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61話 報告
しおりを挟むエントラーダ親子との会談を終えると、まだまだ大忙しのデスチーノと騎士団で別れ…
アディは一人でジェレンチ公爵邸へと帰り、先に戻っていた義姉のトルセールに、会談の内容を報告した。
「そう… すべて終わったのね?」
スーッ… スーッ… と気持ち良さそうな寝息をたてて、ぐっすり熟睡する長女のコールを膝の上に乗せたまま… 瞳から涙を流していなくても、トルセールは心で泣いていた。
その姿があまりにも儚げで… 寂しそうで…
アディまで悲しみが込み上げて来て泣きそうになり、ぐっ… と眉間に力を入れて、涙を堪えるのに苦労した。
「僕はずっと… お長兄様とトルセールお義姉様は、仲良し夫婦だと羨ましく思っていたよ… でも、本当はお義姉様が我慢に我慢を重ねて、人からは何の問題も無いように見えるよう、仲良し夫婦を演じていたんだね?」
「ええ… 子供の前で不仲な親の姿を、見せたくなかったの… 私が不幸な顔をしていたら、子供たちが悲しむでしょう?」
「ごめんねお義姉様、何も気付かなくて… これからは僕がお義姉様を支えるよ… 頼りないと思うだろうけれど、子供たちのために、僕も一緒に頑張るよ!」
無邪気にトルセールを羨ましがる、世間知らずで純粋なアディには…
真実を話して傷つけることを恐れ、トルセールは夫への不満を口に出すことが出来ずにいた。
「頼りにしてるわ、アディ… 離婚してもあなたと家族でいられるのが嬉しいわ… でも、今度は私の方が義妹になってしまったわね?」
「あはは…っ! デスチーノも…」
同じような話で、デスチーノが長兄を揶揄っていたと、口を滑らしそうになり… アディは寸前で、傷ついた義姉の前では、配慮に欠けた話題だと気づく。
<…うわわっ! また、ドジった!! まずい! お長兄様の話題をここで出すのはまずいよ!!>
「僕も… あ… あのぉ~… ええっとぉ~… ああっ! お義姉様をトルセールと名前で呼んでも良い? それなら、妹も姉も関係ない… よね?」
あわあわとしながらも、何とか話をつなげたアディに、ようやくトルセールが笑みを浮かべた。
「ふふふっ… それは良いわね、面倒なことを考えなくて済むもの」
上手く誤魔化せたと、ホッ… と胸を撫で下ろし、アディは膝で眠るコールごと、自分よりも華奢なトルセールの肩を抱き締めた。
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今回の名前はブラジル・ポルトガル語にお世話になりました。アデレッソス→アクセサリー、デスチーノ→行き先、ジェレンチ→支配人、コンプラ―ル→買う、エントラーダ→入口、ヴィードロ→ガラス、トルセール→応援する、フーア→街路、 ラテン系の単語は何となく色気があって素敵ですよねぇ~☆彡
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