花嫁になれなくて。

金剛@キット

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18話 脅迫 ※R18微々

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「"美人ナース明穂、イケナイ花嫁修業" "純情ポリス明穂、ドキドキ花嫁修業" 可愛いなこの写真!」

 手に持つケースのタイトルを読み上げ、英俊はパッケージ写真を見つめた。

「ああああああっ!!!! そ・・・ そんなの持って来たの?!」



 明穂は、英俊からディスクケースを奪おうとするが、スマホの時と同様、太刀打ちできない。


「持って来たのは、コレだけじゃないぞ!」


 英俊はカバンから、机の上にディスクケースを、ドンドン出して積んでゆく。

 小男花婿の部屋にあったディスク、全部である。


「やだやだやだ! 何でそんなの・・・っ!」

 真赤な顔で首をプルプル振りながら、涙目になる明穂。


「建樹クンが見つけて、オレのカバンに、詰めてくれたんだ・・・ オレが明穂の新しい恋人だと言ったから」

 簡単にウソをつく英俊が、明穂は憎くて堪らなくなった。


「ウソつき!! 何て人だ・・・ 僕の友達を、建樹クンを騙して協力させるなんて!!」

 真赤な顔で英俊を睨みつける明穂。


 英俊も腕組みをして、明穂を威圧的に見下ろした。


「誰が・・・ 潔癖症だって? このディスク全部、あの先生とヤッた、セックス映像だろ? 簡単に騙されたオレも間抜けだな!」

 チラリとディスクに視線を流し、英俊は明穂を冷たい眼で睨む。
 

「騙してない!!」

 明穂は即否定するが・・・ 英俊は信じず、冷淡にディスクの無いケースを見せる。


「実家に帰れ! 言う通りにしなければ、次はコレを中田社長のPCに送る」


「僕を脅迫する気? そんなコトしたら・・・ 絶対帰らないから!」

 明穂の声が震える。
<まさか・・・そんな?>


「仕方ないな・・・ お前の家族には、明穂は毎日楽しく、セックスしてると知らせよう」

 やれやれと、ため息をつく英俊。


<本気なの? 英さん? 嘘でしょう?>

 明穂の顔が、だんだん青ざめてゆく。


「こんなコトしたく無かったが・・・ こんな大量のディスクを見たら、罪悪感なんて綺麗に消えたさ」

 英俊は重ねたディスクケースの、パッケージ写真を一枚づつ手に取り眺める。


「ウソでしょ? 止めてよ!」

<この人、本気でヤル気だ!! さっきもスマホで送るの、一瞬も躊躇しなかった!!>

 緊張で心臓がドキドキし、身体もブルブルと震えが止まらなくなる。
 

 ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ…
 過呼吸発作のように、明穂の呼吸が荒くなる。

「止めてよ! 止めてよ! 止めてよ!」



「コレを見ても、家族はお前を愛してくれるさ」


 青ざめて、今にも気絶しそうな程緊張する明穂。
<この人、本気だ! 本気だ! 本気だ!!>

「・・・帰る ・・・帰るよ! もう止めて・・・ お願い止めて!!」

 パソコンのキーボードに触れた、英俊にしがみ付き、明穂は懇願する。


「この場限りのウソで、オレを丸め込めると思うなよ?」

 明穂を睨みつけて、容赦なくダメ押しをする英俊。


「ウソじゃない! 帰るから、もう降参する・・・」

 悔しそうな明穂を見て、英俊はホッと苦笑いを浮かべ、PCを閉じた。


「オレから逃げ出して、あの変態にお前が抱かれていたかと思うと、怒りで吐き気がする!!」


「・・・だから日課で先生に自撮りさせられていた、自慰の映像だよ」

 明穂はまたグスグスと真っ赤な顔で泣きながら、白状する。


「何だって?! あの変態を思い浮かべてか?」

 ジロリと明穂を睨み、ディスクの中身を確認しようと、再びPCを開こうとする英俊。


「もう、勘弁してよ! スマホにある昔の英さんを思い浮かべてだよ!!」

 癇癪を起し、泣きながら怒鳴る明穂。


「何年前のだ、冗談だろう? もっとマシなウソをつけよ!」

 当然だが、簡単には信じない英俊。


「・・・悪いけど、童貞の頃からお世話になってる、最強のズリ(自慰)ネタだから! 文句アル?!」

<本人に僕は何を言っているんだ・・・ ああ、また涙が・・・>

 屈辱と傷心で涙が零れ、明穂は自暴自棄になり・・・

 唖然とする英俊の唇を奪い、身体を押し付けた。


「利用されるばかりなんて、不公平だから! キスぐ・・・っンンッ…!」

 唇を離し明穂がソレだけ言おうとするが・・・ 英俊に唇を奪い返される。

<・・・英・さん?>

 口内に英俊の舌が潜り込み、明穂は熱烈に歓迎してチュウッと吸うと・・・

 英俊は唇を外し、ニヤリと笑う。

「相当遊んでるだろう?」
 
 ギクリとする明穂の不意を突き、ベッドへ転がし英俊はぼろ布と化したドレスを剥ぎ、ブラジャーやガーターベルトも、憎々しげに全部取り去り、ベッド下へポイポイ捨てる。

「お前の言う通り、今のままでは不公平だからな! 散々心配させといて、裏切り者呼ばわりされては割に合わない」

「そ、それは英さんが・悪・・・」




 英俊がバサバサと無雑作に服を脱ぎ捨て、全裸になると文句を引っ込める明穂。






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