72 / 87
71話 新婚夫婦の朝
しおりを挟む3日目の初夜が明けた朝、デスチーノは珍しくアディと一緒に朝食を摂りながら相談を持ちかけた。
「早速だが明日の夜、オエスチ侯爵家の晩餐会に招かれているが… 心の準備は出来ているか?」
「え? あああ~っ… すっかり忘れていました!」
<なんせ、3日間続いた"初夜"が、口に出せ無いほど激しくて… 結婚して以来僕は、デスチーノに抱かれているか、ベッドで眠っているかのどちらかだったから… 全然、余裕が無かったしなぁ…>
思い出したとたん、ぽぽっ… と頬が赤くなり、熱を冷まそうと掌を頬に当てた。
「ふふふっ… まぁ、あまり緊張せずに、いつものようにアディは大らかにかまえていれば良いさ!」
「・・・・・・」
<どうしよう… 急に緊張して来たよ!>
デスチーノにそう言われ… オエスチ侯爵家の晩餐会が、アディにとってはジェレンチ公爵夫人としての、社交界デビューの日だと気を引き締める。
ティーカップのお茶を飲みほすと、デスチーノは席を立ちすばやくアディの唇にキスをした。
「今日は何をするのですか?」
忙しいデスチーノと会えない分、アディはデスチーノがなぜ忙しいのかを知りたくて、仕事の予定をたずねるようにしたのだ。
「うん… 今日は王弟殿下に会いに行く予定だ」
新妻が自分の仕事に興味を持ち、デスチーノはその日の予定をたずねられることを、密かに喜んでいた。
「王弟殿下ですか? なぜ?」
「近隣諸国との外交を受け持つ王弟殿下と、今日はようやく面会が出来るんだ」
「外交… コンプラ―ル男爵に誘拐された被害者たちのことで、会うのですね?」
「そうだ」
「王族に合わなければいけないなんて… 今日は肩が凝りそうな日になりそうですね?」
<うわあ~… 知ってはいたけど、デスチーノは本当にすごい人なんだなあぁ… また尊敬しちゃったよ!>
「今夜もまた、アディに解してもらうとしよう」
指の背でアディの乳首を服の上からなでて、デスチーノは笑った。
「んんっ…?!」
デスチーノに執拗に可愛がられ、わずかな刺激で簡単に感じてしまうようになった乳首を…
つんっ… ととがらせ、アディはうめき声をもらした。
「行って来るよ!」
オメガの一番の性感帯である項に、チュッと音を立ててキスを落としキュッと甘噛みをしてから、デスチーノはアディから離れる。
「もう~っ! デスチーノ…たらっ! いけない人ですね?!」
<デスチーノがこんなにエッチな人だなんて、知らなかったよ! 別に嫌では無いけどさぁ…>
赤い顔でドスケベ夫を、睨む新妻。
0
今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
お気に入りに追加
384
あなたにおすすめの小説
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
恋なし、風呂付き、2LDK
蒼衣梅
BL
星座占いワースト一位だった。
面接落ちたっぽい。
彼氏に二股をかけられてた。しかも相手は女。でき婚するんだって。
占い通りワーストワンな一日の終わり。
「恋人のフリをして欲しい」
と、イケメンに攫われた。痴話喧嘩の最中、トイレから颯爽と、さらわれた。
「女ったらしエリート男」と「フラれたばっかの捨てられネコ」が始める偽同棲生活のお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
君なんか求めてない。
ビーバー父さん
BL
異世界ものです。
異世界に召喚されて見知らぬ獣人の国にいた、佐野山来夏。
何かチートがありそうで無かった来夏の前に、本当の召喚者が現われた。
ユア・シノハラはまだ高校生の男の子だった。
人が救世主として召喚したユアと、精霊たちが召喚したライカの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる