ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット

文字の大きさ
上 下
9 / 9

8話 解放 ーENDー

しおりを挟む
 ―――1年後…

「私の妻は何処だ?!」
 アンダルは剣と装着用のベルトを外して、ポイッ…! ポイッ…! と放り投げるように執事に渡しながら、妻の居場所を尋ねた。


 愛する妻のために近衛騎士団を辞めて、東方騎士団の団長となったアンダルは、面倒な執務を副団長に押し付けて、大慌てで自宅へ帰って来たのだ。


「あ! お帰りなさい、旦那様! 今夜は帰りが早いね!」

「ただいま、アスピラル!」
 長男を出産したばかりの妻を、家族用の居間で見つけ… 満面の笑みを浮かべて、アンダルは唇にキスを落とす。
 
 一旦、唇を離し子供ごと妻を、自分の膝に乗せると、再びアンダルは熱烈にキスをする。

「んんっ! ちょっと、旦那様! もう、子供の前でダメだよぉ~!」
 プクッ… と頬を膨らませて、妻は怒りながら… もっとキスして! とねだるように可愛らしく唇を尖らせる。

「大丈夫さアスピラル、この子はまだ理解できないよ」
 アンダルは妻にチュッ… チュッ… とキスを続けた。

 ひまさえあれば、夫のアンダルはこの調子で妻を可愛がるのだ。

「もう! せっかく眠ったのに、ほらぁ~! ブリンダールの可愛いおめめが、パッチリ開いているよぉ~!」

「ああ本当だ! 悪かった… すまないブリンダール、さぁ、ねんねしなさい」 
 アンダルは妻が抱く、艶やかな黒髪とパッチリ開いた深緑色の瞳の美しい子供の頬にもキスを落とした。

「ふふふっ… もう~! いけない人ですね、旦那さまったら!」
 妻のアスピラルは、夫の顎にキスをする。

「この子は幼い頃の、ペルデルセにそっくりだ」
 蕩けそうな甘い笑みを浮かべて、妻の耳元でそっと夫は囁くと…

「そっちの名前は言ってはダメだよ、旦那様!」
 妻は夫の耳をカプッ… と噛んでひそひそと注意する。



 ペルデルセの兄メディシナの独断で、学園時代の友人だった、エスタシオン王国のプラサ王との間で…

 ペルデルセを病死に見せかけ、後宮から解放してサルド王国へ帰してくれたら…
 エスタシオン王国側に有益な貿易に関する契約を結ぶと、秘密裏に約束を交わしていたのだ。

 薬草茶を飲み深い睡眠状態に入ったペルデルセを、エスタシオン王国まで迎えに行ったアンダルが引き取り、サルド王国まで連れ帰ると…

 第二王子メディシナの指示通り、アンダルは友人の侯爵に、一旦ペルデルセを預けて養子にしてもらい、ついでにその時王子の名を捨て、アスピラルに改名したのだ。


 王都ではペルデルセの美貌を知らない者はいないが、地方の田舎ならば、ペルデルセの顔を知らない者の方が多い。

 そこで、アンダルは近衛騎士団を迷うこと無く辞めて、領地がある田舎の東方騎士団へと入団した。


 そしてめでたく結婚に至る。




 ー END ー








 ココまで読んで下さり、ありがとうございます☆彡

 また、何処かでお会い出来れば幸いです!






  ○  ○  お詫び  ○  ○  ○  ○

 初投稿のとき、R18を付けていたのですが、入れようとすると話のリズムが悪くなる感じがして、結局断念しました。
 ようやく幸せを掴んだ2人の甘々エロエロ、イチャイチャを、本当に、本当に!! 書きたかったのですが(笑)

 最後まで書き上げてから、さぁエロ書いて追加しよう! とか、思ったのが間違いでした。

 ドミノ式に、バタバタバタッ… とオカシクなるから、大事な場面は最初から組み込んで考えないと、やっぱりダメですね~💧

 反省しています(>_<)



しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

たろじろさぶ

てっきりお相手のαは王様だと思っていたのですが、意外でした!
でも、それがよかったです😄

王子じゃなくなっても、初恋のひとと結ばれて、幸せになって安心しました。

お兄ちゃん、本当にありがとう〜。
国の利益より弟の幸せを選んでくれるなんて、本当にいいお兄ちゃんだ🥹

解除

あなたにおすすめの小説

貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~

倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」 大陸を2つに分けた戦争は終結した。 終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。 一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。 互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。 純愛のお話です。 主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。 全3話完結。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

偽物の僕は本物にはなれない。

15
BL
「僕は君を好きだけど、君は僕じゃない人が好きなんだね」 ネガティブ主人公。最後は分岐ルート有りのハピエン。

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

捨てられオメガの幸せは

ホロロン
BL
家族に愛されていると思っていたが実はそうではない事実を知ってもなお家族と仲良くしたいがためにずっと好きだった人と喧嘩別れしてしまった。 幸せになれると思ったのに…番になる前に捨てられて行き場をなくした時に会ったのは、あの大好きな彼だった。

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。