66 / 87
65話 初夜2 ※R18
しおりを挟むうっとりと瞳を閉じたアディの首筋に、デスチーノは鼻をすり寄せた。
「今夜は抑制剤も飲んでいません… それに避妊薬も…」
<発情期の周期ではなくても、抑制剤を飲まないで、デスチーノの濃厚なフェロモンを感じ続けると、発情してしまうのは分かっている…>
「うん… わかるよアディ… フェロモンが私を誘惑して、強くなっている」
「あなたは抑制剤を飲みましたか?」
<今までは軽い発情で終わり、僕の身体が本格的な発情に至らなかったのは… デスチーノも強い抑制剤を飲んでいて、いつも途中で止めて、我慢してくれたから…>
オメガの弱点であり、性感帯でもある項を、指先で柔らかくデスチーノに揉まれて、背骨を伝って鈍い痺れのような刺激が、じわじわと腰へと伝わってゆき…
「んんんっ~… うんん~…」
あまりにも心地良くて、アディはうめき声を漏らす。
<周期的にもそろそろ発情期だし… 抑制剤無しの本格的な発情期を迎えるのは初めてだから… 正直、自分がどうなるかわからないよ…>
「ああ気持ち良い… 項を触られているのに、お腹の奥が鈍くヂクヂクする…」
いつもは周期的な発情期に入ると、抑制剤を多めに飲んで、発情に伴う性衝動を散らしていた。
それでも身体は怠くなり、抑制剤の副作用で強い眠気に襲われ…
発情期の間、アディはほとんどベッドで眠って過ごしていた。
<"番"を得ると、そういう煩わしさも無くなると聞いたけど、どうなるのかなぁ? その分、デスチーノにいっぱい抱いてもらわないといけないらしいけど? ふふっ…>
ウットリ… ニヤニヤ… しているアディに…
「抑制剤なら、君が眠っている間に飲んだ」
「ええっ?! 初夜なのに… なぜですか?!」
さらりと言われた、デスチーノの答えにアディは困惑し、責めるような言い方をしてしまった。
<てっきり2人揃って、発情期を迎えるのだと思っていたのに?!>
「私が暴走しないようにだよ… 熟睡する君を襲ってしまいそうだったから、朝から忙しかったから、君はとても疲れていただろう?」
「ああ…」
<何だ、そうなんだ… やっぱり僕が熟睡してしまったから、デスチーノは僕を気づかって… 初夜からこんな失敗するなんて、僕は本当にダメな妻だなぁ…>
がっくり落ち込んでしまうアディの首筋を… デスチーノがチュッ… チュッ…とキスをして、キュキュウッ… と甘噛みした。
「アディ、今日は嬉しかった! 私のためにエントラーダ伯爵にたくさん怒ってくれただろう?」
「僕は本当のことを言っただけです… だって、あの人たちはあなたのことを何も知らないから…!」
<昼間のことを思い出すと、僕はまだまだ、怒りが収まらないよ! デスチーノは気にしていないみたいだけど>
「ふふふっ… そうやって君は、私をたくさん褒めてくれたし」
「だって、僕はあなたの妻だから… それにコンプラ―ル男爵を捕まえて、誘拐された人たちを救って… その上、兄のリコールのことであんなにあなたは心を砕いて、父と長兄に助言を与えたのに… あの人たちは恩を仇で返すようなことばかり言って、僕はとても恥かしかった!」
「君は私を理解してくれる… それが本当に嬉しいんだよ、アディ!」
ぷりぷりと怒り出したアディを、デスチーノは蕩けるような笑みを浮かべて愛でた。
「あっ… んんんっ…」
薄く透けた寝衣の上から、デスチーノに太い指先でアディの乳首はキュッ… キュッ… と捏ねられ、そこからヂクヂクした疼きが広がり出し…
「アディ… 今夜こそ、君を最後まで抱くつもりだ!」
首筋から唇を離し、アディの小さな唇をデスチーノは奪う。
「んんんっ… んん…!」
<デスチーノ、大好き!! 僕も抱かれたい! いっぱい抱かれて、いっぱい触られたい!!>
もっと愛撫が欲しくて、アディは唇を開きデスチーノの舌を招き入れながら…
逞しい首に腕を回し引き寄せて、ごろりとベッドに転がった。
0
今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
お気に入りに追加
384
あなたにおすすめの小説
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
英雄の帰還。その後に
亜桜黄身
BL
声はどこか聞き覚えがあった。記憶にあるのは今よりもっと少年らしい若々しさの残る声だったはずだが。
低くなった声がもう一度俺の名を呼ぶ。
「久し振りだ、ヨハネス。綺麗になったな」
5年振りに再会した従兄弟である男は、そう言って俺を抱き締めた。
──
相手が大切だから自分抜きで幸せになってほしい受けと受けの居ない世界では生きていけない攻めの受けが攻めから逃げようとする話。
押しが強めで人の心をあまり理解しないタイプの攻めと攻めより精神的に大人なせいでわがままが言えなくなった美人受け。
舞台はファンタジーですが魔王を倒した後の話なので剣や魔法は出てきません。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる