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13話 囚われの花嫁
しおりを挟む明穂は純白のウエディングドレス姿で、白い革製の手枷を付け、ベッドに鎖で繋がれて、出産プレイをしていた。
「僕の花嫁さんは、本当に気が早いね! 結婚式で息子を産みたいなんて!」
<言ってネェし!!>
真っ赤な顔で眉をピクピクさせながら、明穂は根性で口角を引き上げて、微笑むフリをしていた。
色白の小太りな小男花婿が、白のタキシード姿で肩に明穂の足を乗せ、ドレスの裾から頭を突っ込みクンクン、クンクンと、スカートの中で匂いを嗅いでいた。
「ネェ先生・・・ 何人でも赤ちゃん産んであげるから、スマホ返して? 記念撮影したいよ」
(※産めません)
自分の足の間に、頭を突っ込む医者の彼に、明穂は甘えた声でおねだりしてみる。
「ダメだよ、僕のコトは"アナタ" と呼びなさい・・ いや、"パパ" のが良いか!!」
ドレスのスカート部分の中から、くぐもった声で答える小男花婿。
深いシワを眉間に寄せ、明穂は花婿の願い通りにしようと口を開く・・・
「パ・・・」
ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!!
来客を知らせるドアベルが、部屋中に鳴り響き、明穂の呼びかけは中断される。
「フフフフッ!! いつもの店から、君への贈り物が届いたようだ!!」
小男花婿はスカートの中から頭を出し、明穂の足を肩から下ろす。
足首に引っ掛かっていたレースの下着を、明穂に穿かせ直し、スカートの裾を足首が隠れるよう綺麗に整えた。
ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!! ピンポーンッ!!!
来訪者はドアベルを急かすように何度も鳴らす。
「全く躾がなってない!無礼な奴だな、店に苦情を言わないと・・・」
小男花婿は手術用の手袋をパリパリと、音を立てて外しながら文句を言い、玄関へ向かう。
「あ~ああ・・・」
明穂は赤い顔で、大きなため息をつく。
「・・・誰だ君は!? 待て、勝手に入るな!!」
小男花婿の慌てる声と共に、スーツ姿の英俊が現れ
「・・・はぁ・・・っ!!!」
驚愕する明穂。
「明穂を見つけたぞ!!」
英俊が玄関に向かって叫ぶと、建樹も小男花婿と共に現れる。
「おい、明穂大丈夫か?!」
英俊は見るからにホッとした様子で、明穂の手枷とベッドを繋ぐ鎖を、ジャラジャラと引っ張る。
「・・・何で ・・・英さんがココに?!」
口をパクパクとしながら、明穂は何とか言葉を紡ぐ。
「やっぱりココに居たんだ明穂クン! ・・・まあまあ、先生落ち着いてよ」
ニコニコと明穂に微笑み掛け、小男花婿を宥める建樹。
「建樹くんに公園で会って、コチラの事情を話して協力してもらったんだ」
公園で再会した時、明穂と鮮やかなオレンジ色のコートを着た建樹が話しているのを英俊も見ていたのだ。
明穂が居なくなってから、毎日遅くまで公園を歩き回り、英俊は覚えのある、オレンジ色のコート姿の建樹を見つけ、藁にも縋る思いで声を掛けた。
「贈・・・ 贈り物なんて、ウソなのか?! お前の雇い主に苦情を言って、解雇させてやるからな!!」
小男花婿は、大柄な英俊には見て見ぬフリをし、行きつけの店のスタッフである建樹に、怒鳴り散らす。
いかにも小心者らしい、小賢しい反応だ。
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