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2話 謁見
しおりを挟む生れて初めてハリラヤは、皇帝に謁見した。
玉座の間で、厳かな雰囲気の中… 皇帝の前にハリラヤがひざまずく。
差し出された皇帝のかさつき筋が浮き出た手に、ハリラヤはそっとキスをして、3歩下がり頭を下げる。
「もっと良く顔を見せなさい」
「はい、陛下」
ハリラヤが緊張で強張った顔を上げると、しわの寄った目元を細め、皇帝は嬉しそうに笑った。
「おお! なんと可憐で美しい男姫だ… そうは思わないか、クバラ?」
「はい陛下、私もそう思います」
皇帝のお気に入りでも、第6皇子クバラは身分の低い母親から産まれた為、王位継承権の順位が低く、皇族たちの末席から答えた。
クバラ皇子は、穏やかにハリラヤに微笑み、小さくうなずく。
皇帝と会うのはこの日が初めてだったが、第6皇子クバラとは…
学園生時代ハリラヤは後輩として出会い、親しく言葉を交わしたことがあった。
「・・・・・・」
<お久しぶりです、クバラ殿下… お元気そうで何よりです! 相変わらずあなたは凛々しくて素敵ですね!>
第6皇子クバラと目が合い、ハリラヤは頬を桃色に染めて、心の内で憧れの先輩に挨拶をする。
王家が男性皇妃を迎え入れていることから、同性婚が帝国法で認められてはいるが、あまり一般的ではなく… まだまだ未熟なハリラヤは、羞恥心を感じてしまった。
――― その日、
王宮内の神殿で、皇帝が皇妃を娶ったにしては、いささか簡素過ぎる印象を与える婚姻の儀式が執り行われた。
盛大な宴が催されることも無く、ハリラヤは4人目の皇妃となった。
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