25 / 33
24話 ラーヤの気持ち2
しおりを挟むドクンッ… ドクンッ… と心臓の音が、激しく鳴り響く広い胸から耳を離し… ラーヤは自分の奥に、クバラの性器をを受け入れたまま、身体をのろのろと起こした。
「あなたは残酷な人です!」
クバラの肩に手を置き、身体を支えながら… ラーヤは上からクバラをにらみつけ非難した。
「ラーヤ…?!」
「こんなに僕が、あなたを好きになるまで… 僕の気持ちを散々煽っておいて… あなたが好きで好きで、僕が我慢出来なくなったら、自分だけ国を出て他国の王女様と婚約するなんて、本当にあなたは残酷な人です!!」
「ラーヤ… 待ってくれ! まだ婚約は、決まった話ではないから」
「でも、スマンカ様は断るのは難しいと… だから皇太子殿下も、あなたをガラム王国へ送るのだと、聞きました!」
「ああ、確かに難しいが… だが…」
「だから、あなたは僕を“愛している” と… 言ってはいけなかったのです!!」
「ラーヤ… それは、私も反省している… 君が皇妃を引退するまで、私の気持ちを伝えるのは、我慢するべきだったと…」
「こんな風に僕の側から、いなくなってしまうのに… 僕を夢中にさせておいて… あなたは本当に、ひどい人です!!」
<ひどい人! ひどい人! ひどい人! ひどい人―――っ!!>
くしゃりと顔を歪めて、ラーヤはぽたっ… ぽたっ… とクバラの広い胸に涙を落とした。
幼い子供のようにラーヤは一生懸命てのひらで、あふれる涙を何度もぬぐっても、ぽたっ… ぽたっ… と細い顎を伝い、クバラの胸に涙が流れ落ちるのを、止められなかった。
「待ってくれラーヤ… 私の話を聞いてくれ!」
「あ… あなたがこの国からいなくなったら… 僕… 僕は、他の皇子様に抱かれるのですよ?! こ… こんなに愛している人がいるのに、他の人に抱かれるなんて… 耐えられない! 耐えられないよ…! ううっ… うっ… クバラ様のバカ! クバラ様のバカぁ…!」
「ああ… ラーヤ… ラーヤ… お願いだから許してくれ、どうか泣かないでくれ!」
「嫌です! 嫌です! ううっ… 絶対に許しません! クバラ様なんか許しません! あなたは残酷な人です!! ふぅううっ… とても残酷な人です!! ううっ… 嫌です!! クバラ様、嫌です!! ううっ……」
寝転がるクバラにしがみつき、ラーヤは泣き続けた。
10
お気に入りに追加
304
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
メランコリック・ハートビート
おしゃべりマドレーヌ
BL
【幼い頃から一途に受けを好きな騎士団団長】×【頭が良すぎて周りに嫌われてる第二王子】
------------------------------------------------------
『王様、それでは、褒章として、我が伴侶にエレノア様をください!』
あの男が、アベルが、そんな事を言わなければ、エレノアは生涯ひとりで過ごすつもりだったのだ。誰にも迷惑をかけずに、ちゃんとわきまえて暮らすつもりだったのに。
-------------------------------------------------------
第二王子のエレノアは、アベルという騎士団団長と結婚する。そもそもアベルが戦で武功をあげた褒賞として、エレノアが欲しいと言ったせいなのだが、結婚してから一年。二人の間に身体の関係は無い。
幼いころからお互いを知っている二人がゆっくりと、両想いになる話。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
かくして王子様は彼の手を取った
亜桜黄身
BL
麗しい顔が近づく。それが挨拶の距離感ではないと気づいたのは唇同士が触れたあとだった。
「男を簡単に捨ててしまえるだなどと、ゆめゆめ思わないように」
──
目が覚めたら異世界転生してた外見美少女中身男前の受けが、計算高い腹黒婚約者の攻めに婚約破棄を申し出てすったもんだする話。
腹黒で策士で計算高い攻めなのに受けが鈍感越えて予想外の方面に突っ走るから受けの行動だけが読み切れず頭掻きむしるやつです。
受けが同性に性的な意味で襲われる描写があります。
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
好みじゃないので悪しからず
浦 かすみ
恋愛
よくある、悪役令嬢の断罪…しかし興味ねーし?何かキャンキャン吠えてる女子がいるけど初対面だし?
辺境伯爵令嬢として生きてきて、デビュタントの当日自分が転生者だと思い出して、ぶっ倒れてから三日間…考えに考えた結果、この田舎(辺境)で骨を埋めよう!都会には行かない!
なのに何だよ〜?王子殿下の美しさを認めるまで離れない!?いやいや好みじゃないし?私、マッチョと怖い顔は苦手なんだ!
【不定期更新です】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる