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7話 目覚めると2
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ハリラヤの細い腕を取り、脇の下から愛撫をするように濡れ布でゆっくりとふき上げ、クバラ皇子は一本ずつ指の背にチュッ… チュッ… となぜかキスを落とす。
「殿下?」
<んん~? 何でキス? んんんっ…?! 殿下?>
増々、困惑するハリラヤ。
「ねぇラーヤ…? 出来れば私のことはクバラ… と呼んで欲しいのだけど?」
「ええ?! い… いえ…! さすがにそれは…!」
<皇族を名前で呼ぶなんて… 呼んで良いのは同じ皇族だけだし… んん? あれ? 僕も皇族か? んんん~?! でも、やっぱり僕の方がクバラ殿下よりも格下だし、だめだよね?! うん、だめに決まっている!!>
ふるふると首を横に振り、ハリラヤはきっぱりと断った。
「ふふふっ… やっぱり、だめか! ラーヤは真面目だからなぁ?」
「す… すみません…」
<いつも“頑固で融通がきかない奴” …と、学園生時代は、それで友人たちに、嫌味を言われたんだよね… あ~あ…>
憧れの先輩だったクバラ皇子の前で、自分の欠点をさらした気がして、ハリラヤはしゅん…… と落ち込んでしまう。
落ち込むハリラヤの小さな耳たぶを、クバラ皇子は暖かい指先でやわやわと揶揄うように揉んだ。
「ラーヤ、謝らないでくれ… 私はね… そういう、ラーヤが好きだよ?」
「え?」
「真面目な君なら、心地良い言葉で私に媚びを売り、心で裏切るようなことはしないとわかるから… そういうラーヤを私は信頼しているし、とても好きだよ? だから落ち込まないで欲しい、私は君を褒めたくて言ったのだから」
「クバラ殿下…」
<ううっ… すごく気をつかわせてしまっている! 学園を卒業してもやっぱり僕は殿下に比べて、本当に子供なんだなぁ… 2歳しか違わないのに… 殿下は学園で出会った時からずっと大人だった気がするよ… う゛う゛っ… 恥ずかしいぃ―――っ!!>
汚れた身体をクバラ皇子にふかれながら、自分の未熟さが恥かしくなり、ハリラヤは真っ赤な顔を両手で隠す。
「ふふふっ… ラーヤは可愛いね…」
「ううっ… あのぅ…?」
「んん… 何だい、ラーヤ…?」
「ク… クバラ…様?」
<クバラ殿下が呼べと言われるのだから… 僕が頑なに拒否するのもやっぱり不敬だしね…?>
掌をずらし、ハリラヤは片目だけ出して転がったまま、クバラ皇子の顔を見上げた。
「・・・・・・」
微笑みを消してハリラヤを見下ろし、クバラ皇子は黙りこむ。
「あ… あの…?!」
<うわっ! うわっ! やっぱり不敬?! ど… どうしよ~?!>
ハリラヤは焦りを感じ、謝ろうと身体を起こそうとするが… 上から肩をつかまれ、起きるのをクバラ皇子に止められた。
「良いね!! もっと呼んで!!」
ものすごく真剣にクバラ皇子は催促する。
「はっ…?!」
「名前!」
「ええっとぉ… ク… クバラ様…?」
「・・・・・・」
クバラ皇子は、自分の額にハリラヤの身体をふいた冷たい濡れ布を当てると、再び黙りこみ…
フゥ――――――ッ… と熱い息を、ゆっくりと長く… 長く… はき出した。
ポイッ… と濡れ布を放りすてると、クバラ皇子は鋭い視線をハリラヤに向ける。
「……ラーヤ… すまない!」
謝罪の言葉を口にすると、クバラ皇子はハリラヤの唇を素早く奪った。
「殿下?」
<んん~? 何でキス? んんんっ…?! 殿下?>
増々、困惑するハリラヤ。
「ねぇラーヤ…? 出来れば私のことはクバラ… と呼んで欲しいのだけど?」
「ええ?! い… いえ…! さすがにそれは…!」
<皇族を名前で呼ぶなんて… 呼んで良いのは同じ皇族だけだし… んん? あれ? 僕も皇族か? んんん~?! でも、やっぱり僕の方がクバラ殿下よりも格下だし、だめだよね?! うん、だめに決まっている!!>
ふるふると首を横に振り、ハリラヤはきっぱりと断った。
「ふふふっ… やっぱり、だめか! ラーヤは真面目だからなぁ?」
「す… すみません…」
<いつも“頑固で融通がきかない奴” …と、学園生時代は、それで友人たちに、嫌味を言われたんだよね… あ~あ…>
憧れの先輩だったクバラ皇子の前で、自分の欠点をさらした気がして、ハリラヤはしゅん…… と落ち込んでしまう。
落ち込むハリラヤの小さな耳たぶを、クバラ皇子は暖かい指先でやわやわと揶揄うように揉んだ。
「ラーヤ、謝らないでくれ… 私はね… そういう、ラーヤが好きだよ?」
「え?」
「真面目な君なら、心地良い言葉で私に媚びを売り、心で裏切るようなことはしないとわかるから… そういうラーヤを私は信頼しているし、とても好きだよ? だから落ち込まないで欲しい、私は君を褒めたくて言ったのだから」
「クバラ殿下…」
<ううっ… すごく気をつかわせてしまっている! 学園を卒業してもやっぱり僕は殿下に比べて、本当に子供なんだなぁ… 2歳しか違わないのに… 殿下は学園で出会った時からずっと大人だった気がするよ… う゛う゛っ… 恥ずかしいぃ―――っ!!>
汚れた身体をクバラ皇子にふかれながら、自分の未熟さが恥かしくなり、ハリラヤは真っ赤な顔を両手で隠す。
「ふふふっ… ラーヤは可愛いね…」
「ううっ… あのぅ…?」
「んん… 何だい、ラーヤ…?」
「ク… クバラ…様?」
<クバラ殿下が呼べと言われるのだから… 僕が頑なに拒否するのもやっぱり不敬だしね…?>
掌をずらし、ハリラヤは片目だけ出して転がったまま、クバラ皇子の顔を見上げた。
「・・・・・・」
微笑みを消してハリラヤを見下ろし、クバラ皇子は黙りこむ。
「あ… あの…?!」
<うわっ! うわっ! やっぱり不敬?! ど… どうしよ~?!>
ハリラヤは焦りを感じ、謝ろうと身体を起こそうとするが… 上から肩をつかまれ、起きるのをクバラ皇子に止められた。
「良いね!! もっと呼んで!!」
ものすごく真剣にクバラ皇子は催促する。
「はっ…?!」
「名前!」
「ええっとぉ… ク… クバラ様…?」
「・・・・・・」
クバラ皇子は、自分の額にハリラヤの身体をふいた冷たい濡れ布を当てると、再び黙りこみ…
フゥ――――――ッ… と熱い息を、ゆっくりと長く… 長く… はき出した。
ポイッ… と濡れ布を放りすてると、クバラ皇子は鋭い視線をハリラヤに向ける。
「……ラーヤ… すまない!」
謝罪の言葉を口にすると、クバラ皇子はハリラヤの唇を素早く奪った。
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