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6話 オメガの少年

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 リリリンッ…! リリリンッ…! リリリンッ…! リリリンッ…!

 どこかで鳴り続ける大きなベルの音で、アニマシオンは目覚め、飛び起きた。

「何ごとだ?! 何なんだ… あの音は?! クソッ…!」
 ああ、うるさい! いったいどこで鳴っているのだ?!


「んんん~… 殿下ぁ…?」
 華奢きゃしゃな裸体をピタリとアニマシオンにくっ付けて、隣で眠っていたオメガの少年が、うめき声をあげながら… なだめるように、アニマシオンの腕をなでた。

「あの音が何か… 君はわかるか?」
 寝ぼけたようすの少年の頬にキスを落とすと、アニマシオンは静かにたずねる。

「たぶん… 上から転移魔法で、食事が送られて来たのでしょう…」
 コロリと転がり、少年は横向きから仰向あおむけになり、キスを落としたアニマシオンの頬に手をのばしてなでた。

「食事か… あのうるさい音は止められないか?」
 言われてみれば、腹が減ったなぁ… 

「もちろん止められますよ…」
 ゆっくりと身体をおこし、少年は立ち上がろうとするが… ふらりとよろけて、ペタンッ… と座り込んでしまう。

「大丈夫か…? ああ、いや… あれだけ私に攻められては、大丈夫な訳はないか!」
 それに私と同じく、腹が減っているのだろう…

「すみません… 殿下…」

「いや……」
 う゛う゛っ… また、欲しくなって来たぞ?! これはマズイ!

 恥かしそうに謝る少年に、何とも言えないつやと可愛さを感じて、アニマシオンの下腹で性器がヂクッ… とうずき、再び欲望に火がつきそうになる。
 あわてて瞳を閉じて、フゥ―――ッ… と熱い息をはき出し、熱を散らす。
 

「あ! 殿下…?!」

「暴れないでくれよ?」
 アニマシオンは立ち上がると、腰を使い過ぎたせいで、少しだけよろけながら… 少年をゆっくり抱き上げた。

「あ… あの?」

「どうすれば良いか、教えてくれ」

「はい…」
 少年の指示に従い、アニマシオンは送られて来た食事の元へ向かう。


「あれか…?」

 秘儀ひぎの間のすみに小さな木製の扉があり… そのすぐ脇の壁に刻まれた、手のひらサイズの魔法陣が輝き点滅てんめつしていて、そこから、リリリンッ…! リリリンッ…! とベルの音が鳴り響いている。

「はい殿下…」
 アニマシオンに抱き上げられたまま、点滅する小さな魔法陣に少年が触れると、ベルの音と光の点滅がピタリと止む。

 木製の扉を少年が開けると… その向こう側にせまい居住スペースが見えた。

 真ん中に長年使い込んで傷だらけになった、大きな一枚板で作られたテーブルが置かれ、豪華な食事が大量に並べられている。


「君はここに住んでいるのか?! この地下に?!」


 驚いたアニマシオンは少年にたずねた。




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