えた。
チュクッ… チュチュッ… とアスカルがグランデの舌と唇に、夢中になっていると…
「団長、この魔道武器がいっぱい詰まった木箱は、どこに運びましょうかね? 武器庫ですか? でもこれ… ものすごい逸品ばかりだから、団長の執務室の方が良いですかね?」
レガロ伯爵邸から運んで来た、木箱の蓋を勝手に開け、中に詰め込んだ魔道武器を、涎が垂れそうな顔で、一品ずつ手に取り見ていた黒騎士たちが、空気を読まないのんきな態度で声をかけて来た。
「…っ?!!!」
<誰?! わわわっ?!>
うっとりとキスに溺れていたアスカルは、知らない誰かに声を掛けられ、ギョッ…!! と目を開き、グランデの腕の中で飛び跳ねた。
<忘れてた!! ここ… 黒騎士団の本部だった!! 人がたくさんいたのに… 僕は… 僕は… 人前で、ふ… ふしだらなことを、してしまった!!>
あわあわとパニックになるアスカルの唇を、ヂュッ…!! と強く吸うと、グランデはパッ… と離れて、背後に立つ部下たちに大声で怒鳴る。
「バハル―――ッ! コスタとエンチュフェと、お前の隊の奴らを呼んで来て、相性の良さそうな武器を選べ! 貸してやるから!」
「ええ?! こんなお宝を、貸してくれるんですか?!」
「金の無い奴にだけだぞ! その代わり騎士団を辞める時には、絶対に返せよ? それは一応、レガロ伯爵家が先祖代々守って来た武器だからな―――っ!!」
「うおおおおおお~!! レガロ伯爵、様! 様―――っ!!」
あっという間に、がやがやと武器のまわりに漆黒の人だかりができて…
時々武器の奪い合いでケンカをしたり、子供のようにはしゃぎながら、騎士たちは頬ずりをして、1つずつ選んでいた。
「/////////…っ」
<も… もしかすると、武器に夢中で… 僕がふしだらなことをしていたなんて… 誰も気づいていないかも?!>
真っ赤な顔で呆気にとられたアスカルが、武器に群がる漆黒の人だかりを見ていると…
グランデは空になった木箱を逆さまにして、自分が羽織っていたマントを上にかけた。
「アスカル、ここに座れ! 腹が減ったから、俺たちは昼食にしよう」
「/////////…はい」
言われるがまま、アスカルが木箱の上に腰を下ろすと…
頬に残った涙の跡を、グランデは太い指でぬぐい、アスカルにチュッとキスを落とす。
「さぁ食べろアスカル! 食べて、元気になれ!」
「/////////…はい」
グランデはクエジョから渡された籠を開けて、中からローストビーフを挟んだパンを取り出し、真っ赤な顔のアスカルに手渡す。
端から端へと、ゲージの針が振り切れそうなほど、次から次へと衝撃を受け続けたアスカルの魂は、今にも身体から抜け出しそうになっていた。
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