黒騎士はオメガの執事を溺愛する

金剛@キット

文字の大きさ
上 下
25 / 105

25話 特別なオメガ グランデside ※R18

しおりを挟む
 グランデの耳元でアスカルは、かすれた声でひそひそと名前を呼ぶ。

「グ… グランデ様… 大好き!」

「・・・っ!」
 恥ずかしそうに、そっと告白をする可憐かれんなアスカルに、ギュッ… と心をつかまれたグランデは… 
 それまで顔に浮かべていたニヤニヤ笑いを引っ込めて、瞳を閉じるとじわじわとあふれる満足感を、胸の中に深く… 深く… きざみ込む。

<何があっても、オレの腕の中から絶対に逃がさないぞ、アスカル!>

 アスカルへの強い執着心に、火がついた瞬間だった。


「グランデ様、大好き! 僕のグランデ様… 大好き!」

「アスカル… お前はオレの特別なオメガだ!」

 伯爵位を継承してすぐに、王太子にお披露目ひろめだと王家主催の晩餐ばんさん会に、無理やり引っ張って行かれ、出席したグランデは屈辱的なあつかいを受けた。

 魔石の鉱山をいくつも所有するレガロ伯爵家が、とても裕福だと知る貧乏な名家出身のオメガたちが…
 初めて社交界に顔を出したグランデに、上手く媚びを売り丸め込んで婚約を取り付けようと、群れをなして近づいて来た。

 有能な騎士であるため、耳や目… 五感の感覚が鋭くなるよう、日頃からきたえているグランデの前で…
『平民出身の野蛮人に、自分たちのような高貴なオメガが声をかけてやるのだから、ありがたくひざまずくべきだ!』 
 …などと、愚かにも陰口をたたきながらだ。

『くだらない貴族のプライドにしがみつくから、飯が食えなくなるのさ! オレは無能なやつはオメガでも大嫌いだ!』
 社交界に興味などなく、騎士団長になるためだけに渋々伯爵位を継いだグランデが、そんな無礼なオメガたちを気に入る訳もなく、甘ったれな新人騎士をあつかうように、にらみつけて威圧し、追い払った。 


「アスカル…」
 細い身体を離し、グランデは赤い顔で恥じらうアスカルの綺麗な顔を見つめ… 言葉だけではなく… 淡い藤色の瞳にも愛情がいっぱいに、あふれているのを確かめた。

<貴族のオメガたちとも、娼館にいる金でオレを受け入れるオメガたちとも違う… アスカルは、金ではなく… オレ自身を求めて受け入れている… 間違いなく、アスカルはオレのオメガだ!!>


「オレもお前が好きだ、アスカル!」

「グランデ様… あっ?!」 

 嬉しそうに微笑むアスカルの唇に、チュッ… とキスを落とし… グランデはコロリと転がし、アスカルをうつ伏せにする。

「綺麗な背中だな…」 
 うっとりとアスカルの背中を見下ろし… 
 発情の熱でピンクに染まったぷりっぷりんっ… とした丸い尻に、グランデは舌を使いながら、かぷっ…! と甘噛みを加える。

「ひゃあっ! グランデ様?!」

「ふふふっ… こんなに可愛い尻は見たことがない!」
 普段は口数が少ないグランデだが、恋人の前では、そうでもないらしい。

 敏感になった身体をブルブルと震わせる、アスカルの背骨にそってチュク… チュク… と舌をはわせ、グランデは腰からゆっくりとうなじへと唇をすべらせる。

「お前の背中は味も良い…」

「んんんっ… そんなぁ… ダメッ! わあっ…! グランデ様、背中がゾクゾクする… わあっ! ひゃあっ!」

「アスカル!」


 グランデはブルブルと身体を震わせる、アスカルのうなじに噛みついた。







しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

恋なし、風呂付き、2LDK

蒼衣梅
BL
星座占いワースト一位だった。 面接落ちたっぽい。 彼氏に二股をかけられてた。しかも相手は女。でき婚するんだって。 占い通りワーストワンな一日の終わり。 「恋人のフリをして欲しい」 と、イケメンに攫われた。痴話喧嘩の最中、トイレから颯爽と、さらわれた。 「女ったらしエリート男」と「フラれたばっかの捨てられネコ」が始める偽同棲生活のお話。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

出来損ないΩの猫獣人、スパダリαの愛に溺れる

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
旧題:オメガの猫獣人 「後1年、か……」 レオンの口から漏れたのは大きなため息だった。手の中には家族から送られてきた一通の手紙。家族とはもう8年近く顔を合わせていない。決して仲が悪いとかではない。むしろレオンは両親や兄弟を大事にしており、部屋にはいくつもの家族写真を置いているほど。けれど村の風習によって強制的に村を出された村人は『とあること』を成し遂げるか期限を過ぎるまでは村の敷地に足を踏み入れてはならないのである。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】オーロラ魔法士と第3王子

N2O
BL
全16話 ※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。 ※2023.11.18 文章を整えました。 辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。 「なんで、僕?」 一人狼第3王子×黒髪美人魔法士 設定はふんわりです。 小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。 嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。 感想聞かせていただけると大変嬉しいです。 表紙絵 ⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

処理中です...